第59話 新生徒会長と副会長達
ケン=マッケンジーが3年になってから4カ月経った11月下旬に、ウルルス高専では生徒会選挙が行なわれる予定である。
今回の選挙は、5年生になった生徒会長と2人の副会長が同時に任期を終える為、生徒会の正規メンバーが総入れ替えとなる。
本来なら1週間後に選挙を控えた今は、激しい選挙戦の真っ最中であるはずだが、校内にその様子は見られない。
これは、真っ先に生徒会長に立候補したハイド=ノワールのせいだろう。
ウルルス高専一の能力値を誇り、現生徒会のサブメンバーである彼に対抗出来る4年生はおらず、現在までの所、他に名乗り出る者はいなかった。
これは、実力主義のウルルス高専ではたまにある事で、例えば前生徒会長のリエリス=キュンメがそうであり、本人が退学するか辞任しなければ、5年の前期までの2年間の任期を務める可能性が高い。
通常任期は1年なので、もし1年後に立候補者がいれば一応選挙は行なわれるが、よほどの失態が無ければ再選されるだろう。
そうなると副会長選挙にも影響が出るのは当然で、生徒会のサブメンバーである4年生が1人と、3年の2月入学組の1人しか立候補していない。
これ以上立候補者がいない場合は、ウルルス高専では信任投票さえ行われず、自動的に当選が決まり、選挙自体が無くなってしまう。
文句があるなら立候補すればいいだけだし、決まった事に時間を使うのは合理的では無いので、エリート校ではそれも当然だろう。
そして、立候補の締め切りは、今日の午後4時までだった。
そんな日の放課後に、ケンとハイドは3年8組に残っていた。
教室の壁時計は、3時55分を指している。
先程までは、ハイドがケンに勉強を教えていたようだが、さすがに今は雑談しながら時間を気にしているようだ。
「なあ、試験の予想に釣られた僕が言うのもなんだが、明日で良くないか?」
「駄目だ。クラブ活動日以外は直ぐに帰るくせに、ケンは何言ってる。それに、生徒会メンバーとの顔合わせは早い方がいい」
「だけどな、現生徒会メンバーと会う必要は無いだろ。僕より2年も先輩で半年で卒業するし、多分だけど、僕を良くは思っていないだろうしな」(文末参照1)
「それは解っているから心配するな。もう彼らは生徒会には出て来ていない。実質、引退したも同然だ」
どうやらハイドが学科試験の予想問題をネタにして、嫌がるケンを無理に引き止めていたようだ。
その目的は、ケンを新規メンバーと引き合わせる為だろう。
「それならいいけど、もし正規メンバーがいたら、僕は速攻で逃げるからな!」
「相変わらず、訳が解らんな。まあ好きにしろ。それはそれで面白いから構わん」
そう言ってハイドは立ち上がる。
教室を出ようとする彼の後ろを仕方なくケンは付いて行く。
まだ時刻は4時を過ぎていないが、生徒会室に着く頃には結果は出ているだろう。
生徒会室は、校舎からは離れた部室棟の最上階の3階にある。
合計3棟ある校舎からは、1階の渡り廊下で繋がってはいるが、完全に独立した施設だ。
ケンが所属する写真動画撮影部は1階にあるので、ここに来るのは初めてだった。
ハイドは、生徒会室の引き戸をノックもせずに開くと、中に入って行く。
ケンもその後に付いて行くが、中の様子を慎重に確認してから入る。
生徒会室は、入り口が3つに分かれていて、1つは執務室、小さめの資料室、最後に教室1つ半以上はある大会議室が、廊下に対してその順番に横並びになっている。
全てを合わせると、通常の教室3つ分の広さを持つかなり大きな施設で、それぞれの部屋は中の扉で繋がっている。
ハイドが入って行ったのは、当然ながら執務室だ。
執務室の中には学生が2人いるようだ。
その片方は男性で、6つある個人用の机の前に座っている。
もう1人は女性で、所在なさげに部屋の隅にある長椅子に座っている。
ケンは素早く、2人の付けているバッチの色を確認する。
