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終焉:とある少年のはなし
カーテンの隙間から差し込む朝日に、目が覚めた。いつの間に寝ていたのか、制服のままだった。
慌てて飛び起きて、階段を駆け下り風呂場に駆け込んだ。
何とか間に合ったと、おはよう、と教室に声をかける。
腹を抱えて笑っていたらしい千歳が、涙目のまま驚いたように駆け寄った。
香川康貴は腫れた目を抑えていた。慌てふためく千歳に、香川は首を傾げた。指を指されて初めて気づいたように、ああ、と頷いた。
何故だか起きたら泣いていたと話す。それから少しスッキリしてると付け足した。
いやな夢でも見たのかと首をかしげる千歳に、首を振る。
切ないような嬉しいような、悔しいような夢を見た。
それは恋では、と今度は色めき立つ千歳に、それはないといいながら、なんだか半身を取り上げられたような気分だと話す。
赤桐は、本を開いたまま、勝ったんだからいつかは取り戻すよと告げた。
何言ってんだ適当言うなよと、千歳は肩をすくめた。




