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第51話 閑話 ケンのギフトと魔道具造り


ケンがウルルス高専に入学してから10カ月が経っていた。

相変わらず友人と呼べる人は1人も出来なかったが、その理由も解っているし、どうしようもない事なので受け入れている。


彼の先生であるヨシト=ウッドヤットは、その辺りの事情を聞いて理解すると、

『別にウルルス高専にこだわらなくてもいいんだぞ』

と言ってくれているが、ケンには転校する気はない。

ウルルス高専の生徒達から無視されていても、この街で知り合った予備校時代の友人もいるし、休みには魔道具造りの教室にも参加しているので、学校以外では人間関係には苦労していない。

元々彼は社交的だから、都市の生活にも馴染むのも早かったし、近所の人からも可愛がられている。

だからそれほど辛くない…、と思い込むようにしている。


何よりケンには親友のレクサとレオがいる。

彼らとは長い間、会えていないが、特にレクサとは月に一度は文通を続けている。

もう社会人として働いている彼らの事を考えれば、へこたれる訳にはいかない。

自分の苦労なんて、親友達の境遇に比べれば些細ささいな事なのだ。


彼にとって一番大切な事は、もうすべて整っている。

恵まれた国の人間族に生まれて、一般人よりも恵まれた資質を持っている。

大好きな家族、将来の夢や希望、それを助けてくれる優秀な先生までいる。

例えヨシトと立場が入れ変われるとしても、ケンは断るだろう。

後は自分の頑張り次第で、全てが決まるだけなのだから。



そんな訳だから、ケンは今日も元気にウルルス高専に通っている。

相変わらず体調は悪いが、入学式以外は倒れる事もなく医務室のお世話になる事もほとんど無い。

だが、一度付いた印象は強烈なようで、少し体調が悪いだけで体育教練は見学となってしまう。

魔術の授業は本来なら大得意なのだが、まだ基礎段階とはいえ実力を出す訳にはいかないし、実技は見学する場合が多いので、じりじりとトップとの差は開いている。


そして、一番の問題は、苦手な学科の成績だ。

これの克服には、彼は大胆な方法を取った。

どうせ参加出来ないならと完全に開き直って、能力値強化の授業時間は職員室に顔を出しているのだ。

それくらい勉強に力を入れないと、成績上位者との差は詰まらないからだ。

もちろん、担当教師に了解を取っているから表面的には問題は無いはずだ。

今日もウルルス高専の職員室では、彼の元気な声が聞こえる。


「アントニオ先生、また質問に来ました」

「マッケンジー君、私は君の専属教師じゃないよ。

…まあ、座りなさい。今日は何が解らないのかね?」


そう言いつつも、アントニオ先生は嬉しそうな様子だ。


この世界でもそうだが、先生というのは努力する生徒が好きである。

まして、教えがいのある生徒なら尚更だ。

ケンは応用力はあまり無かったが、一度間違えたミスを繰り返さない。

歩みは遅いが、確実に前進していくタイプなのだ。

やる気のある教師にとって、これほど理想的な生徒はめったにいない。


ケンは職員室の中を渡り歩きながら、次々と先生達に質問していく。

すっかり慣れた先生方も、彼を好意的に受け止めているようだ。

だが、ここまでしても彼の学科成績は下から3番目だった。

最も、実力は着実に上がっているので彼は気にしてはいない。



次に、能力値強化に付いては、ヨシトによると順調なようで、

『だいたいコツをつかんだから、もうそれほど心配はいらないぞ。

もちろん気は抜けないから、診察は続けるがな。

多分だけど、予定よりは少し伸ばしてやれるかもしれないな』

と言ってくれているので期待している。

魔道具のせいで詳しい能力値は計測出来ないが、ヨシトの目分量は信頼出来るので何の心配もしていない。


能力値強化といえば、それに耐えきれない同期生が体調を崩したりして授業を受けられず、もう10人近くもウルルス高専を退学している。

その辛さは解っているので、ケンは一度ヨシトに聞いてみた事がある。


『ヨシト先生、もう少し楽に強化できないんですか?