男の方が4年生で、女は3年である事を確かめると、ホッと胸をなでおろす。
ハイドの言っていたように、5年生の正規メンバーはいないようなので、ケンもホッとして胸をなでおろす。
ちなみに、ウルルス高専生は校内にいる時は、校章をかたどったバッチを上着に付ける義務がある。
校章バッチ自体は小さい物だが、入学時期により色分けされているので、見れば何年生かは直ぐに分かる。
この世界では、ごく一部の学校以外は制服が無いので、多くの学校でこの方式を採用している。
もちろん学生証もあるので、正式な身分証明にはそれを使うのが一般的である。
それはともかく、4年の男子は現生徒会のサブメンバーで、名前はジョン=スパーズ。
3年の女子は、今回副会長に立候補した、リムリル=トモハタに間違いないだろう。
学生掲示板に、立候補者の名前とクラスと写真だけは掲示されているので、それくらいはケンでも知っている。
ハイドはスパーズと目が合うと、前置き無しに質問する。
「結果はどうだった?」
すると、彼は笑って立ち上がりこちらに近付いてくる。
「おめでとう、ノワール君。君が生徒会長だ」
ハイドはその手をがっちり握ると、念のために確認する。
「君たち2人を副会長と呼んでいいのかな?」
「もちろんだとも。これからよろしく頼むよ」
そう言って、彼はにこやかに笑う。
その後ろでは、長椅子に座ったままでリムリルが、嬉しそうに頷いている。
ハイドは彼女の方に顔を向けて、自信に満ちた声で話しかける。
「リムリル=トモハタ君、君とはほとんど話した事は無いが、これからは同じ生徒会の仲間だ。遠慮せずに何でも言ってくれて構わない。副会長として、俺を支えてくれ」
そう言われた彼女は、跳ねるようにして立ち上がると、遠慮がちに近寄って来ておずおずと右手を差し出す。
「…こちらこそ、よろしくお願いします。生徒会の仕事は初めてなので、最初は慣れないと思いますけど、直ぐに戦力になると思います」
ハイドは、彼女ともがっちりと握手を交わす。
彼女は耳まで真っ赤になるが、その表情は嬉しそうだ。
その様子を見ながらケンは思う。
(…僕は、場違いだよな。今回の選挙に立候補してない、新参のサブメンバーなんだから当たり前だけど。それにしても、トモハタさんは分かりやす過ぎる。…ハイドって、やっぱりモテるんだ)
ケンが、執務室の入り口近くで所在なさげにしていると、新副会長のスパーズが声をかけてくる。
「ケン=マッケンジー君だね。私はジョン=スパーズだ。早速来てくれるとは感心したよ。最近は体調もいいと聞いているから、頑張ってくれ」
そう言って右手を差し出す彼は無表情で、さっきハイドと握手をした時とはえらい違いだ。
明らかに歓迎されてはいないが、ここでもめるほどケンは馬鹿ではない。
その手をがっちりと握ると、にこやかに笑う。
「僕は、生徒会長が慣れるまでの雑用係だと思ってください。半年しか協力出来ないのは残念ですが、精一杯やらしてもらいます」
それを聞いたスパーズは少し驚いたようだが、成績1割アップの件に気付いたのだろう。
複雑な表情を浮かべて、繋いでいた手を離す。
(きっと、何でハイドが僕を選んだのか理解できないんだろうな。多分、僕を馬鹿にしてるんだろうけど、ハイドの手前でそれを態度にも表せないってとこか? そんな事をしても、ハイドの派生能力の前では無駄なのによくやるよ)
4カ月近く友達付き合いしていたケンは、その理由を知っている。
基本的に、ハイドは何でも出来るので雑用以外のサポートはいらない。
真面目な優等生である事は間違いないが、自分が論理的なくせに、非論理的な事が好きな変人でもある。
ただし倫理観には厳格なので、そのさじ加減が難しく、少しずれてる程度が彼には面白いらしいのだ。
しかも、世話焼きのお節介だから、その条件にぴったりのケンを無理にでもサブメンバーに選んだ訳だ。
