50話 火山の恩恵
大陸の辺境には『魔の森』と呼ばれる、巨大な木々が広がる森がある。
そんな場所にも関わらず、暮らしている魔物達が何かに怯えて、ある者は逃げ出し、ある者はひっそりと身を潜めて様子を伺っている。
人里離れた、静かな場所。
そこに現れたのは……。
ワイバーンの群れを引き連れた、大勢の配下達だ。
「なんか、思ってたのと違う……!」
「わぅ。連絡したら、いっぱいきてしまいましたね」
守護者のソラやセレネを筆頭にした、50名程の大群だ。
「来ちゃったなら、もうしょうがないかぁ~」
「キュ。魔物、退治する~」
「レン様。私達にまかせてもらえれば、もう大丈夫ですよ!」
呆れたような表情のマスターとは違い、犬のように尻尾を振りながら、無邪気で楽しそうなドラゴンのソラ。そして、やる気充分といった感じで、決意を新たにするセレネ。
更にセレネから話しを聞いて見ると……先行組として、すでにライガー達は現地に到着しているみたい。
なんかみんなさ、やる気ありあまってない~?
待ち合わせ場所からは、さっそくワイバーンで現地へと向かう。
「へぇ~。ここが古代遺跡の廃墟かぁ」
「わぅ。なんか埃っぽい所ですね」
「ガウッ。敵を追い払って、待ってましたぞ」
崩れた住居のような場所などを、興味深そうに確認していくマスター達。
周囲にはライガー達の戦闘の後もあったが、事前に調べていた情報通りに、それほど強いモンスターは居ないみたいで、簡単に追い払えたようだ。
住居の中などを調べてみても、数百年は経っていそうな程に劣化が進んでいて、使える物もほとんどない様子。そして、更に周囲の様子を調べてみると、気になる所もあった。
「ここにも火山灰があるんだなぁ~。ラッキー!!」
「わぅ。本拠地の近くにもあったやつですね」
近くにある丘の斜面を見てみると、火山灰が積もって出来たような層があり、魔の森にある山々の火山が、この辺りまで届いていたんじゃないかと、予想出来る場所があった。
地層を眺めていると……ふと、ある事を思い出してハッとする。
それは、最近悩んでいる事に関係がある。
ズバリ、ダンジョンに人を呼ぶための『財宝』だ!
火山灰があるという事は、地底から財宝となる物も一緒に出てきているかもしれない。
それは……神秘的に輝く『宝石』
有名なのは、水晶や長石、ザクロ石やガーネットなど。
「キラキラさんないかなぁ。キラッキラ~!」
「わぅ……?」
マスターの目が嬉しそうに輝き、火山灰から何かを探すように動き回る。
魔法で圧力と炎を操作して、人工で宝石を作る事も出来るが、自然に出来た宝石というのも興味がある。
これからのダンジョン運営に向けて、貴重な資源にもなるし、調べてみる価値はありそうだなぁ――
「よし。宝石や鉱脈がないか、探してみよう!」
目標を見つけると、急にやる気が湧いてくる。
配下達を集めて、火山灰などと共に、きれいな石や珍しい石があれば、集めてもらうようにしてもらう。本拠地では、何ヵ所かそういう場所も見つかってはいるが、新しい鉱脈や宝石などの場所が見つかれば、また新たな資源となる。
それに、火山灰だけでも貴重な資源。最近は、消費量がすごい事になっている――
それは『ローマンコンクリート』に使っているからだ。
素材は簡単。
火山灰、石灰、火山岩、海水を混ぜて使うだけ。
2000年もの年月を耐えるという、驚異の建材だ。
レンガ作りの家の隙間や、道作り、水路などの水回りなどなど、色々な場面で使っている。
近くに火山があった。
その事だけで……色々な使い道があって、生産面では非常に助かっている。
まさに、自然の恵みに感謝。
積もっている、火山灰に感謝である。
廃墟となった過去の遺物を見ながら、これからの未来を考える。
「う~ん。ここに迷宮都市を作るにしても……時間が掛かりそうだなぁ」
「わぅ。街作りは大変ですね」
街作りと並行して、ダンジョンの作成も行っていかないといけない。
前世の知識で、人工宝石の作り方は知っているが、それも大変な作業だし、どういう風に進めていけば、効率的に財宝となる物を生産していけるかなど、考える事はいっぱいある。
そして街にとって重要なのは、人が生きていくためには、衣食住が重要となる。
街を作るという事は、もちろんそれだけではやっていけないし、他にも様々な問題が山積みのように残っている。仲間たちの助けを借りながら、一つ一つ問題をクリアしていければいいなぁ。
「よ~し。それじゃぁ、キラキラした光る石を、誰が最初に見つけるか……競争だぁ~!!」
「わぅ。競争するなら負けません!」
みんなが地上を探し回る中……数十分後には、上空から鷹の目を活かして見回していたホークが、キラリと光る石を見つけたとか……。
宝石を探したり、火山灰などを集める作業を、仲間と楽しそうに行うマスター。
こうして徐々に、街とダンジョン作りが始まる事となる――
苦労して作り上げた結果が見えるのは、まだまだ先の事……。
後にこの町は、宝石を産み出す迷宮都市『ジュエルシティ』と呼ばれることとなる――
そしてすぐ傍には、街を支えると言っても過言ではない、貴重なダンジョンがある。
一攫千金を狙い、ハンターなどが必死に命を懸けて挑む場所。
『宝石モンスター』と言われる、珍しい魔物が徘徊する、危険な場所だ……。




