無感動多才少年・裏-1
手渡されたトロフィー。賞状。メダル。数え切れない「名誉の証」が詰め込まれた部屋に、また一つガラクタを投げ込んだ。
ヴァイオリン型のクリスタル。クリーム色の紙。音を立てて割れたそれを一瞥して、また扉を閉めた。
くだらない。
部屋を出ればあきれ顔の養父がいた。またか、と言った彼は私の顔を見て途端に怯えたように目を逸らす。顔色も少し、悪い。
そんなに酷い顔をしていただろうか。窓ガラスを見ても、そこに映るのは柔らかい微笑を浮かべる少女の様な少年。……なんだ、いつも通りじゃないか。
「……何位、だったんだ?」
一位だよ、と笑いかければ、居心地が悪そうに、そうか、と返す。
「次も、頑張れよ」
「うん、ありがとう」
そうだね、また君に賞を捧げよう。次は何が良いかな。手当たり次第賞をかっさらってきたから、そろそろネタが尽きてきたよ。
でも頑張るよ。君の為だよ。
……なんて、ああほんと、めんどくさ。あほくさい。勿論この顔ではそんな言葉さえ吐けないけれど。
功績だけを置く家に今日も別れを告げて、帰り路を歩く。道行く人の視線を攫って、話しかけられて。朗らかに笑いかけて話して。
――ああ、もう、感じない。感じない。何も感じないよ。
嬉しいのも哀しいのも苦しいのも楽しいのもわからないよ。
私は今、退屈なの? それとも、楽しんでるの?
わからない。……分からないから。だからせめて、……。なんて、くだらない。ただのお遊びだ。
……ああまた、悟ったふりのグレたふり。今さら誰も気付きはしないなんてさ。本当は気づいてほしいんですか、私は。いくつだよ。どれだけ人生生きてると思ってんの?
そうですよ、そうでしょう?
数えられないくらい、何度も生き死に繰り返してんだろ?
自分すら見失っちゃうくらいにさ。
疑心暗鬼も過ぎるよなぁ。せめて自分のことくらいは信じてやれば良かったんだ。ただそれだけなのになぁ。
後悔しても、もう、遅いけどね。
ああほんと、馬鹿みたい。つまらない奴だよな。
でもこうなったものは仕方がない。ま、笑えるようになっただけマシだよ、なんて。また勝手に価値をつけて自己満足するんだよ。
ほんと、一回全部水に流してまっさらになりたいもんだよ。
まあそれも、結局は無理な話なんだけれど。
さてはて、そろそろ閉幕のお時間です。