何とも不思議な関係だが、ケンもハイドの事が気に入っているので、他人からどう思われようが構わない。
お互いが親友とまでは呼べないが、ケンとハイドは何となく馬が合う。
ケンが自分の能力を隠しているので仕方がないが、それが無ければ無二の親友になったかもしれない。
実際ケンは、頭の良さや魔術の構築速度以外は全てハイドを上回っているのだから。
次にケンは、リムリルの方に向き直ると、軽く胸に手を当てて挨拶をする。
日本で言うなら会釈の様な感じだろう。
「トモハタさん、半年間だけになると思うけどよろしくな」
そう言われて、今までハイドの方を向いていた顔を渋々こちらに向けてから、彼女も同じように返事をする。
「こちらこそよろしく」
彼女は正直なようで、全く愛想がない。
嫌われているというよりは、無関心なのだろう。
だが、これも予想していた事だからケンは気にしない。
それに、自己紹介をしてもらわなくても、彼女は有名人だから知っている。
リムリル=トモハタは、ケン達より一期上の3年生で、同期の中ではトップの実力を持つ才媛だ。
有名な政治家の娘で、その能力はウルルス高専の中でも5本の指には入るだろう。
彼女が副会長に立候補したから、他に立候補者が出なかったといっても過言ではない。
ハイドが好きな事は今日初めて知ったが、傍から見たらお似合いと言ってもいいだろう。
(それにしても、トモハタさんはダメだな。ハイドみたいなタイプは、友人を大事にしないと嫌われるぞ。まあ、仲を取り持ってやる義理も無いし、ほっとくか)
ハイドにその気があるかどうかは解らないが、好き嫌いはともかく、恋愛感情なんて論理的な思考では無いので、彼の『分析』ギフトで見抜けるかどうかはケンには予想出来ない。
だとしたら、積極的に告白するか、誰かに仲介してもらうのがいいだろう。
ケンだって、お互いにその気があるならば、間違いなく仲を取り持っただろう。
だが、リムリルは失敗した。
ハイドは意外に人情家だから、友人を大切にする。
嘘でもいいから、ケンとは仲良くしておくべきなのだ。
例え上手くいっていても、彼女にケンを馬鹿にする気持ちがあれば、彼はあっさり別れを切り出すだろう。
とりあえず挨拶を交わした4人だが、結局、副会長2人にとっては、ケンは生徒会長の金魚のフン扱いなのだろう。
ケンの悪名は、ウルルス高専の3年生以上は全て知っているから、それも仕方がないし、ケン自身も訂正する気は無い。
だいたい彼は、他人を悪い噂や能力値で判断する人物は嫌いなのだ。
もちろん、ケンだって多くの友人を作りたいが、こちらが謙ってまで付き合ってもらおうとは思わない。
ただし、普通に話してくれれば、たいていの人と仲良くなれるのに残念だとは考えているが。
実際、ケンは3年8組のクラスメイト達とは、この4カ月でそれまでの事が嘘のように仲良くなっている。
これは、友人のハイドの存在も大きいが、ケンの社交的な性格も関係している。
そう考えれば、生徒会メンバーとも交友を温められる可能性もあるが、サブメンバーという立場では難しいかもしれない。
ケンの味噌っかす具合を証明するかのように、サブメンバーである彼を除いて、生徒会執務室では正規メンバー達のミーティングが始まっている。
ケンは空いた席に大人しく座っていて、他にやる事も口をはさむ事も無く、正規メンバーの話し合いを聞いている。
一見ボーっとしているように見えるが、彼の思考は忙しく動いている。
これはヨシトと約束した、魔術思考プログラムの修業をしているからだが、もちろん頭や魔蔵の中の事だから他人が普通に見ても分からないだろう。
魔術思考プログラムは思考の補助をする高度な魔術なので、彼の持つ5つある思考のうちの4つを使って、シミュレーションをしている。
