3-3とある世界
n回目の人生。
今度は赤い髪の女。大層な名前をつけられて、とある世界で生きていた。
どこの世界にもおかしなルールというものがあって、その世界も例外ではない。そこでは、子供の命と引き換えに異世界に渡ることができると信じられている。
その宗教が表面化した時から、大人と子供の戦いは始まった。
鉄を握って振り回す。
いつものことだ。
いつかの友人と対峙して、いつかの敵を背にかばって、鉄を振るう。
面倒な作業の繰り返し。
振り回されたり振り回したり、同じことの繰り返しだ。
邪魔になりそうなものを捨てて、それ以外はあるがままに。
死ねばそこまで、生きてもいずれ死ぬ。
深くは関わらず、フェードアウトしていく。
数年もすれば彼らの記憶から自分という記録は消える。
そういうものだ。異物が手を出しすぎては均衡は崩れて歪みが生まれる。
だが、一石を投じた子どもがいる。
「あなたにお願いしたいのです」
人でなしだという言葉の後に、あなたでなければいけないと話す。
ああしなければこうしなければと自分の情に振り回されて、誰かを救わんと身を削る。
ああしたいこうしたいと話した後に、その身を散らす。
似ていると、忘れられない記憶が滲む。
同じ道を辿るかもしれないと思いつつ、稀に顔を出しては紅茶を啜った。使いこなせないと言うのなら教え込んだ。
とはいえそれも勝手な期待で、その子どももまた死んでしまうわけで。
ならばその想いを、願いの通り、少しの間だけ継いでやろう。
亡骸の転がった地面に降り立つ。
あの世界の馬鹿げた迷信が立証されたような現状は、あの世界の人間には皮肉的だった。
一度、全ての首を切るのがいいだろう。それが一番簡単だ。
誰一人息をしなくなった地面の上、あの子どもがいないことに気がつく。代わりに広がる塊たちに散った光に、なるほどあの子がやりそうなことだと思った。
だが、無罪放免は許されない。
誰かは火炙りにされる。
その誰かを、あなたは思い出さなければいけない。
家から男を締め出して、女は絵を見上げる。
そして、再び部屋へと戻る。
「ここから先は未来の話。そして、あなたの話」
男が机にしまいこんでいた砂時計を机上にひっくり返して、滑りはじめた砂を見守る。
「舞踏会はこの家の外。鼠が上手にそこへ連れていければ、あなたが上手に踊れば、あなたは靴を取り戻せる」
女はそういって、空のティーポットに新しいお湯を注いだ。




