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ふふ・・・現在デスマーチ最中なのだけれど、いつもは書かないのにそんな時ほど書きたくなっちゃう、っていう、ね(;´∀`)
水と食べ物を貰ってから、なんとか思考を纏めて、アンジェラ嬢に話をした。
まず、記憶について。
これは……どう判断すれば良いのか。
彼女は、大まかな事は覚えているのだ。 人間語を話せなくなる前の事も、話せなくなった後の事も。
しかし、私が誤解を解こうと転移の話をすると、「あぁ、そんな事もあったかしら」と。
私の事をその黒幕だと思っていたようだが、それは誤解だ、と言うと、「そんな事、私知らないわ」と言う。
一生懸命経緯を説明したのだが、「ふ~ん、へぇ~、そうなの」と、まったく関心が無い様だった。
呪われてはいない様なので一安心だが、どうも納得がいかない。
一緒に帰りましょう、と言うと、彼女は首を横に振った。
「私、真実の愛を見つけたの!」などと言う。
質の悪い事に、魔眼で見ても嘘を吐いている様子は無い。
あぁ、脳内がお花畑になって、他の事を忘れているのだ。
「あなた達を巻き込んで悪かったわ。 でも、私はフーゴを愛しているの。 彼と一生を共にする覚悟よ。 彼は……私が居ないとダメなのよ。 私、必要とされているの」
フーゴとは、あの豚野郎の事だろう。
どうにも胸糞の悪い事だ。
「貴女はグランテスト王国の公爵令嬢だ。 ご自分の立場をお考えになったら、一般庶民との結婚も、ましてやオークとの結婚など無理な事はわかるだろう! 種族が違うんだ!」
「ええ、ですから、お願い致します。 貴方達から父上に、私は死んだ、とお伝え下さい」
全てを捨てる、と、毅然と言い放った彼女に、私は激昂し、つい叫んでしまった。
「私だって貴女が居ないとダメだ! 貴女無しでは生きていけないんだ!」と。
私は恥ずかしくなり、その場から立ち去った。
まだ起き上がる事は出来ない。
四つん這いのまま、泣きながら惨めにその場を後にしたのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
突然、エイリーク王子からの熱烈な告白を受けた。
多分。 多分、告白だったのだろうと思う。
エイリーク王子は顔を真っ赤にしながら、私無しでは生きていけない、と言った。
言ったと思う。
いや、それでも私はフーゴを愛している。
フーゴは私を必要としてくれている。 フーゴは私が居ないとダメなんだ。 フーゴは優しい。 フーゴは……
「アンジーさん、モテモテですね! 人間語も思い出せたとこですし、ちょうどコイバナしたいと思ってたんですよ~」
今までずっと黙って、気配を消していた梅ちゃんがニマニマしながら話し掛けて来た。
コイバナ……うん、私も憧れていた。 前世からずっと、コイバナしたかった!
「あのね、フーゴはね、とっても優しいの。 私が狩猟から帰ると、いつも『お疲れ様、ありがとう』って私の頭を撫でてくれて、『喉が渇いた』って言うから魔法で水を出してあげたら、『君が魔法で出してくれる水はとてもおいしいよ』って言ってくれるの。 料理もね、『とっても美味しい』って。 それでね、湿った鼻をピタって頬につけてくれて……」
「あぁ、なんかあのフゴフゴ言ってたのはやっぱりそんなイチャイチャ内容だったんですね。 で、アンジーさんは、そのフーゴさんに何をしてもらったんですか?」
「え? 何って……そうね、初めて出会った時に、お肉を貰ったわ。 その時、私、すごくお腹が空いていて、不安で……あとね、お花畑に連れて行ってくれたり、食べられるお花をくれたりしたわ。 でもね、彼、モテるから、他のオークの娘とも仲良くしてたりして、ちょっと妬けちゃうのよね。 あと、お酒を飲むとちょっと暴力的かも。 まぁ、いつも狩猟とかで身体鍛えてるから私が勝っちゃうんだけどね。 あとはねぇ、ちょっと、マザコン? まぁ、仕方がないわよね。 男性はみんなマザコンだって言うし」
「そのお肉、誰が獲って、誰が調理したんですか? フーゴさん?」
「ん~、多分、女性オークだと思うわ。 そういう役割だから」
「アンジーさん、もしかして、ダメンズ好きですか?」
梅ちゃんは何を言っているのだろう。
フーゴはダメンズなんかじゃない。
優しくて、いつも笑顔で、私を大切にしてくれる。
私は梅ちゃんをキッと睨んで、「ダメンズってどういう事?」と問い質した。
「あ、それはですね~」
梅ちゃんはなぜかダメンズの意味を説明し出した。
何故かその全てがフーゴに当てはまる気がした。
私も人の言葉がわからなくなっていた時期は、つい本能のままに彼女達を攫って来てしまったが、彼女達はグランテスト王国に帰りたいのだ。 当然だ。
だからって、フーゴの事を悪く言うのは許せない。
「貴女達を連れて来てしまってごめんなさい。 でも、私はここで生きていくわ。 貴女達はすぐにでも国に帰ってちょうだい。 私は、この愛に生きグボァッ!!」
突然、梅ちゃんからみぞおちへの一撃を喰らい、私は夕飯を全て吐き出してしまった。
でも、意識は手放さなかった。
瞬間、咄嗟に腹筋に力を入れ、わずかに身体をそらした。
「さすがですね、アンジーさん。 でも、これで逃避行はお終いです。 一緒に帰ってもらいます」
音も気配も無く、背後からいきなり腕をひねり上げられる。
振り向くと、そこには満面の笑みを湛えた、闘神マリンが立ちはだかっていた。
「フゴー!(逃げて)フゴゴゴフゴー!(みんな逃げて)」
叫びながら、私はマリンにそのまま地面に押し付けられた。
更に
「フーゴ! フゴォォォフゴゴ(フーゴ、私は貴方を)」
叫んでいる途中に、マリンに顎を蹴られ、私は意識を手放してしまった。




