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第18話 マッケンジー家の日常


「お母さん、ミレーヌ町で申請してきたよ」

ステラ村のマッケンジーとルルの店に帰ってきたマリ=マッケンジーは母親に明るく報告した。

結局マリは、成年自立手当を母の実家があるミレーヌ町の土地占有に決めたようで、6月末にミレーヌ町役場で申請を行なったそうだ。

店のカウンターから出て来て、娘の前に立ったルル=リンクは声をかける。

「やっぱり、お金より将来の安心を選んだのね。流石さすがは我が娘、気骨があるわね」

自分の提案に乗った娘に、母親は少し誇らしげだ。

「でも、お金も多分心配ないと思う。おじいちゃんのおかげ」

「リンク家に寄って来たのね。おばあちゃん家にも寄って来たの?」

「うん、おじいちゃんとおばあちゃん、すごく元気だった。おじいちゃんが『お父さん以外に宜しく』って言ってた。それを聞いたおばあちゃんは怒ってたけど」

悪戯っ子ぽく笑う娘に、ルルも苦笑する。

「本当に元気そうで変わってないみたいね。…ダンがいなくてよかったわ」

「だから言ったの、お父さん落ち込むから」


客のいない昼過ぎの店内であっても、このまま立ち話を続けるのはどうかと思った2人はカウンターの中に入って仲良く並んで椅子に腰掛ける。

しばらく、母の実家の出来事について話していたマリは、思い付いて立ち上がる。

「せっかくだから、お茶を入れてくる」

マリが住居スペースで紅茶を用意している間に、ルルは中断していた伝票整理を再開する。

ちょうどその時、父親のダンが帰って来たので、ルルは娘にもう一つ紅茶を用意するように声をかける。

ダンはそれを聞いて、カウンター越しに妻に話しかける。


「マリが帰って来ているのかい? 僕の可愛いルル」

「ええ、ダン、成年自立手当はミレーヌ町の土地占有に決めたそうよ」

彼は、妻の言葉を意外そうな表情で聞くと、修理道具を床におろして、カウンターを挟んで椅子に腰かける。

「それで、どんな土地にしたんだい?」

「まだ聞いてないの。あなたも一緒の方がいいと思って」

妻の気遣いに嬉しそうな表情をするダン。

娘が来るのを待つことにした彼は、あごに手を当てて遠慮がちに目の前の彼女に話しかける。


「お義父さん達は変わりなかったのかい?」

「ええ、マリちゃんの話ではそのようね。色々とお世話になるから、手紙を書かなきゃ」

あっさりとした様子の彼女に、夫らしいとこを見せようとして、やはり遠慮がちに提案する。

「なあ、僕も手紙を書いた方がいいんじゃないかな。娘がお世話になるんだし」

ちょっと考えたルルは、少し表情を崩して答える。

「私が父宛に書くから、あなたが母宛に書いて一緒に送りましょう。それが一番いいと思う」

彼は少し唇に力を入れ「そうだね、そうしよう」と告げた。


マリがお盆に3人分の紅茶セットを抱えてやってくると、カウンターを挟んでの親子のお茶会が始まる。

香りを楽しみ、一口紅茶に口を付けたルルがマリに話す。

「それで、マリちゃんはどんな土地にしたの?」

「えーっと、大きさはこの家と変わらない建物付きで、おじいちゃんの家から歩いて5分くらいの場所。土地も120坪近くあって、前の道も広くてビックリしちゃった」

これには両親とも驚く。

田舎の村ならともかく、ミレーヌ町は面積が広いとはいえ、結構有名な町で人口も多い。

そんな良物件は普通あり得ない。


「それはすごいね。でも一体どうやってそんな良い土地が手に入ったんだい?」

父の疑問に、クスッと笑ったマリは、紅茶を一口飲んだ後に答える。

