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【第三部開始】アルジェ・ロッシーニ元王太子妃の剣  作者: ジュレヌク
ダルタニアン騎士学校編アルジェ12歳

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第十八話 半端ないペナルティを負わされる元王太子妃


三日間の実地訓練は、森に配置された10か所のポイントに置かれた到達証明書を集めるという、至ってシンプルなものだ。


目隠しをされた生徒は、各々が教師の馬車によって別々の場所に運ばれ、そこからスタートする。


ここで一番大事になるのは、自分達のスタート地点の把握だ。


森ゆえに、目印となるものは少ない。


その中でも、太陽や山、川の位置など少ない情報から、出来る限り正確に位置を特定出来た者が、勝ち組となる。


アルジェ達が降ろされたのは、最初の集合場所から一番離れた場所だった。


ここに来るまでの間も、五感を使って情報収集をしてきたが、馬車がかなり傾いたことで、緩やかながらも坂を登っているのを感じていた。


この四人は、戦闘能力だけで計測するなら、一年のトップ4。


他の生徒との実力差を埋める為のハンデなのだろうが、かなり蛇行を続け、方向感覚を失わせようという意図を感じた。


しかも、降ろされた先で方位磁石を見た瞬間、全員が憮然とした表情になった。



「これは、やり過ぎじゃないかしら?」


「方位磁石、クルクル回ってるぞ」



アルジェとミネルバは、一定の方向を向くことのない指針に、文句を言う。



「ん~、ここ、多分地層の下に溶岩か何か鉄製のもの埋まってるね。それが、磁場を狂わせてるんだよ」



サシャは、地面をコンコンと木の枝で叩いてみた。


しかし、表面的には、変わったところは見受けられない。


教員側も、あえて、そのような場所を選んだのだろうが、ここまでくると嫌がらせなのではないかと疑いたくなる。



「早く離れないと、時計も狂う可能性があるかもね」



他人事のようにフルーレが補足を入れた。


時間に余裕がないことを知ったアルジェは、近くにあった切り株に近寄ると、ナイフを使って苔や落ち葉をどける。



「何してんの、アルジェ?」



覗き込んでくるサシャに、アルジェは人差し指で年輪をなぞりながら、解説をする。



「ほら、こっちの方が、年輪と年輪の間が広いでしょ?太陽の当たってる時間が長いほど、木は成長するの。と、言うことは?」


「あ~、こっちが、南?」


「正解」



目に見えて、幅が広くなった部分がある。


そちらを南と考えれば、地図の方向もある程度決まってくる。



「木に登って、周りを確認してくるよ」



言うが早いか、フルーレは、背負っていたリュックを下ろして木に登り始めた。


手足が長い分枝を掴みやすいが、体重が重い分、本当なら腕が耐えられなくなるはずだ。


しかし、彼は、持ち前の腕力と握力で、グイグイと上に登っていく。



「何か見える?」



アルジェが、上から降り注ぐ太陽を右手で遮りながらフルーレに尋ねた。



「そうだね。まず、今僕が手を向けている方に、他と比較して一段と高い大木が見える」


「それ、長老の木ね」



アルジェは、地図に描かれたポイントの名前を読み上げる。


これで、10個あるチェックポイントの一つを目視できたことになる。



「次に、その木に向かって右45度の所に、やや広い空間が開いている。整地されているようにも見えるけど…」


「あ~、それ、多分、馬の訓練所じゃない?」



サシャは、弓を得意とするが、特に馬上から射ることにかけては右に出る者はいない。


以前、それを聞きつけた騎士団に、実践風景を見せて欲しいと言われ、その訓練所に行ったことがあった。


他国へ情報が漏れないようにするため、かなり森の奥深くに作られていたと記憶している。



「その近くに、川流れてない?」


「川?ん~、ここからは、見えないかな」


「そこが訓練所なら、馬の補水ように川から水を引き入れているはずなんだけど」



過去の記憶を遡りながら、サシャは、アルジェの持つ地図を覗き込んだ。



「多分、この川だと思う」



長老の木との位置関係から推定された馬の訓練所のあたりにある、1本の細い川をサシャが指さした。


そこから逆算して導き出した現在地は、



「私達が立っている場所は、コレね」



地図に記されていた名は、



『沈黙の火山』



だった。


名前からして、休火山なのだろうが、ここから降りるだけでも他の生徒達より移動距離が多くなる。


体力まで削ろうとするあたり、教師達が、この4人の実力を認めていると言うことなのだろう。



「評価していただけるのは嬉しいけど、ちょっと、恨んでしまいそうだわ」



アルジェは、足場のさほど良くない山肌を見ながら、小さくため息をついた。


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― 新着の感想 ―
何だかんだジェントルマンしてるフルーレ。
センセイ、難易度調整めっちゃ上手そう。
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