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しばらく忙しいから書けない、と前回のあとがきに書いておき~の、まさかの翌日投稿w
や、ほんと、忙しいは忙しいんですよ?(;´∀`)マジでw
梅ちゃんと距離を置くために意地悪をしようと思ったものの、なかなか実践できずにいた。
それと言うのも、私は学園を早退した後に、なんと寝込んでしまったのだ。 そう、筋肉痛で。
その間、毎日授業のノートを私の分まで取って説明してくれて、甲斐甲斐しく看病までしてくれる相手に、意地悪できる人間などいるだろうか。
一応、しようとはしたのだ。
ノートを見て「字が汚くて読めない」と言おうとしたが、梅ちゃん、むっちゃ字きれい!
あ、言葉も字も日本語です。 乙女ゲーの世界なので。
教え方も教師よりも分かりやすく、夜食にはうどんを打ってくれた。 こちらの調味料がまだよくわからないという事で、トマトベースの汁だったけれども。
ハイスペックで非の打ち所が無い。
まず、何と言っても同室というのがよろしくない。
私はなんとか動けるようになってから寮母の部屋へと直談判しに行った。
空き部屋はあるのに、なぜ準備がまだできないのか、と。
寮母は腰の曲がったおばあさんだった。
「はぁ、申し訳ございません。 まずは部屋の状況を見てもらいましょうかねぇ」
寮母に連れられ、空き部屋に入って愕然とした。
部屋の中は埃だらけ、蜘蛛の巣だらけなのだ。
足元の一画だけがピカピカになっている。
「こ、これは、どういう事ですの?」
訊ねる私に、寮母の答えは、毎日毎日少しずつ掃除しているので、1か月は掛かる、というものだった。
メイドは? メイドはどうしたの?
話を聞くと、寮にいる貴族令嬢達のメイドはそれぞれの令嬢の部屋の掃除やお世話、調理師は調理場と食堂の掃除はするが、他はノータッチ。 警備員は警備だけ、庭師は庭だけ、馬丁は馬小屋だけ。
それぞれがそれぞれの仕事に徹しているので、人手が足りないと言う。
だから自分でコツコツやるしかないのだ、と。
「ねえ、エイミー、貴方、手伝ってあげたら? 他のメイドにも声を掛けて」
「業務外です。 その分の賃金を頂けるのであれば考慮いたしますが、ボランティアでお手伝いはできません」
幼い頃から面倒を見てくれたエイミーだが、こんなに冷たい人間だとは思っていなかった。
腰の曲がった老婆が、今、目の前でモップを杖代わりのようにして床を拭いていると言うのに、手伝おうともしない。
私は掃除道具のバケツから雑巾を取り出して絞り、机や家具を拭き始めた。
「お嬢様がそんな事をなさる必要はございません」
「そうですよぅ、お貴族様にそんな事・・・・・・私がやりますんで、お急ぎのようですので、もう、何日徹夜してでもやりますんで、あと何日かお待ちください」
あまりにも冷たいエイミーの言葉。 そして、雑巾を持った私の手を握る、寮母の温かい手。
「エイミー、お父様に早急に連絡を。 学園・・・・・いえ、この女子寮に寄付を。 とりあえず寮付きのメイドを3人くらい雇える金額で」
「お嬢様、ですが……」
「お黙りなさい、エイミー。 口答えは許しません。 不愉快です。 すぐに命令された事をなさい。 お父様への連絡の窓口は、貴女の仕事のはずです」
エイミーは不満気にため息をつき、「かしこまりました」と頭を下げて部屋を出て行った。
悲しい気持ちを押し殺しながらも、寮母に向かって笑顔を向ける。
「さあ、一緒に、できるところまで掃除してしまいましょうか」
「あぁ、お嬢様は天使のようなお方だ」
夕食までに寮母と一緒に部屋の10分の1くらいの掃除を終える。
このまま行けば、1か月も掛からず掃除は終わるだろう。
その日の就寝前に、お父様から寄付金が届いた。
お父様も、愛娘に嫌われたくなくて必死なんだろう。
その愛娘を生贄にしようとしたくせに。 ハゲろ! ツルっと行ってしまえ!
エイミーとは目も合わせずに金貨の入った袋を受け取り、寮母の元へと持って行った。
寮母は涙を流しながらプルプルと震える手で私の手を握り、何度もお礼を言った。
あぁ、気分がいい。
親の金で善行。
これぞ、ノブレス・オブリージュ。
翌朝、寮母は金を持って高飛びしていた。
「ですから、言おうとしましたのに。 そもそも貴族が通う寮で資金不足など、あると思う方が愚かなのです。 あのババア、何かと難癖をつけて寮付きのメイドをすぐ解雇して、その資金を横領していたのでしょう」
「なんで言ってくれなかったのよ!」
「アンジェラ様が口答えは許さないとおっしゃいましたので」
高い授業料はお父様が払ってくれたが、これもプチ家出した時の約束通りだから良しとしよう。
私の授業料は全て払う、と。
私のお小遣いが減るわけでは無いのだ。
「あと、アンジェラ様。 言っておきますが、アンジェラ様の使ったお金は、公爵様のお金ですが、元は領民の税金でございます。 お忘れ無きように」
エイミーは優秀なメイドだ。
年はそう変わらないはずなのに、私は彼女に色々な事を教わってきた。
なのに今回私は、海千山千のババアに騙され、彼女の助言を聞こうともせず、彼女を否定してしまった。
だが、彼女は、私よりも優れていてもメイド。
私がいくら土下座して謝りたい気分でも、それは立場的に許されない。
そんな事はあってはならないのだ。
私はお詫びの気持ちを込めて、エイミーのフィギュアを作った。
が、それは作成途中で本人に「お気持ちだけで結構ですので」と握りつぶされてしまった。