少し具体的に言えば、ヨシトに詰め込まれた魔術知識を記憶から引っ張り出しながら、彼の持つ思考力に合わせて頭の中の魔力野や魔蔵を使って、効率の良い思考補助プログラムを組む試行錯誤をしている。
その効果は、スキル化の促進と技の精度や威力を上げる事だ。
地球人の感覚でいえば、具体的な実感を伴なった高度なイメージトレーニングに近いかもしれない。
今は、彼の得意な体術の思考補助プログラムを組んでいる最中である。
これは、彼が使える技の中で、最もスキル化に近いものである。
ケンがそんな事をしてる間に、正規メンバーによる話し合いは終わったようだ。
ボーっとしているように見える彼を見て、ハイドは少し心配したのか、ミーティングで決まった事を報告してくる。
「ケン、念のためにもう一度言っておくぞ。新生徒会の活動開始日は12月に入ってからになる。今回は引き継ぎをする必要がないから、サブメンバーはそれまでは来る必要は無い。つまり、後1週間近く時間がある訳だ。それまでに、クラブには休部届を出しておけよ」
その内容は、残った一つの思考で聞いていたので、改めて説明されなくてもケンは知っている。
思考補助プログラムを組んでいる間は、よほどアホな様子に見えたのだろうかと思い、これからは表情にも気を配る事にする。
ともかく、もう用事は終わったのだから、これ以上ここに長居をするつもりは無い。
ケンは帰ろうと思い、立ち上がろうとしてふと思い付く。
「僕の事もそうだけど、一応ハイドも写動部の部員だろ。部長が居るかどうか解らんけど、まず報告するのが筋じゃないのか? もう用事は終わったんだよな?」
「…それもそうだな。休部届をここで書いてから、部室に寄ってみよう」
2人が執務室で休部届を書き終わると、もうここでする事は無くなった。
その間に副会長達が部屋の片づけや戸締りをしてくれていたので、時間はまだ午後5時にもなっていない。
4人全員で生徒会室から出て、ハイドが鍵を閉める。
副会長達と部室棟の一階で別れてから、ケンとハイドは写真動画撮影部に向かう。
2人が部室の前に着くと、ケンが扉をノックする。
中から、「はーい!」と声が聞こえるので在室のようだ。
「よかった。メニエル部長、いるみたいだ」
「そうだな、2度手間にならずに済むようだ」
ケンは扉を開けて中に入る。
部室の中にはケン達以外に3人、つまり写真動画撮影部全員がそろった事になる。
2人の姿を見たソフィア=メニエルは、驚いている様に見える。
ケンはともかく、ハイドが部室に来る事はほとんど無いからだろう。
だが、前もってケンから生徒会活動に参加する可能性を聞かされていたメニエル部長は、今日が立候補の締切日だと気付いたのだろう、直ぐに我に帰って2人を出迎える。
「2人そろって部活に来たのは、ノワール君が生徒会長になった報告ですか?」
「はい、そうです。それとケンから聞いていると思いますが、2人分の休部届を持って来ました」
ハイドからそう言われ、少し悲しそうな表情をしたメニエル先輩だが、
「おめでとうございます。ノワール君が生徒会長になってくれて私も心強いです。無理せずに頑張ってください」と気丈に返事をする。
「ありがとうございます。半年間だけケンをお借りします」
「ええ、分かっています。…ケン君、出来ればでいいけど写真撮影だけは続けてね」
「はい、基礎はメニエル先輩に教わりましたから、そうしたいと思います」
言うまでも無く、ケンが休部すれば写動部で写真を撮影するのは彼女だけになってしまう。
復帰後に腕が落ちてしまって、彼女をがっかりさせない為にも、ケンもせめてそれぐらいはしておこうと考えていた。
「そうだ、せっかく全員そろったんだから、写動部らしく撮影しましょう」
「賛成です。みんなもいいですか? どうせなら、ノワール君のお祝いパーティも一緒にしましょう」
ケンとメニエル先輩の提案に部員全員が賛成すると、部室内でジュースだけのささやかなパーティが開かれる
