表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SCARLET  作者: 九条 隼
SCARLET:天才たちの話
23/58

無感動多才少年・裏-1

 手渡されたトロフィー。賞状。メダル。数え切れない「名誉の証」が詰め込まれた部屋に、また一つガラクタを投げ込んだ。

 ヴァイオリン型のクリスタル。クリーム色の紙。音を立てて割れたそれを一瞥して、また扉を閉めた。


 くだらない。



 部屋を出ればあきれ顔の養父がいた。またか、と言った彼は私の顔を見て途端に怯えたように目を逸らす。顔色も少し、悪い。

 そんなに酷い顔をしていただろうか。窓ガラスを見ても、そこに映るのは柔らかい微笑を浮かべる少女の様な少年。……なんだ、いつも通りじゃないか。


「……何位、だったんだ?」

 一位だよ、と笑いかければ、居心地が悪そうに、そうか、と返す。



「次も、頑張れよ」

「うん、ありがとう」

 そうだね、また君に賞を捧げよう。次は何が良いかな。手当たり次第賞をかっさらってきたから、そろそろネタが尽きてきたよ。

 でも頑張るよ。君の為だよ。

 ……なんて、ああほんと、めんどくさ。あほくさい。勿論この顔ではそんな言葉さえ吐けないけれど。



 功績だけを置く家に今日も別れを告げて、帰り路を歩く。道行く人の視線を攫って、話しかけられて。朗らかに笑いかけて話して。



――ああ、もう、感じない。感じない。何も感じないよ。

 嬉しいのも哀しいのも苦しいのも楽しいのもわからないよ。

 私は今、退屈なの? それとも、楽しんでるの?

 わからない。……分からないから。だからせめて、……。なんて、くだらない。ただのお遊びだ。


 ……ああまた、悟ったふりのグレたふり。今さら誰も気付きはしないなんてさ。本当は気づいてほしいんですか、私は。いくつだよ。どれだけ人生生きてると思ってんの?

 そうですよ、そうでしょう?

 数えられないくらい、何度も生き死に繰り返してんだろ?

 自分すら見失っちゃうくらいにさ。

 疑心暗鬼も過ぎるよなぁ。せめて自分のことくらいは信じてやれば良かったんだ。ただそれだけなのになぁ。

 後悔しても、もう、遅いけどね。


 ああほんと、馬鹿みたい。つまらない奴だよな。

 でもこうなったものは仕方がない。ま、笑えるようになっただけマシだよ、なんて。また勝手に価値をつけて自己満足するんだよ。

 ほんと、一回全部水に流してまっさらになりたいもんだよ。


 まあそれも、結局は無理な話なんだけれど。



 さてはて、そろそろ閉幕のお時間です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