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海の民と南海の風  作者: うにまる


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第二十二話

 謎の男性心理は考えても仕方がないのでさらに奥に向かった。トンガリの集団はリーグたちの感覚で中規模になってきた。


 中規模になると百体ぐらいになるため空中で足止めは無理になる。リーグの水壁は場所を固定して小さく展開できる限度が五十枚ぐらいだったからである。


 リーナはトンガリが攻撃前に背びれを海面から出す動きで襲撃を探知している。そのタイミングで中規模と想定されるとリーグに警告して礁島に退避した。


「狭いけどあのリーフに籠るわよ」


 中規模のトンガリを探知したリーナが小さなリーフを指定した。近くに足場になる良い礁島がなく海面から少しだけ顔を出しているリーフに降り立った。


「ヤバい中規模よりたぶん多い! リーナも内側に風壁を展開して。俺の方は硬めにして小さい方で足を止めさせるから地道に削っていくよ」


 リーグは海水に足が着いたことで海中を探知し百を超えるトンガリに気が付いた。いつもの作戦では過負荷になって水壁が持たない可能性があった。


 リーグは全周囲に硬めの水壁を展開した。リーナもその内側に風壁を展開した。この全周囲に展開する壁が巫女たちの自衛手段である。


 風壁や水壁を巫女たちは高い魔法適性を活かして習得する。全周囲に展開するのが本来の発動であり防御魔法としての本質だった。


 巫女が魔力を込め硬く展開すればほとんどの攻撃は無効化できた。


「ギャリーン……ギャリーン……」


 水壁にトンガリが当たるたびになんとも嫌な感じの音が響いた。硬めに展開している水壁にトンガリの刺突骨が当たり逸れて擦っていく音である。


 リーグが小さい水壁を二十個ほど展開しトンガリに刺させて足を止める。それをリーナが風刃で切り裂いていく。二人は黙々とトンガリの数を減らしていった。


「残りが三十を切ったぐらいだから全部足止めしちゃうよ」


 リーグが終わらせる事をリーナに伝えた。小さい水壁を全て解除し全周囲に展開している水壁の硬さを下げて刺突骨が刺さるように調整した。


「ブスッブスッブスッ……」


 周囲と飛び跳ねながら水壁を攻撃していたトンガリが水壁に刺さりビチビチと身を捩っていた。リーナは風刃を大量に展開して切り裂いた。


「今のは大規模ではないけど中規模よりは多かったね。中規模が二つか三つ合流してたかも。それにしても環礁ベリーの群生地が見つからないね」


 リーグは落とし物の刺突骨だけ形の良いものを拾った。魔石と切身は不要なので海中にポイポイと投げ捨てた。


「んー、天候が少し崩れたのかも。環礁ベリーは外の天気が荒れると奥寄りに引き篭もるよね。あそこに大きめの礁島があるけど経路はどう?」


 リーナは首を傾げて引き篭もりの環礁ベリーを揶揄った。そしてかなり距離はあるが大きな礁島を指さして経路上の問題点をリーグに確認した。


「あそこまで探知は届かないかな。地形的には水路が多いからトンガリが集まる可能性はある。直線的に向かうと礁島もリーフも少ないから右回りがお勧め」


 リーグはざっと調べた事をリーナに伝えた。探知の感触ではトンガリは近くにはいなかった。パールのカイは散っていったし黒いトゲトゲも少なかった。


「それじゃ右回りで行きましょ。あれの頂上に上がれば視界は開けるから次の目標を立てやすいと思うわ」


 リーナは風壁を展開し右方向のリーフが点在する方に駆け出した。リーグも空中に飛び上がってリーナを追って駆け出した。


「あの礁島は大きいね。この階層で初めて見るぐらい大きいよ。拠点のある礁島ともしかして同じぐらいあるのかしら」


 しばらく駆けると礁島の細部とその大きさの実感が生まれた。リーナは近づいた事で拠点のある礁島とほぼ同じような大きさである事に気が付いた。


「あの礁島ってちょっと形がおかしくない?……あれって周囲が岩で中身が砂っぽいんだけど。ちょっとした砂の島って感じになってるよ?」


 大きさに驚いているリーナに礁島の構造が少し不自然とリーグは感じた。


「ほんとだ! しかも何本か木が生えてるよ? 拠点の礁島にある木とは形が全然違う! 天辺だけ葉っぱって……あれココナツの木じゃ〜ん」


 リーナは岩に囲まれた砂の丘という点を無視してぴょこぴょこ生えている木に注意が移った。背丈はそれほど高くないが頂点にだけ葉が付いていた。


 リーナはどんどんと木に向かって進路を変えて進んだ。その後をリーグは追いながら砂がどうやってあの場所に集まったのか考えていた。


 リーグたちは環礁を見つけた時に環礁内で亀裂を見つけるため帆走して確認して回った。環礁が東西に16kmで南北に12kmと巨大だったので時間が掛かった。


 リーグとリーナは亀裂の傍にあった礁島に拠点を置いた。その礁島が環礁内で最大の礁島だった。礁島に見られた砂浜はサンゴが粉砕されできたものだった。


 礁島は東西に長く伸びた細長で東西は5km程度で南北が1kmぐらいだった。


「遠目で見てもやっぱり変だろ。周囲を岩が囲うのはアリだけど砂が積み上がるのは絶対におかしい。でもリーナは木に突撃していくよなー」


 リーナの後を追いながらリーグは明らかにおかしい礁島に警戒していた。


「あーーー! 爆裂ココナツ! 爆裂ココナツが木にくっついてるーー」


 リーナは大声を上げて更に速度を上げて木に突撃していった。リーグは声を聞いて『爆裂ココナツかー』と少し遠い目でリーナを眺め追い掛けた。


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