同期生の2割が耐えられないて異常ですよ』


『何言ってるんだ。ケンにほどこしている強化の方がよっぽどきついんだぞ。

俺にはその辛さは解らんが、ケンより大変な思いをしてる生徒はいないはずだ。

ケンの高い回復力を差し引いても、それは間違いない。

だいたいだな、高専の生徒達に今ケンの魔蔵に掛かっている負荷を与えたらショック死するはずだ』


『…せめて、痛み止めとか鎮静剤を使うとかすれば、もう少し退学者は減らせると思うんですけど』


『それは無理だ。

一時的ならともかく、常に痛みや倦怠感を取る薬を使えば、自分で魔蔵を鍛える邪魔になって、最悪の場合は寿命が縮む。

俺が調合した強化薬は効率が良いから、普通よりはかなり能力値は伸ばせるが、根本は変わらない。

能力値は自分で鍛えるしかないんだ』


ケンは、医学の基礎知識は完璧に覚えさせられていたが、人体強化に付いては詳しく知らなかったので驚いた。

それから師弟間で質疑応答しつぎおうとうが続いたが、ケンは納得するしかなかった。

事情が解れば解るほど、ヨシト先生は特別な存在であると改めて理解せざるを得なかった。



体質改善と体力の強化については順調な様だ。

もう体質の改善は終わっているので、もっぱら体力強化のトレーニングだけを行なっている。

ただ、体に埋め込まれた魔道具の影響により、ケンは自分の身体魔素の増加分を認識出来ない状態にある。

擬似的にかせをかけられた状態なので、意識的に肉体の力を100%引き出せず、以前より体力が上がっているとは実感出来てはいない。

もっとも、我を忘れる様な事でもあれば別だろうが。



最後は魔道具造りとケンのギフトに付いてである。(文末参照1)

魔道具造りについては、彼は週に一度だけでは無くて、ヨシトが作業場にいる時間に同席して修行しているので上達も早い。

『5年でマイスターレベルにしてやる』とヨシトに言われているので、ケンは積極的に魔道具だけではなく、魔術機械の勉強もしている。


今日も学校から帰って来た後、夕食までの間に2階の工房でヨシトの作業を見ながら教わって、簡単な魔道具を造っている。

もちろん、まだヨシトとは比較にならず、店に正規に出せる商品を造れるほどの腕では無い。

ウッドヤット家2階の工房では、いつものようにヨシトの声が聞こえる。


「今までは基礎理論や簡単な魔術刻印の打ち方を教えて来たが、今日からは実際の魔道具の加工を修行してもらう。

まあ、店に出す一番安いタイプのアクセサリーだから、今までと同じく見ながら覚えるように」


「はい、楽しみです」


弟子の良い返事に、ヨシトは頷いてから作業場の倉庫に置いてある銀のインゴットを操作魔術で取り出す。

今日は、魔銀のアクセサリーを作る予定だ。

ケンを含めて、学生が造ったアクセサリーは、見習いが造った特価品として店の保証無しでワゴンセール品として売られている。

とはいっても、粗悪品を出す事は無いので、非常に人気があってすぐに売り切れる。


まず、銀を魔銀に冶金やきんする訳だが、これはケンにはまだ出来ない。

普通の魔銀は、銀に数種類の希少金属を溶かし混ぜてから造るのだが、人間族の職人の多くは溶鉱炉の様に物理結界内で魔術を行使して冶金やきんする。

この程度ならケンにも出来るが、ヨシトの造る魔銀は、非常に特殊な製造工程や精密な魔術が必要なのでケンにはまだ無理なのだ。

もちろんヨシトのギフトを使えば、こんな手間をかける必要はないが、全ては弟子の為でもあるし自分の腕を鈍らせない為でもある。


しばらくすると物理結界が解除され、小分けされ、冶金された魔銀の塊が作業台の上に置かれる。

これを材料にして、いよいよ魔銀の加工が始まるのだ。

ヨシトは作業の手を止めずにケンに話しかける。


「魔銀はそれほど扱いが難しくないから、形を整えるだけに集中した方がいい」


ヨシトの前に、9個の直径1センチ程度の魔銀の塊が並べられている。

もちろんヨシトが魔術を使って用意した物だ。

それが、加工魔術を使って、指輪の形になって行く。


「了解しました。先生の様に魔術だけを使うんですか?