同時に、三脚に立てた受像機とビデオカメラを使って撮影会も始まる。
操作魔術があるこの世界では、セルフタイマーなど無くてもシャッターが切れる。
三脚を使わなくても何とかなるが、そこら辺は画質にこだわる写動部員としては、譲れないのだろう。
部員たちが、そこそこマニアックな談議に花を咲かせていると、急に思いついたようにメニエル先輩が提案してくる。
「ノワール君は生徒会長に就任したら、もう部活動をする事は無いと思うの。結局、あなたに写真動画撮影部らしい活動を一度もさせてあげられなかったのは、本当に残念です。ねえ、これが最後のチャンスだから、撮影会に参加してみない?」
ハイドは、少し迷ったようだが頷いた。
基本的に彼は義理堅く手ちょっと変わった事が好きな男だ。
「…そうですね、ケンも参加するんなら構いません」
「僕もかよ! …いや、そうだな。そうするのが一番いいか」
元々、ハイドを誘ったのはケンだし、これから少なくても半年はクラブ活動に参加出来ないのだから、それくらいは参加しないとメニエル先輩に義理が立たない。
これは是非ともヨシトに言って、修業を休みにしてもらうしかないだろう。
その後、部員たち全員で話し合った結果、ケンとハイドとメニエル先輩だけで、休みの日を目一杯使って、日帰りの撮影旅行に出かける事になった。
全員参加による撮影会は、これが最初で最後になる訳だから、メニエル先輩は部員全員で行く事にこだわったが、動画撮影部門の2人は首を縦に振らなかった。
もちろん、撮影対象が違うという表向きの理由はあったが、恐らく写真動画撮影部設立に関わった3人に華を持たせたのだろう。
このようにして、ハイド=ノワールの写真動画撮影部員としての最初で最後のクラブ活動が決定した。
一度決まってしまえば、メニエル先輩もハイドも盛んにその話をしていて、撮影旅行を楽しみにしているように見える。
もちろんケンだって、それ以上にワクワクしている。
休みの予定が1日埋まった分だけ修業が遅れるが、今の彼には友人たちと過ごす特別な時間の方が何倍も大事だ。
期待に胸をふくらませながら、ケンも撮影旅行の話に参加し、具体的な予定を決めて行った。
解説
(1)現生徒会メンバーがケンを良く思っていない理由に付いて
ケンが現生徒会メンバーと会いたくないのは、被害妄想からではありません。
ハイドをサブメンバーに指名した、現副会長と会いたくないんです。
その副会長は、キュンメ先輩がケンをサブメンバーに推薦しようと根回ししていた人だから、ケンとキュンメ先輩が仲が良い事も何となく気付いています。
ケンが断ったので副会長はハイドを選んだ訳ですが、キュンメ先輩の信奉者である彼は、ケンを良く思っているはずはありません。
劣等生にもかかわらず、憧れの先輩と仲が良い上に、彼女の善意の提案を断り、結果的に彼の下に付く事を断ったから当然ですね。
キュンメ先輩は、その事を彼に口止めしてくれていますが、ケンと会えば嫌みの一つも言われる可能性はあります。
特に、その辺の事情をハイドに知られる事だけは避けたいので、ケンはこれまで一切生徒会との接触を避けてます。
そもそもケンは、その副会長が卒業するまでは、ハイドのサブメンバーになるのを断ればよかったんです。
でも、キュンメ先輩に言われるまで彼は気付きませんでした。
ハイドとサブメンバーになる約束した後に、キュンメ先輩に申し訳なく思ったケンは、よせばいいのに、わざわざその事を彼女に報告しました。
『私の申し出は断ったのに、結局生徒会に入るのね』と、彼女から嫌みを言われ、
『でもいいのかしら? 副会長が気を悪くするわよ』と、その辺の事情を説明され、
『私が副会長に口止めしておいたから感謝しなさい』と、完全に弱みを握られて、
尚更、彼女に頭が上がらなくなったケンは、うかつ過ぎます。
彼女にからかわれても、仕方ないかもしれません。




