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4-4とある仲間入りの話
最後の一粒が滑り落ちたのを見て、女は立ち上がる。静かな部屋から外に繋がる扉に手をかける。
部屋を出てすぐ、男が座り込んでいた。
最近飾ったばかりのそれを、ぼんやりと見上げているようだ。指先が鋭利な何かに傷つけられたように赤く染まっている。そして、端には見覚えのない血文字が付け足されている。
女は目を細めた。
「……誰だ、あんた。ここの家の人間か?」
男は少しぼんやりした表情で、女に振り返る。
「あたしは赤桐。あなたは?」
「……俺は」
男はゆるりと絵画を見上げる。自分の指先と、文字と、炎に炙られる男、首のない女。それらを目で辿って、男はまた口を開いた。
「……俺は、伊織。それ以外は、どうやら忘れたらしい」
女は男を部屋へと招いた。どうやら男は自分の靴を取り戻せたらしい。女は男に言う。
「終焉屋へようこそ、二代目。ここは、滅ぼされた世界。終焉を迎え、朽ちることすら叶わない世界。あなたはこれから、ここであなたの終焉を待たなければいけない。ここから出ることは許されない。気が遠くなるような時間を一人で待たなければいけない。世界に奉仕すること。それが、あなたに課された使命だ。……歓迎するよ、伊織さん」
貴方の話はまだ始まったばかりだ。