「私、町の事は良く知らないから、おじいちゃんに役所に一緒に付いて来てもらったの。おじいちゃんが役所の係の人と話して、裏技を使って掘り出し物を見つけてくれたんだ。その土地は、獣人族の商人が元々在った古家を買い取って、立派に建て直して住んでいるんだけど、権利関係がややこしかったのをおじいちゃんが調整してくれたの。普通そんな場合は、土地の占有権は支給されないんだけど、私が建物の所有権を買い取る形にすれば問題無いそうなの。でもそれなら、商人さんにはメリットがないから、家を売る必要がないのをおじいちゃんが交渉してくれたんだ。商人さんは、そこにもう10年住んでいるから、後20年経つと、町の永住権が手に入るという法律があるんだって。だから、土地建物の一括の賃貸契約を条件に交渉すると、あれよあれよと言う間に話が進んで、結局その場所に決まって公正証書契約をしたの。私は20年分の家賃から建物の改築費を引いたお金を手に入れて、商人さんは直ぐに永住権を手に入れられる。おじいちゃんは本当にすごいと思った」


獣人族は、ある程度大きな町の場合だが、永住権を持っていないと土地の占有権が認められない。

つまり、古家を買い取って改装するならともかく、新築する事は認められない。

だから商売人の場合は、必死で永住権を手に入れようとするが条件が厳しい。

居住実態のある賃貸契約を結んで30年は一般的な条件だが、今回の場合は既に10年の実績がある為、公正証書を使った契約により、先に賃貸料を全額払い込むことによってその条件を確定させるという裏技を使ったのだ。

これによりミレーヌ町は、複雑な権利関係を整理でき、今後500年近く安定収入が得られ、将来は優秀な人間族が住民になる事にも期待できる。

商人は永住権を前倒しに取得出来る上に、そのまま住み続けられるし、改装にかかった費用を家賃と相殺出来る。

マリも通常より何倍も大きな土地の占有権と改築された立派な建物の権利を取得出来て、相場の半分程度ではあるが20年分の賃貸料である2000万ギルの資金を手に入れたのだ。

20年後に再度契約を結び直すかどうかは未定だが、その場合は相場での家賃とするという特約条項を契約書に入れている念の入れようだ。

これは三方に利益を出す、商人としては一流の仕事である。


ルルは当たり前のように娘に質問する。

「お父さんは相変わらずやり手みたいね。しっかりその商人から、立会人の手数料を取ってたでしょ?」

「うん、その通り。でもその商人さん喜んでた。リンク商会の会長に立会人になってもらえるなんて、商人としてのはくが付くって」

ダンは、商人としての格の違いを見せ付けられ、がっくりと肩を落とす。

だが、悔し紛れではなく、娘を心配する父親として一応確認して見る。


「マリ、その場合は成年自立手当の再申請は出来ないよ。土地使用料も払わなくっちゃならないし、それに、20年間はその家には住めないけどいいのかい?」

あっさりと頷くマリ。

「うん、大丈夫。何かあったら相談しろっておじいちゃんもおばあちゃんも言ってたし、元々、住むつもりなかったし、管理も全部お任せするつもりだから。それに土地使用料は、50歳まではすごく安くて年間10万ギル程度だし、25歳まではその半額だから大丈夫。私は就職先で小さなアパートを借りれば済むから何も問題ないと思う」

言われてみればその通りなので、ダンは一言も無い。

そもそも、自分の提案であるアビス市で申請して部屋をもらう場合、家賃は取れても5,6万ギルで、しかも借り手がいなければお金は入ってこない。

そして、物件の価値は下手をしたら10倍近く違うかもしれない。

父親の様子を見て、気を使ったマリは言葉を重ねる。


「お父さん、おじいちゃんに任せておけば心配ないよ。商会が忙しくて今回の契約には関係してないけど、いざとなったら、おばあちゃんもいるし。…そうだ、おばあちゃんが、お父さんによろしくって言ってたよ」