僕のギフトの派生能力を使えば、加工は楽なんですけど」


そう言いながらもケンは、ヨシトに以前に習った魔銀の特徴を思い出しながら、見よう見まねで魔銀を加工していく。

師匠の手順をまねるのは、弟子としては当然だろう。


「当然だな。効率的な修行の為にも、『曲折』ギフトはなるべく使わない様にしろ。

加工魔術を使いこなせるようになれば、ギフトによる加工は身に付くが、逆はダメだからな」


ヨシトは、もう既に9個の魔銀の指輪を造り終えている。

彼の造った商品は、もちろん正規品として一階の店舗で売られている。

彼の持つ並列思考の数は10個、そのうちの一つを会話に割り振り、残りの9個で加工魔術を行使しているのだ。

さすがの彼でも、並列思考数を10にすると、頭の良さは秀才レベルにまで落ちるが、それでもぎりぎり10個の最上級魔術を行使出来るのだから、相変わらずチートというか見事である。


「はい、分かっています。

…でも本当に、意志付けした固体を曲げるのは派生能力なんですか?

昨日、先生にギフトを確認してもらった時は、そんな感じはしませんでしたけど」


ケンも何とか魔銀の指輪を一個造る。

彼は5つの並列思考を持っているが、通常は使わない。

フル活用はすごく疲れるので2,3時間程度しか持たないからだ。

彼にとっては今の所3つの思考を使うのが、長丁場では一番効率がいいのだ。

いま彼は、まず魔蔵の思考力を使って加工魔術を行使し、頭の思考の一つでヨシトの話に付き合い、最後の思考で魔力視の魔術を使ってヨシトの魔術を観察している。


「ああ、ケンの持つギフトの本質は操作系で、曲げる事と折る事だ。

マリよりも使い勝手がいい上に、戦闘時の切り札になる。

ちょっと卑怯なくらいだな」


ヨシトは更に9個の魔銀の指輪を造る。

店では一個5000ギルで売っているので、これでしめて9万ギルである。

ちなみに、魔銀の指輪は値段が安い事もあり、学生達が主に買っていく。

学生達が作る魔銀の指輪は一個2000ギル程度なので、特に獣人族の学生達に人気がある。

魔銀は魔術との相性がいいし、身体魔素を少し蓄えられるので魔術の補助に使えるのだ。


「…先生に言われても嬉しくありませんよ。

だいたいトリプルギフトって何ですか?

しかも、3っつ目が自動『防御』ギフトなんて、規格外すぎます」


そう言いながらも作業の手は止めていないが、ヨシトほど速くは造れない。

それでも、今現在のヨシトの弟子の中では、マリに次ぐ腕を持っている。

ワゴンセールでマリやケンの商品を手に入れた人は、かなりお値打ちな買い物をした事になるだろう。


もうケンは、ヨシトの能力については全て知っている。

トリプルギフトもそうだが、思考念波魔術の使い手だと聞かされた時は驚いた。

『ケンには思考念波魔術は無理』とその時に言われたのは地味にショックだったが、自分がそんなに都合のいい力を持っているなんて思ってなかったので、今は全く気にしていない。


「文句なら女神様に言え。…まあともかく、ギフトの修業は魔力体が安定するまで後回しだ」


ヨシトは、これでもう27個の指輪を完成させた。

今日の製造予定は200個程なので、あっという間に作業は終わるだろう。


2人は、作業の手を休めず会話を続けている。

だが、これ以降は会話に集中した方がいいだろう。

彼らは、しゃべりながら単純作業を続けているだけなのだから。



「先生の理屈は分かりますけど、少しはギフトの修業もした方がいいんじゃないですか?

だって、僕は本来の能力を上手く使いこなせていませんよ。

相対角度の制御すら出来てません」


「まあ、俺だって『防御』ギフトを制御するのは大変だった。

ケンの『曲折』もそれだけすごいギフトだって事だ。

だから、もっと成長すれば使いこなせるようになる、…かもしれない」


珍しくヨシトは自信なさげだ。

彼をもってしても、ギフト関係の事は予測不能な事が多い。

いきなり制御できるようになったり、特性が変わったり、派生能力が増える場合まである。

基本的には、訓練する事で使いこなせるようになるが、努力しても全く無駄な場合もある。

ただ、ギフトの派生能力に関連する魔術を使いこなせるようになると、その思考力が応用出来て、派生能力の制御力まで上がるので魔術を鍛える方が効率的と言う訳だ。(文末参照2)


