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【第三部開始】アルジェ・ロッシーニ元王太子妃の剣  作者: ジュレヌク
ダルタニアン騎士学校編アルジェ14歳

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第二十七話 追い込まれる元王太子妃

アルジェが剣を振るい、猪を単独で狩ろうと奮闘している頭上から、



「よし、一頭」



サシャの声が降ってきた。


ウサギの急所を狙って射殺した彼女は、木の上でガッツポーズをとる。


こういった狩りは、弓矢を得意とする彼女の独壇場と言っていい。


家族と生き別れた一人の少女が生き残れたのも、この射撃能力があったからだ。


狩った獲物は、日々の糧であり、僅かばかりの収入源だった。


毎日、どうすれば高値で売れるかばかり考えてきた彼女にとって、狩りは呼吸をするのと同じくらい自然なこと。


今は、養父であるトレバー・ダルタニアンから譲り受けた高性能の弓を使っているが、昔は、その辺にある枝などを使って自作していた。


弓の構造を独自で習得した彼女は、その使い方も理屈ではなく肌身で感じた直感を重視している。


一矢で一頭、確実に急所を狙い即死させるのは、獲物の味を落とさないためのサシャなりのこだわりだった。


そして、木の上から遠隔攻撃が出来る分、一頭一頭直接仕留めなければいないメンバーに比べ守備範囲が広く取れ、狩れる頭数も自ずと増える。


四人だけのルールとして、獲物の大きさは考慮に入れないことになっていた。


ウサギだろうが、猪だろうが、熊だろうが、一頭は一頭なのだ。



「ウサギは、一羽と数えるのよ」



アルジェが猪を仕留めながら冷静に指摘すると、サシャは、酸っぱいものを食べた時のように顔をクシャッとしかめた。


サシャは、アルジェに言葉を訂正される度に、祖母を思い出す。



「オババも、大概口うるさかった」


「何?文句があるのかしら?」


「ありましぇ~ん。はい、また、一頭!」



サシャは、飛び出してきたイタチに矢を放つと、的確に仕留めていった。


こうして、獲物を仕留めた数は、サシャが頭一つ分抜ける形で増えていく。


こうなると、周りに居る新人冒険者など、一匹も狩ることが出来ずに右往左往するばかりだ。


途中昼食の休憩が入った時など、噂の元王太子妃が狩ったばかりの獲物を捌きだし、木に吊るす姿を見て卒倒するものまで出ていた。


これには、逆に冒険者ギルドのほうが新人の不甲斐なさにこめかみを押さえる事態となるのだが、四人の活躍により例年以上のスピードで作業が進み三日がかりの作戦が一日で終ろうとしていた。


皆に安堵の空気が流れ始めたあたりで、アルジェが、ふと空を見上げた。


まだ日は高く、青空が広がっている。


しかし、



ドン ドン ドン



大きな音が響き、一斉に鳥が飛び立った。


ざわつき始める新人をギルド職員達が囲み、守る様にして周りを警戒する。


先程の音は、明らかに爆発音だった。


それが、一箇所だけでなく、数箇所で鳴っている。



「ミネルバ、サシャ、フルーレ、集まって」



アルジェの呼びかけに、三人は、足早に集合すると顔を近づけた。



「この様子だと、ギルドも今の爆発音が何なのか把握できていないみたいね」


「そうだね。でも、僕、あの音聞いた記憶がある」


「あら、フルーレ、それは、何処で?」


「領地の農家が、害獣を追い払う為に使うヤツ。音はデカイけど、威力があるわけじゃない」



そんな物が、今、何故こんな森深い場所で鳴らされたのか。


誰がやったかは分からないが、その効果は分かる。



「そろそろね」



鳴らされた爆発音は、この新人ばかり集まった場所を囲うように聞こえてきた。


あと数分もすれば、音に驚いた獣が、一斉にこちらに向かって逃げてくるだろう。


その中には、大物も多数存在すると思われる。



「腕が鳴るなぁ!」



ミネルバが、狩りように持ち出した斧を振り上げた。


彼女がこれを振り下ろせば、切るというより叩き潰すような状態となる為、あまり食べるのに適さない形状になってしまう。



「なるべく食べられる状態でお願いね、ミネルバ」


「アタイだけじゃないだろ?フルーレだって、大体真二つだぞ」


「僕は内臓を出し易くしているだけだよ。ミンチの君と同じにしないで欲しい」


「フルーレ、お前、アタイに潰されたいのか?」


ミネルバが冗談交じりに斧をフルーレに振り上げて見せたが、もう、そんな悠長なやり取りをしている場合じゃなくなったようだ。



「来たわ!」



アルジェの通る声に、他の新人冒険者達も不安げな顔を上げた。



ドドドドド



こちらに向かって突進してくる獣達の地鳴りのような足音が迫っていている。


それは、一方向ではなく、全方位から聞こえてきた。


こうなってしまっては、もう、逃げることは出来ない。


全員が、手に持った武器を力強く握り締めた。



「皆、やるわよ」


「僕は、いつでも、準備万端さ」


「アタイは、血が騒ぐね!」


「木の上から援護するから、思う存分にやっちゃって!」



四人組の表情は、何者かに画策されて起こされた窮地への憤りよりも、己の力を発揮できる喜びに溢れていた。



ウォーーーー



獣達の咆哮が、戦いの火蓋を切る。


突然始まった大乱闘は、今幕を開けた。



いよいよ戦いの火蓋が落とされました。面白いのも好きだけど、カッコよいのも良いですよね。第四部となるお話も、ワクワクするような戦闘シーンを入れたいと思ってます。楽しみに待っていただけたら嬉しいです。こちらの作品、確かに日々のPV等は少なめなのですが、見ている人は必ず見てくれている感が凄いです。皆様、いつもありがとうございます。その応援で、頑張れます。

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四人組の表情は、何者かに画策されて起こされた窮地への憤りよりも、己の力を発揮できる喜びに溢れていた。 ( ´艸`)面白過ぎる( ´艸`)
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