第六十一話
軽く冒険者たちに説明したリーグはリリーナ号まで戻り黄色いツナの切身を食べる分と血の気の多いツナを四匹持ってリーナのところに顔を出した。
「みんな元気だったよ。撤収する準備を始めてもらった。差し入れの血の気の多いツナを届けて調理方法を教えてくるね。あと黄色いツナを渡しとくね」
リーグは網でグルグルに巻いた四匹の血の気の多いツナを見せ黄色いツナをリーナに渡した。近くでは頼まれたのかカニの脚を解体している船員がいた。
リーグはカニの脚を見て網を降ろした。大鍋が二個置いてあるので造水で洗い爆裂ココナツを取りに駆け出した。そして鍋水壁の中で爆裂させた。
近くで見ていたドルナンが目を見開いていた。リーグは気にせずココナツ水を操作して大鍋に移し眺めていた船員に皮と白い部分を集めるよう頼んだ。
リーグは網を持ち直し「行ってくるー」と水壁を展開しながら駆けていった。リーナは爆裂ココナツを処理した理由にくすくすと笑い白い部分を処理し始めた。
「血の気の多いツナ持ってきたよー」
リーグが亀裂に戻りベルクに声を掛けた。チラリと網の中をを見たベルクが「あぁ……」と頷きリーグらしいと諦めの表情を浮かべた。
「パーティーに一匹ずつね。で、調理の方法を教えるよ。基本は身を四つに分解する感じ。あっ! 火を熾しておいて。少しだけ焼くからね。あとスープね」
リーグは水壁のカットソーを小さく発動してナイフの代りにサクサクと捌いていく。頭も半分に割り骨も適当に切って小さめにしていく。
「基本的にガッツリは焼かないの。こんな感じで表面を焼いていくの」
リーグは背身と腹身を手で持って焼いていく。ベルクたちは呆れた顔でリーグを見ていた。ベルクたちもリーグの手袋の性能は聞いて知っていた。
しかし小箱はほとんど出たことがなかった。何回か環礁に来ているが三パーティーでも小箱は二個しか出ていなかった。まだどうするか決まっていなかった。
焼き終わった身を水壁の上に置きカットソーで切り分けていった。お皿をもらい綺麗に並べていった。背身と腹身でお皿は四枚になりみっちり並んでいた。
「この赤い部分も一緒にスープで煮るの。骨を適当に入れて頭は……半分しか入らないね。で、コトコト煮て終盤に切身を入れると美味しいよ」
リーグは背身をカットソーで半分に切り分け半分をぶつ切りにした。腹身もぶつ切りにして新しいお皿にぶつ切りを山盛りに積んで置いた。
「明日は少しリリーナ号の船主に亀裂を見学してもらう予定だよ」
リーグは使わなかった血の気の多いツナの背身をヒョイッと手に取り手を振りながら亀裂を後にした。
「やられた……結局四匹を押し付けて行きやがった。あれ……あの部位だけ欲しくて調理方法を教えるとか誤魔化したに違いない……」
ベルクは流れるように調理方法と言いつつ調理して逃げたリーグに感心した。目的のためなら本当に何でも卒なくこなすリーグの底が見えなかった。
「ただいまー血の気の多いツナを渡してきたよー」
リーグが戻ってくると大好きなココナツミルクスープの匂いが漂っていた。リーグはニコニコでテーブルについた。
「うわー良い匂い! これってもしかしてカニの脚も入れたの?」
リーグは具沢山なココナツミルクスープの匂いを堪能し口にした。リーグの目が開かれ黙々とスプーンで掬い口に運んでいた。
「あの子の収納に乾燥エビや乾燥カイがまだ残ってたから具沢山だよー。今日は空飛んで沢山駆けたからお腹すいたでしょ? 一杯あるよー」
リーナの労いと沢山のココナツミルクスープにリーグはニコニコが止まらなかった。黄色いツナの切身を食べてココナツミルクスープを飲んでと忙しかった。
「あっ! ドルナンさんを明日は亀裂に招待しようと思ったんだ。流石にカニまで行くのは無理だからパールの収穫とできれば環礁ベリーあればいいなぁ」
リーグとしてはここでしか食べれない環礁ベリーは振る舞いたかった。しかし奥まで入るのは流石にドルナンには無理が大きいと考えた。
「ドルナンさんだと水壁でないと落ちちゃうよねー。落ちなければリーグが探すのもありなんだけど。パールを収穫した後にカイを倒してもらう?」
リーナは落とし物でパールの出るカイ討伐を楽しむのもありと提案した。そしてこれには別の意味もあった。それはパールの王国での扱いだった。
南方諸島では宗教的な祭事にパールが使われる。そして王国では装飾品として価値は高かった。レオンハルト国王はパールの輸入を王命で禁止した。
フェルノート王国の商人にとって南方諸島のパールは価値はあるが持ち帰れない垂涎の品物だった。リーナはそのパールをドルナンに持ち帰らせたかった。