「でも、認識した物体の移動方向を曲げるだけの能力は、意外と役に立ちませんよ。

完全な反射も出来ませんし、今は方向を正確に操れませんし、速度も変えられないから、本当に適当に曲げるだけです」


「だがな、曲げる対象は惑星ルミネシアに対して動いていれば何でもいい訳だから、戦闘にはうってつけだ。

相対角度も170度まで可能だから、反射と大して変わらないしな。

しかも有効範囲も半径100mと広いし、1日の使用制限もかなりゆるい。

イメージさえ出来れば瞬時に発動できるのも大きいしな」


「曲げる物を認識しないと駄目ですから、何が動いてるか解らなければ役に立ちませんよ。

制限が緩いと言っても、固体なら直径20m以内に収まっていないと全く曲げれません。

せめて速度を変えられたら、すごく役に立つんでしょうけど」


「おいおい、それじゃあベクトル操作になってしまうぞ。

そうなると、そこまでの威力は出ないだろうな。

それに物体の認識については、探査魔術との組み合わせで克服できるはずだ」


「でも、不意打ちなら対処出来ません」


「…何だか否定的だな。自分のギフトが気に入らないのか?」


ヨシトの作業をする手が止まる。

そうなると、ケンも中断するしかない。


「…僕は、ヨシト先生みたいな『防御』が良かったです。

もちろん、贅沢ぜいたくな事なのは分かっていますけど、このギフトは人を助ける力じゃ無くて傷つける力です」


「いいや、それは違うぞ。力は全て使いようだ。

例えばもう一つのギフトの力、『折る』方だが、これは実にすごい。

金属限定だが10m以内なら意志付けしなくても直ぐに折れるなんて、相手の武器を問答無用で無効化出来る。

もちろん、これも認識する必要があるから、隠し持った武器や不意打ちには弱いが、無用な争いなら避ける事も出来るだろう」


再びヨシトは魔銀の指輪を造り始める。

ケンもホッとした様子で作業を再開する。


「そうですよね、やっぱり使いようですね。

…でも、今は使いこなせません」


「そうだな、相手が止まっていないと折れないんじゃ、襲われたらアウトだな。

だけど、曲げる方なら、ギフトの一日制限量をあまり気にする必要もないから、そっちで対処すればいい。

いずれにしても、学校でも本来の能力は使わないようにしろ。

派生能力の気体や液体を操る力で、戦闘訓練も対処するようにな。

操作系の派生能力は鍛えやすいし、何より切り札は隠しておくべきだから丁度いいだろう」


ヨシトにそう言われて、ケンは不満そうだ。

魔術に加えて、ギフトまで制限を受けるのはさすがに嫌だからだ。


「理由は解りますけど、意志付けするのは時間がかかりますよ。

直ぐに使える能力を封印するのは納得出来ません」


「固体ならそうかもしれんが、気体は有効範囲が広いから100m以内から集めれば5秒程度で十分な量が集まるはずだ。

液体だって、20m以内に池でもあれば30秒程度でいい。

ともかく、気体を意志付けして相手を吹っ飛ばせば逃げられるだろ。

だから、まずケンは怪しいと思ったら、大気を意志付けすれば何とかなる。

ケンのギフトの特徴は、相手が知らなければ絶対的に有利な立場に立てる事だ。

逆に力がばれると、対処しやすいから弱点を突かれかねない。

だから、日常生活では本来のギフトの能力は隠した方がいいんだよ」


手を休めずにようやく5個目の指輪を造り終わったケンは、納得して自分の考えを修正する。


「そうですよね。肝に銘じます」

「せっかく誤解して住民登録されているんだから、ラッキーだと思うように」

「調停者様に申し訳ないような気がします」

「なぁに、そんなこと言ったら、俺なんてナタリーメイ院長先生に顔向けできない。

そもそもギフトの登録なんて『個人情報保護法の違反』だ」

「急に日本語を入れないでくださいよ、ビックリしますから」

「仕方ないだろ。この世界にはプライバシー権なんて、無いのも同じなんだから。

…さあ、次は魔道具の修理について教えてやる。部屋を移るぞ」

「はい、1階ですね」


2人は、1階に向かい内階段を下りる。

当然、ヨシトの造った200個の魔銀の指輪も一緒である。


こんな感じで、ケンの修業は順調に続いている。

今は一日一日が、彼にとってはその何十倍にも相当する貴重な時間である。


設定および解説

(1)『曲折』ギフトについてまとめておきます。

その本来の力は、動いている物体の方向を曲げる力と、真っ二つに折る力です。

影響範囲は、曲げる力の方はケンを中心として最大半径100m程度です。

折る力は最大半径10mで、二つにしか折れません。

