48話 懐かしい仲間達
『ガタン、ゴトンッ』
街道を二頭立ての馬車で進む、少人数の一団がいる。
ワイバーンで近場まで移動した後は、マスターの時空魔法でしまっていた、馬車を取り出して、ウォーホースに繋げてから、街道の道を移動する事になった。
「う~ん。盗賊でも襲ってこないかなぁ……定番だろ!」
「わぅ……?それって、どんな生き物なんですか?」
「レンディ様。辺境に盗賊は居ませんよ。魔獣にやられてしまいます」
マスターが、テンプレ展開とかないの?などと、意味不明な発言をしながら一人で騒いでいる。
盗賊という単語を知らないマシロが、それって美味しい生き物なのかな……?などと、見当違いの事を思い浮かべる中、セバスチャンは……いつも通りに、冷静な受け答えを返す。
時々、森の中から現れた魔獣を倒したりして、順調に街道を進む。
街までは、残り3時間程。
通常なら5日程かかる距離を、ワイバーンで大幅に短縮する事が出来たおかげで、本拠地のダンジョンから、あっという間の進行速度。物資などが必要になった時は、ホークを伝書鳩のように使って、手紙で連絡を取り合う予定だ。
◇
道なりに街道を進んでいくと、遠くに高い城壁に囲まれた、街が見えてくる。
「マシロ、セバス。街が見えてきたぞ!!」
「わぅ。立派な壁ですね~」
「こちら側は魔獣が多い地帯。人は少ないですね」
馬車を引く馬に跨ったまま……やったぁ~!と両手を上げながら、マシロ達にも到着を伝える。
城壁を眺めた後は、セバスに言われて馬車の中へと戻り、入り口を通過するための会話などをまかせる。
城壁前で馬車を止める。
ここで街に入るための検査かぁ。セバスに言われて書いた書類が、ちゃんと使えればいいけど……。外見的には人間の子供と同じだから、ばれなきゃ大丈夫かなぁ。
「身分証を確認させてもらおう。立派な馬車と紋章だが、どこかの貴族か商人かい?」
「私はドラゴニア商会の者です。今日は仕入れた物を運んでまいりました。こちらが登録証と、身分証の発行書類になります」
門番相手に、丁寧な対応をするセバスチャン。
ドラゴニア商会は、セバスチャンが経営する商会の名前だ。武器・防具・薬・雑貨など、多種多様な物を取り扱っている。今やその規模は『大商会』と言ってもいい程だ。
マスター達は身分証を持っていないため、事前に用意してあった、身分証発行の書類を見せると、仮身分証を手に入れる事が出来た。
商会の名前は、いずれ落ち着いたら……『ドラゴニア帝国』という、国を興そうと思っていて、そこから名前を、シンプルに決めてみた。
「これで身分証は問題ないぞ。それにしても、最近噂になってる、あの商会か……」
街には出入口となる城門が3か所あり、その中でも……人通りが一番少ない、北側に位置する城門。
自分達以外には……ハンターらしき者達が数名いる程度。
検査については登録証と身分証、そして馬車の中身を軽く見ただけで、あっさりと城門を通過する事が出来た。
ハンター達の装備って、あんまり強そうじゃないなぁ~。
ここはやっぱり。
武具をもっと『売りさばくチャンス』かもしれない!
「城門は、思ったよりも簡単に通れたなぁ~」
「わぅ。書類を用意してよかったです。それにしても、人間の匂いでいっぱいですね」
「はい。私たちの商会が、有名になったおかげでもあるのでしょうか」
木造で建てられた家に、早くも興味津々といった感じのマスター。街の中の景色に釘付けだ。
馬車には、大量の武具などが積んである。荷物の事もあり、セバスチャン達が暮らす家に、まずは向かう事になる。
◇
2重となった城壁が聳え立つ、街の中。
内側の城門で、また軽く検査をしてから、さらに進んでいくと……裕福な物達が住む地域へと入る事になる。
その景色は……大きな敷地がある屋敷が立ち並び、見るからに豪邸です。と言わんばかりだ。
「レンディ様、そろそろ到着いたします」
「思った以上に、すごい所だなぁ~」
「わぅ。立派な家がいっぱいです」
まさに田舎から出てきたばかりといった感じで、キョロキョロと周囲を見回すマスター。
「この家が、私たちのホームとなります」
『『お帰りなさいませ』』
セバスに案内された場所では、メイドやハンターらしき服装をした者達が、きれいに勢揃いして、マスター達を出迎える。顔をよく見てみると、見た事のある者達ばかり。ドッペルゲンガー達だ。
懐かしい顔ぶれに、自然と笑顔が浮かぶ。
これからは、この家を活動の拠点として、動き回る事になる。やる事はいっぱいあるけど、やりがいのある事ばっかりで、楽しみだなぁ。自然と心がわくわくしてくる、不思議な感覚だ。
「みんな、ひさしぶり。また会えて……本当に、嬉しいよ!」
「わぅ。仲間がいっぱいですね」
ひさしぶりの仲間に、一人一人に握手をしたり、ハグをして喜ぶマスター。
今回一緒に来た者と、この街に居た者を併せると、人型の者だけで総勢25名。他のメンバーも併せて考えると、さらに大所帯だ。
ついに、人族の街へと到着したマスター達。
これからまた、活発に動き回る事となる……。