おばあちゃんと聞いて、ダンの背筋が伸びる。

リンク商会の実権を握っている義母は、ダンにとっては全く頭が上がらない人物である。


そんなダンの様子を珍しく見ずに、ルルは手を組んで何か思い悩んでいるようだ。

少しして、ルルは夫に話しかける。

「それにしても、さすがにここまでしてもらったら、一度挨拶に行かないといけないわね。ダン、私は来週にでもミレーヌ町に行ってくるわ。その土地も見ておきたいしね」

彼も条件反射で返事を返す。

「ああ、じゃあ一緒に行こうか。僕もお義父さんに御礼を言った方がいいと思うしな」


マリとルルはお互い顔を見合わせ頷く。

「お父さん、店を閉めるのは良くないよ。手紙を渡すだけで十分だよ」

「あなた、久しぶりに親子水入らずもいいと思うの。だから心配しないで」

2人のその様子に、ダンは顔を悲しそうにしかめて、ひきつった笑い声とともに立ち上がる。

「ははっ、そうだな、それがいいかもな。…ちょっと倉庫の整理でもしてくるよ」

トボトボと、店の裏口から出て行くその背中には哀愁が漂っていた。



「お父さんに悪かったかな? すごく落ち込んでたよ」

父親の後ろ姿を見送った後、マリはぽつりとつぶやいた。

ルルは苦笑して、倉庫にいるはずの最愛の夫を遠い目で見つめる。

「160歳以上の年の差があるのに、比べて落ち込んでも仕方ないのにね。ダンの良い所は、そんなのじゃないのに」


彼女にとってはそうだろう。

もし生活力にこだわるなら、ルルはダンとは結婚して無かったかもしれない。


「お母さんは、お父さんのどこが一番好きなの?」

娘の素朴な質問にルルは少し戸惑う。

小さい頃ならともかく、成人を迎えた真面目な娘が聞いて来るとは意外だからだ。

そして、母親の直感でピンとくる。

「なるほど、マリちゃんは好きな人が出来たんだ」

マリは少し目を見開いたが、顔を赤くしてコクリと頷く。


(あらあら、可愛らしいこと。このは浮いた話一つなかったのに、とうとうマリちゃんにも春が来たか)

ルルは、マリの方に体ごと向き直り、優しく微笑むと手を握る。

「ダンとはね、マリちゃんが生まれる5年前にアスカ町の商会で知り合ったの。始めはお互いそれほどでもなかったのよ。私は商会で修行中だったし、ダンはこの店を軌道に乗せるのに必死だったから」


マリは驚いて顔を上げる。

そう言えば、両親の馴れ初めを聞いた事は多分ないと思う。

こんな両親だから、始めから一目ぼれ同士でアツアツだと勝手に勘違いしていたのだ。

自分の場合とは違うので、少しがっくりしたマリだが、興味があったのでそのまま黙って母の話を聞く事にする。


「この村は、ほとんどお客さんがいないでしょ。だからダンは週の半分以上はアスカ町で出張修理してたのよ。私が働いていた商会の下請けでね。ダンのギフトは『修復』だから若いのに腕がいい職人だって商会の噂になっていたの」

そんな過去があったとはマリは知らなかったが、そう言えば今でも父は、中古の飛空車を飛ばして、ステラ村から160kmほど西南西にあるアスカ町へ泊りがけで行く事が多い。

今でもそのつながりの仕事を受けているのだろう。


「始めはお互い、余り興味がなかったのよ。私にもダンにも別にパートナーがいたし、商会で話す機会なんかほとんど無かったしね。でも、アスカ町にはゾンメル教の教会が一つしかなかったから、礼拝で良く顔を合わす様になったの。それで何となく気が合って、友達からすぐ恋人同士になって、パートナーを兼ねるようになって、もうそれから後は一直線ね。今思えば結婚するのは必然だったと思うわ。話していて楽しいし、宗教も一緒で、体の相性もいい。私のギフト『加工』と、ダンのギフト『修復』との相性は抜群だし、ちょっと他に結婚相手は考えられなかった。だから、思い切って結婚しようと思ったの。ダンの力になりたかったのよ。まあ、それからが色々大変だったけど、今ではいい思い出ね」

