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【第四部完結】アルジェ・ロッシーニ元王太子妃の剣  作者: ジュレヌク
騎士学校へ帰還編14歳

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第四話 後編 ダルタニアン騎士学校への帰還

 サライヤは、細く長く息を吐ききると、思い切り息を吸い込んで、


「そう?じゃぁ、フルーレ君だけ卒業したらどうかしら?」


と、驚くほど大きな声でフルーレに提案した。その意味が分からない青年だけが、不思議そうな顔をする。


「え?なんでそうなるんですか?」

「だって、もう卒業レベルなんでしょう?なら、卒業してもらって何の問題もないわ」

「いや、それは、言葉のあやで」

「いいえ、事実ですもの。貴方は座学においては、もう、ここで学ぶべきことは無いわ。では、さようなら。卒業した貴方の未来が明るいものであるように祈っているわね」


 サライヤも本気で言っているわけではない。

 ただ、これぐらい言ってやらないと教師を軽んじる態度を彼が改めることは無いだろう。こうして言いたいことだけ言ったサライヤは、クルリと体の方向をかえて教員室を出て行った。

 残されたフルーレは、


「え?僕、何か気に障ること言った?」


と首を傾げた。

 そんな彼に、珍しくアルジェが歩み寄って声を掛ける。


「フルーレ、貴方は勘違いしているわ。ここは、知識を詰め込むところではなくて、知識を生かす術を学ぶ場所。記憶していることと、使いこなせることは別なのよ」


 知識量だけなら、アルジェの方がフルーレよりも上だろう。なにせ、一国の王太子妃として恥じないように、王宮内では何人もの教師が彼女に高度な教育を施してきたのだ。

 しかし、蓋を開けてみれば世間知らずのお嬢様で、人と上手くコミニケーションを取る事すら上手にできずにいた。サシャやミネルバも変わり者ではあるが、一応、世間一般の常識的基準が何処にあるのかは大体分かっている。

 その辺を理解できないアルジェとフルーレは、旅の中でもリンゴ一個の値段がいくらなのか?といった超初歩的な判断が付かないことがあった。例え冒険者として生きていくことになったとしても、金銭感覚が伴わなければ、ただ働きをさせられたり、不必要に金を吹っ掛けられたりすることだろう。


「私は、次の長期休暇の時に、この剣を作り上げた工房を訪問する為にリペアさんと旅に出るわ」


 腰に下げた長剣に触れ、アルジェは目を輝かせる。既に、次の旅に思いを馳せているのだろう。


「だから、その時に必要なことを、ここで学びつくすつもりよ」


 フルーレに語り掛けながらも、自分自身に宣言しているようなアルジェの物言いに、ミネルバとサシャは、笑いをかみ殺していた。なにせ、アルジェの常識はずれなところは、一朝一夕に治るようなものではないからだ。

 だが、二人はアルジェの一風変わったところが大好きだし、親友としては、次の旅行にも同行する気満々だった。ミネルバとサシャは視線を交わすと、深く頷き合って親指を立てた。

 そして、常に行動をするダルタニアン騎士学校の三人娘は、もう一人の友を置いていくような薄情者ではない。


「だから、貴方も、ここで精いっぱい学ばないと」

「ねぇ、アルジェ。それは、次の旅にも、僕は同行させてもらえるってことなのかな?」

「嫌なら、良いのよ」

「嫌じゃないです!是非、同行させてください!」


 土下座せんばかりの勢いで頭を下げるフルーレの後頭部を見つめるアルジェは、自分がこの青年に絆されているという事に気付けていなかった。



完


※騎士学校へ帰還編14歳の完結となります。再び剣のルーツを探す旅に出るのは、まだまだ先になりそうです。読んでみたいと思われる方は、コメントなどでお知らせいただけると嬉しいです。

 

※今まで読んでいただいたお礼に、今夜八時に小話も一つ更新します。楽しんでいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
フルーレ、なんか性格変わって来たよね。ムムム
混みにケーション?間違っていない漢字な気がする。フルーレにも専用の何かが欲しいですね。
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