いずれも、イメージするだけで使えますので、意志付けする必要はありません。


派生能力は以前説明していますが、ギフトで意志付けした液体や気体を操作したり、固体を曲げたり、折り取ったり、くっつけたりする力です。

派生能力の影響範囲は、気体で半径100m、液体は20m、固体は10m程度です。

意志付けした物質しか操作出来ませんから、固体は完全に意志付けする必要があり、時間がかかります。


このギフトの制限は、曲げる物が何かをケンが分かっている必要がある事です。

ただし、それがどういう現象や物なのかをイメージ出来るかどうかだけですから、制限はかなり緩いです。

つまり、不意打ちには弱いですが、あらかじめ何が来るか知っていればほとんどに対応出来てしまいます。

例えば、曲げる対象が魔術やギフトなら、それが何か知っていれば方向を曲げられますし、銃弾はこちらに来る事さえ分かっていれば、100m以内に入れば視界にとらえるだけでもその方向を曲げられます。

もちろん、あくまでも運動方向を曲げる力ですから、180度反射や速度変化は出来ません。


動いている物体が固体ならば総体積の制限があり、直径20m以内に収まる物体に限られます。

固体は一塊として扱いますので、一方向にしか曲げられません。

例えば、歩いている人相手にギフトを使えば、北に向かっていたはずが、いつの間にか東に向かって歩いているなんて事になります。

形を持たない液体や気体や魔術等は、曲げる方向をイメージ通りに指定出来ます。

流れを数本に分けたり、拡散とか収束とかが出来る訳です。

今の所は、ケンは大よその方向にしか曲げれませんから、収束は無理です。


曲げる力の1日の使用制限は、曲げる物質に含まれる天然魔素の体積の総和です。

この世界では、固体や液体や気体や魔術はもちろん、電磁波さえも微量に天然魔素を含んでいますので、全ての物質の運動方向を曲げる事が出来ます。

もし、ケンがこの力を完全に使いこなせれば、可視光は電磁波の一種ですから、直径200mの虫めがねを作れてしまいますね。

ちなみに、重力場や電磁場そのものの方向を曲げる事は出来ません。

ただし、一度曲げるたびに体積が蓄積されていくので、何度も使うと1日の使用制限に引っ掛かります。

それでも、直径20mの固体なら100回以上は曲げれる設定にしています。

操作系は魔素消費が少ないので、設定上はそうなってしまいます。


一方、折る力と派生能力はエネルギー制限です。

まだケンが未熟なので、折る力と派生能力の両方とも制御しきれていません。

今の所ですが、折る力を使うには、金属限定でほとんど停止している必要があります。

派生能力についても、細かい操作は出来ません。

だだし、細かい操作については、練習すれば直ぐに上達すると思います。

いずれにしても、かなり役に立つギフトといえます。



(2)ギフトと派生能力について

ギフトは女神様の力の超劣化コピーです。

魔術ではなくて奇跡の一種なので、理論ではないですし、ギフトの変化や制御は人の魂に関係しています。

魂は、この世の物ではありませんのでヨシトにもギフトについては理解できないのです。

そして、その威力や一日の天然魔素使用量は、生まれる時の魂の質量や存在情報によって決まるという裏設定が有ります。

言い変えれば、それ以外は鍛えられます。

鍛えるといっても魔術の様に練習しても効果はあまり無く、全ては魂の成長と関係してきます。

努力すればギフトの制御力まで上がるのは、人生経験が魂の成長と関係しているからです。

つまり、魂が成長すればギフトは変化したり、より正確に制御出来たりする設定です。


ただし、ギフトの派生能力は別です。

本人の思考力による影響が大きいので、難しいですが、人の技でも何とかなります。

だから、加工魔術を鍛えてギフトの派生能力の上達につなげるヨシトやり方は間違っていません。

つまり、魂の成長が無くても、ギフトの派生能力は制御出来ます。


ちなみに、ケンの場合は魂の容量は平均的ですが、存在情報は特殊ですし、何より女神様が直接、癒しています。

一日の天然魔素使用量を抑えるなら問題ありませんが、せめて威力を上げたり、特殊性を持たせないと設定上おかしなことになります。

そして、オリジナルギフト『曲折』は、彼の魂の記憶に関係しています。

『あの時、曲がる方向を間違えていなければ』とか、『せめて車が真っ二つになれば、自分以外は助かったのに』とか、そんな記憶が魂に残っていたからです。


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