赤裸々な告白を聞いて、マリはモジモジとする。

両親の馴れ初めを聞くのがこんなに恥ずかしいとは思わなかったのだ。

「だから、マリちゃんの質問への答えは、どこが好きとか嫌いとか、そんなこと考えたこともなかった、ってとこね。一番も二番も関係ないわ。確かに嫌いな所もあるけど、些細ささいな事よ」


マリはその話を聞いて、今の自分とヨシト=ウッドヤットの事を考えてみる。

ヨシトとマリの関係は、どう見てもただの文通相手である。

始めにマリが自分の体調を報告する手紙を書き、それにヨシトが返信した事がきっかけになり、もう1年以上も月に1,2回程度の手紙のやり取りが続いている。

お互いが筆まめだから、これは自然の流れだろう。


文通をやってみて解ったが、手紙のやり取りを続けるのは、普通に会うよりずっと想いがつのるものだ。

だが、彼の手紙の文面を見ていると、それはマリだけであり、ヨシトはただ親切なだけのように思える。

それでも彼に手紙を貰うだけで、マリは幸せだった。

そして、いくら親子でも考え方が違うものだとマリは思った。


考えてみれば、母の様な論理的な思考や計算も無く、ただただ相手の事を全て好きと言うのは異常なのかもしれない。

一方通行でもいいから、相手の都合も考えず手紙を送り続けるのは、自分勝手で醜くくて、何て恥ずかしい行為だろうとマリは自己嫌悪する。

何より、本当は彼に迷惑がられているかもしれないと思うと、悲しくて苦しくて胸がつまる。


だけど手紙を読むと、すぐそばに彼がいる様な気がして、嬉しくて楽しくてたまらない。

こんなに苦しくて、そして恋しくて、今すぐ彼の住む街へ飛んでいきたいぐらいなのに、理性や知性が邪魔をして、これ以上は踏み込めない。

何故なら、彼にとっては、自分は子供過ぎて恋愛対象にもなっていない事に、優秀な彼女は嫌でも気付いてしまうのだから。

それならば、どうしたらこの恋は、彼の心に届くのだろうか?

一目ぼれで、一方通行で、子供扱いされ、相手の眼中にない場合は、一体どうしたらいいのだろうか?

まさか、彼に自分の思いを打ち明ければ、全て解決するとでも言うのだろうか?

玉砕覚悟の特攻が幸せになる為の戦いだとは、彼女にはどうしても思えなかった。

母の体験談が全く参考にならす、自分の気持ちを持て余しているマリは途方に暮れる。


娘の様子を見て、ルルは握っていた手を肩に置き、優しく問いかける。

「マリちゃんは、もうパートナーが必要な状態なの?」

可愛く首を横に振る娘に、更に言葉を重ねるルル。

「好きな人と結婚したいと思ってる」

少し迷ったが、「はい」と答える。


ルルは彼女の肩から手を放して居ずまいを正す。

「マリちゃん、良く聞きなさい。私達人間族は、好きな気持ちと性欲と子づくりは別だと考えなさい。体の相性や性格が全く合わない人と結婚する事はないけど、獣人族と違って、恋愛して体を求めて、その延長が結婚でもないわ。結婚は好きな人と言うより、子供の事を考えてするのが普通よ。恋愛もプレイ(性交)も結婚も、実は根っこでは繋がっているとは思うの。だけど、それを切り離せるのが人間族よ。私達夫婦の場合は特殊なの。私達や、村の人達を見てそれが普通だとは思わないようにしなさい。相手にそれを求めてしまうと、上手く行くものも駄目になるの」

マリは母親の言葉を聞き、友人達のこと思い出す。

高校時代や大学での人間族の友人達は、はっきりとその辺りを分けていて、ステラ村の獣人夫婦とはあまりにも違っていた。


理屈では解っていたが、改めて実感する。

今は彼と恋人同士になりたいが、体だけの関係であるパートナーになる場合もある。

魔力体の相性は高いのだから、そうなる可能性が一番高いと思う。

そしてそれは、人間族にとっては当たり前のことなのだ。

まだ魔力体が安定しておらず、性欲の無い自分には解らないが、それで我慢できるだろうか?

