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海の民と南海の風  作者: うにまる


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第六十九話

「ポロッ」


 ドルナンが触って祈っていると青いサンゴがポロっと折れてふわふわと海底に向かって落ちていった。ドルナンは海中で目を見開き落ちていくのを見ていた。


 リーナとリーグは首を振り肩を竦めた。そしてリーグは水属性の魔力で海水を操作して沈みゆく青い珊瑚の欠片をドルナンの眼の前まで持ち上げた。


 目を見開いていたドルナンは振り向きリーグを凝視した。リーグは摘む仕草をして『拾え』と促した。青いサンゴの欠片がふわふわと目の前に来た。


 ドルナンは欠片を摘み海上に向かった。


「ぶはー」


 海上に頭を出したドルナンは大きく息を吐き吸った。そして「目がー」と開きすぎた目が潮で焼けて痛みが襲ってきた。目を押さえ悶えた。


 海中からスポーンと飛び出してきた二人は空中でリーグの展開した水壁の上に降り立った。リーグは二人まとめて水球で丸洗いし水分を飛ばした。


「あー、やっぱりあんなに目を見開いたら奥まで海水が入ってそりゃ痛いよ。ドルナンさんも海水から出ておいでよ。足元に水壁あるでしょ?」


 リーグはリーナに髪の毛を乾かしてもらいながらドルナンに話し掛けた。


 藻掻いていたドルナンは足元を探り水壁を見つけると海上に上がってきた。目が半分しか開いてなく探るように水壁を探してリーフに向かった。


 ドルナンが何とかリーフに戻ると水球に囲われた。水球の内部の水がグルグル回りドルナンはパニックになりそうになったが水球から解放された。


 身体に纏わりつく水分が動き引き離されポイッと海面に捨てられた。


「やっぱりポロッといったわね」「ポロッといくよねー」


 リーナとリーグはドルナンが触っていた青いサンゴが自然にポロッと折れた事を話していた。二人にしてみれば当然起こり得る状況だった。


「女神様はたまに面白そうな事に気が付くと注目するの。そして女神様が注目してしまうと物事がちょっとおかしな方向に流れてしまうのよね」


 難しい顔をしていたドルナンにリーナが創世の女神に関する話を始めた。


「私たちが考えてるのはドルナンさんがお供えしたフレッシュチーズなの。あれで女神様が何となくドルナンさんに注目しちゃったかなぁと思ったの」


 切っ掛けは恐らく南方諸島では珍し過ぎるお供え物と特定した。


「最初の異変はやっぱりあの暴風だと思うの。普通は風の境界の先にある南風と暴風の西側を流れる北風で暴風が少し足止めされ割り込んでくる感じなのね」


 その注目した余波が風の境界で出会った規模のおかしかった暴風だろうとリーナは想像を話した。注目した事で暴風が活発化した可能性を話した。


「境界で会った暴風は境界を壊して真っ直ぐに突っ込んで来たわ。だからいきなり北風と南風が混ざり合ってあの狂乱とも言える風が吹き荒れた」


 活発化した暴風が本来であれば足止めする境界を吹き飛ばした。リーナが暴風の動きを詠み切る前に眼の前に出てきた理由であった。


「あの風は凄かったよ? 南から吹き上がる風と北から吹き下ろす風が積層してた。飛ばされた時は積層した部分を抜けるのにクルクル回ったよー」


 横からリーグが飛ばされた時の感想を挟み込んだ。


 風向きの違う層を何層も突き抜けた事でリーグはあり得ないほどに振り回されていた。それでも意識を失わない辺りはリーグもおかしいと言えた。


「そして初めて亀裂に入るドルナンさんが少しリーグに背負われただけで辿り着く場所に環礁ベリーと青いサンゴがいたのも明らかにおかしかったわ」


 リーナは両方が揃っていた事もまた注目されているのが原因だと告げた。環礁ベリーに関しては大いに大歓迎だがとも付け加えた。


「そして触るだけでポロッと落ちたのはドルナンさんが持ち帰るべきものという意味になるの。私たちも似たような経緯で青いサンゴを頂いた事があるのよ」


 折れた青いサンゴは創世の女神からのプレゼントとリーナは理解していた。リーナは髪を掬い耳に着けた小さな青いイヤリングをドルナンに見せた。


「ドルナンさんは女神様から青いサンゴをプレゼントされたの。その青いサンゴはちゃんと持ち帰ってリリーナさんにイヤリングにして贈る事を勧めるわ」


「なぜイヤリングなんだね?」


 ドルナンは創世の女神からの贈り物と言われてしまっては持ち帰る選択肢しか選べなかった。それを踏まえてイヤリングが指定された理由を尋ねた。


「……なんでかしら。確か……そう神殿長に勧められたんだわ。最初に作ったイヤリングは大きかったので小さくして片割れはリーグのイヤーカフになったわ」


 ドルナンの質問は少し意外でリーナは顎に指先を当てて考え込んだ。


「確か……神官長は『全ての青いサンゴはイヤリングになったから』と言ってたかな。たぶん、いつものように謎の情報を手に入れてたんじゃない?」


 リーグにしても神官長はよく分からない人だった。


「ドルナンさんが青いサンゴを持ち帰るのは確定事項だわ。何にすれば良いかはリリーナさんと相談すれば結論が出るから今は置いておきましょう」


 リーナはイヤリングの提案を撤回した。


 リーナは立ち上がりリリーナ号に戻り出港の準備を開始するようリーグとドルナンに促した。リーグも同意して亀裂から出るために移動を開始した。


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