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ノアの鳥船 ~転生少女に世界を救えって、むちゃくちゃです  作者: 紡里


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6.神とギフト

『君さぁ。便利なものはどんどん使わなきゃ。使ったギフトの量に応じて下界に接触できるルールなんだよ』

 神を名乗る青年は、ノアの戸惑いを無視してしゃべり続ける。

 目鼻立ちは整っているが、傲慢そうな表情が人間くさく見せた。


『普通、物心ついたらバンバン使わない? そんなだから……おっと、もう時間切れかよ』

 光が弱くなり、神様のシルエットが崩れていく。

『お前が一番出遅れてるんだからなぁぁ――』

 ボリュームを絞るように声が小さくなっていった。


 うるさい。チャラい。

 文句ばかり。


 転生して初めて接触した神への印象は、そんな感じだった。


 あまり能力を使わない方がいいかもしれない。


 人にギフトを与える神は一柱ではない。

 もらうギフトも様々だ。


 家族と共に旅をする中で、ギフトを発揮する人たちの噂話も耳に入ってくる。


 武力に優れた人は王侯貴族に囲われ、戦場で活躍している。

 治癒の力を得たら、宗教団体に引き取られて酷使される。

 その人を巡って、争いが起きる。


 前世に読んだ小説のとおり、権力者に目をつけられたら幸せな人生は歩めないのだ。

 ゴージャスな生活をするのが幸せ人なら、いいのかもしれないけれど。



 ノアは胸に手を当てて、呼吸を整えた。

 水牛はノアを背中に乗せたまま、大人しく立っている。大人しくというか、硬直している?

 鳥のヒューイは少し離れた木の枝に停まってる。

 ダチュパはヒューイの下に座り込んでいた。


『ヒューイ。神様は帰ったよ』

 そう声をかけると、ヒューイはノアの肩に戻って来た。


『びっくりした。すごく眩しくて、逃げちゃった。何か言われた?』

「何をしゃべっているか、聞こえなかった?」

『ノアが一人でしゃべってるみたいに見えた』

「……そう」

 ということは、神と接触していると気がふれた人に見えるのかもしれない。それは、ヒューイとしゃべっている姿も同様だろうけれど。



 ノアは水牛から降りて、ダチュパにくくりつけてある荷物から水筒を取りだした。

 冷たくはないが、水が身体に染みわたるようだ。


『家族と合流しないでいいの?』

「囮にされた。馴染めていないとは思っていたけど……生け贄にされたら、もう駄目よ」

 また、同じことが繰り返されるかもしれないと、おちおち寝てもいられない。


「あ……でも、戻って来て私を探そうとするかは、確認しておいた方が……いいよね?」

 ヒューイは少し考える仕草をした。

『鳥は巣立ったら親子とか関係なくなるから、わからない。ノアがやりたいようにすればいいと思うけど』


「そっか。そうよね……」

 そう言われてしまうと、気恥ずかしい。まだ、家族に期待していたみたいだ。


 ダチュパが、悩んでいるノアに顔を寄せてきた。

「八号も頑張ったね」

 額を撫でてやると、ダチュパは目を細めた。


 いつもならそれで終わるのだが、ぐいぐいと頭を押しつけてくる。

「え、なに?」

 ダチュパは長いまつげを揺らして瞬きをしている。気のせいか、目がキラキラしているようだ。


『あー、名前をつけてほしいってさ』

 ヒューイが通訳をしてくれた。

「うん? 八号でしょ?」


 ダチュパがぶんぶんと首を振る。

『ノアが名付けて、従者にする契約をするってこと。しなくてもいいと思うけど』

 ヒューイが少し拗ねたように、告げた。


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