だが、恋人より先に彼にそれだけを求められたら、きっと断れない、断りたくない。

でも、割り切れるだろうか?

好きな気持ちを抱えたまま、性欲を解消するだけの関係になって、それで幸せなのだろうか?

その時、自分がどうなるかは解らないが、覚悟だけはしておこうとマリは思った。


そして、それだからこそ、大切な事を改めて確認する。

パートナー以外を目指すなら、今の自分の戦いはやはり間違っていない。

恋人になる為には、お互いの相性や相手の事情もあるから自分の気持ちを一方的に押し付けるだけでは駄目なのだ。

幸せになる為には体以外も鍛えて、磨いて、彼と釣り合いの取れるようになって、お互いを必要とする関係になるしかない。

時間がかかっても構わないが、その結果、自分の気持ちが変わる事だってあるかもしれないし、考えたくないが全く相手にされない可能性だってある。

しかしそれは戦いの結果であり、後悔だけはしない自信がある。

たとえそれが敗色濃厚でも、母の話を聞いて人間族の恋愛を理解したマリは、悪い結果をしっかりと受け入れると覚悟も出来た。

一応ゾンメル教徒である彼女は、戦いを大して恐れず努力をそれほどいとわず、不幸な結末も何とか受け入れる覚悟は元々持っていたのだから。

不安と期待が入り混じった心に、更に強い火が燃え盛る。


「お母さん、解ったわ。肝に銘じます」

娘の力強い返事を聞いて、ルルはにっこりと笑うと、リラックスした様子で笑顔で娘に話しかける。

「でもね、心も体も生活基盤もぴったりの相手を選ぶのが一番よ。さっき言った事さえ覚えていれば、後は自分自身の気持ちと相談してどうするか決めなさい」

マリも笑って頷いた。


「さあ、次はマリちゃんの番よ。どんな人を好きになったか、お母さんに白状しちゃいなさい。相談に乗ってあげるわ」

「えー! ちょっと恥ずかしいんだけど、言わなきゃダメ?」

「だーめ!」

2人は笑い合うと、それから仲良くコイバナに花を咲かせたのだった。





「お父さん、どうしたの?」

ケンが学園から帰ってくると、ダンが空を見上げ、たそがれていた。

「なあ、ケンよ。男はつらいな」

「何言ってんのかわかんない」

ダンは口の端だけで笑うと、息子の顔を見ずに口笛を吹いた。


「お父さん、倉庫の扉が開けっぱなしだよ。荷物も出しっぱなし」

目ざとく見つけたケンが、父親に注意する。

口笛を止めて、息子に向き直ったダンはボーとしたまま答える。

「ああ、人生ってままならない」

さすがにケンも気付く。

父親の悪い病気が始まったのだ。

多分、また何か落ち込む事があったのだろう。


「ちくしょー! みんな貧乏が悪いんだ! お父さんは悪くない」

「はいはい、悪くない悪くない」

たまにある事なので、ケンも慣れたものだ。

「よし、こうなったら、錬金のスキルが手に入るように女神様にお祈りしてくる」

一目散に、教会に向かって走り去るダン。


「ああ! お父さーん! 片付けないとお母さんにまた叱られるよー!」

ケンの声は父の耳に届かず、後には倉庫の荷物だけが庭に散らばっていた。


『だめだこりゃ!』

ケンの日本語でのギャグも、誰の耳にも届かなかった。

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