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49話 人・物・金・情報

 人口1万人程度の街。


 この街には、騎士団員の数が1000人居ると言われている。他にもハンターなど、多くの者達が戦いに関係した者という、他の街では見られないような、前線の要塞とでもいった感じのある雰囲気。実力主義で、力を持つ者は尊敬される……魔物と戦う者達が多い街。それがここ『ファナリス』だ。


 その街の中を、動き回る小さな人影が――


「よし、次は市場に向かうぞ~」


「わぅ。珍しい物が、いっぱいありますね~」


「レンディ様、市場は南側の地区にあるようです」


 街の中の色々な場所を見回りながら……楽しそうに、品揃えを調査をするマスター。


 マシロとドッペル2人を引き連れて、売られている商品の値段だけではなく、どこから入荷した物なのかなど、事細かに調べ始める。


「値段が高くて利益になりそうなのは、調味料もいいなぁ」


「わぅ。前に海で作ってた、塩とかですか?」


 塩と醤油だけじゃ、足りないからなぁ~と答えながら、マシロにも商品について教えていくマスター。


 時折り独り言のように、ぶつぶつと呟いたりしながら……あれもいいなぁ~。これもだなぁ。などと悩みながら、品揃えを調査をしていく。


 商店をさらに大きくしていくには、経営の基本となる……人・物・金・情報どれも必要になる。うちの強みは、武器と薬の二本柱。それをさらに品揃えを充実させて、柱となれるような商品を増やしていきたいなぁ。


 まるで、経営者のような考え方。

 ダンジョンだけではなく……商店を基盤として、何かをするつもりなのだろうか――



 ◇



「ただいま~。セバスチャンが居れば呼んでくれ」


「――レンディ様、お帰りなさいませ。何かありましたか?」


 屋敷に帰ってきてから早々、セバスチャンを呼んで相談を始める。


 街を見て回って気づいたのは、武具以外にも……食事や生活用品の文明度が、それほど高くなかった。それでも、まるで異世界人がちぐはぐに情報を伝えて、一部だけ文明度が高いといった、アンバランスな感じも受けるという、妙な感じを受けた。


 今日発見した中でも、一番重要視しているのは……。

 高級品として売られていた『砂糖とバター』だ。


 砂糖はてん菜のような物から作れるという事と、バターはそれ専用に育てている牛が居るみたいだ。


 普通に買おうとすると、値段も高額で手に入れにくい。それを、なんとしてでも手に入れて、自分達で生産出来るようにしたい。これから作ろうとしている物に必要となってくる、重要な素材だ。


「セバス。砂糖とバター作りのための、てん菜と牛。他にも、色々と手に入れてもらいたい物がある……」


「わかりました。なんとしてでも、手に入れて来ましょう」


 経営方針を、セバスと情報を共有しながら相談していく。


 てん菜と牛。そして、数種類の小麦を購入して試そうとしているのは――『お菓子のお店』である。


 商店で聞いて回ってみても、甘い食べ物というのはほとんどないみたいで、素材さえ手に入れば……ダンジョン内で大量に作成して、珍しいお菓子屋や、デザードを作れるようになる。


 自分でも食べたいし、まさに一石二鳥!


「やっぱり、問題は人材だよなぁ。物作りにも、売りさばくにも人が足りない」


「はい。応募して集まってきていますが、即戦力となる人材は難しい所ですね」


 セバスに現状の様子などを、さらに詳しく聞いていく。


 ドッペル達は下働きが精一杯という感じで、経営や交渉などを任せるには、まだまだ時間が掛かるみたいだ。そこで、現地で知り合った人や、将来性のありそうな人を、高額な給料や待遇で引き入れている最中のようだ。


「元々ドッペルには向いてない事も多いだろうし、現地で良い人が居れば、どんどん引き入れてくれ」


「はい。おまかせください」


 まさに、適材適所。


 外見を変えて、笑顔の練習などで、表情を作れるようになり、人並みに生活は出来るようになってきた。


 それでも……まだ産まれたばかりで、人生経験を積んだわけでもない。


 人の感情という心を、まだ理解しきれていないドッペル。その状態で交渉をしろといっても、今はまだ難しいだろう。



 ◇



 街での経営をセバスチャンにまかせた後は、ダンジョン候補地の調査だ。


 周囲の地理などを調べた結果……。


 街と本拠地の間には、人間達が『魔の森』という広大な森があり、その森の中には……かつて人が住んでいたと思われる遺跡がある。すでに調査も終わっており、今は魔獣が潜む廃墟になっているとか。


「立地や距離的にも問題ないし、後は現地を見てみないとだなぁ」


「わぅ。弱い魔物がいて、数だけは多いみたいですね」


 どんなダンジョンにしようかなぁ~。などと……現地に着く前から、イメージを膨らませているマスター。


 命を懸けるに値する。

 珍しい物が手に入る。

 冒険心がくすぐられるような、そんな場所。


 何かを求めて、人が集まってくるような……そんなダンジョンを作るのは、本当に難しそうだ。


「んん~~っ。とりあえず、まずは作ってみてからだなぁ。ダメだったら、その時にまた考えよう!」


 悩んだ挙句、いつも通りに直観に頼ってしまうようだ。


 目指すは、人が集まる迷宮都市。

 ダンジョン運営は、まだまだこれから。やるべき事はいっぱいだ――


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