アオバ
俺、白山 孝太15歳、今は、わけあってこの名前を使えない。
その理由というのが、俺は、改造された。
これは、比喩的な表現とかそういうのではない。
本当に人体改造されたのだ。
経緯を話そう。
俺の生まれは、『魔導核融合炉』の爆発からたまたま被害がなく、生き残った人々が東京23区に集まって出来た新たな国家魔都東京国の端も端の国内と国外のギリギリのところで産まれた。
ここは、いい意味で治外法権悪い意味で言えば殺人、強盗がざらにある犯罪率が異常に高い土地だった。
俺の父親は、わからない。
母親は、男をとっかえひっかえする無類の男好きで多額の借金があった。
さらに、俺には、三人の弟妹がいた。
そのせいで、俺は苦労した。
五歳の頃から働き、弟と妹の将来の為に貯金しながら、母親の借金をチビチビと返していった。
俺や、妹と弟もそうだが、母親は、俺達を役所に届けなかったのが原因で俺達は、小学校に通う事が出来ずろくな勉強もできなかった。
そんな生活が三年続いたある時、俺達兄弟妹のところに白いスーツを着た男が訪ねて来た。
その後ろには、借金の取り立てに来ている黒いスーツの男が二人白いスーツの男の後ろに立っていた。
白いスーツの男がいつまでも借金を返さない母親に怒りがこみ上げたらしくボスである自ら取り立てに来たという。
そもそも、自身の借金を俺が返している事にも怒っているらしく、母親が色仕掛けをした時には、母親の首を掴んで持ち上げて、“お前みたいな子供を大切にしないヤツが一番嫌いなんだよ!”と俺が思っていた事を言って男は、母親を壁に投げつけた。
白いスーツの男が俺達の方に近づいて来た。
察してはいた。
男の目的が、俺達である事を……
俺は、弟と妹の前に立って守るように立ち塞がり威嚇するように唸った。
白いスーツの男が俺の体をじっくり見て、“母親の借金をチャラにしてやる"と言ってきたが、俺は、そんなうまい話がある筈がないと思ってさらに、警戒した。
白いスーツの男は、借金をチャラにする条件として俺か弟達の身柄と引き換えだと言ってきた為に俺は迷わず自らを犠牲にする道を選んだ。
後悔はない。
弟達が犠牲になる位なら自分を犠牲にするとずっと思っていたから。
俺は、弟達に別れを告げて白いスーツの男が乗ってきた車に乗り込んだ。
そして、走り出した。
俺を追いかける弟達の姿がサイドミラー越しに見えたが、振り返らなかった。
覚悟が揺らぐと思ったからだ。
“泣きたければ泣け"と言われたが、泣かなかった。
いや、ずっとこうなる事は、想像していた。
だが、悲しくない訳ではない。
だからだろう、俺の頬を一粒の涙が落ちているのは……
白いスーツの男が話を切り出そうとするが、その前に俺は、ある契約をさせた。
それは、弟達があの母親から離れた所で幸せに暮らせるようにするという内容だ。
勿論わかっている。
この男がその契約を結ぶ筈がない。
だが、この男は、絶対に結ぶ。
なぜなら、この男は、この手の約束をきっちりと守る事で知られているからだ。
白いスーツの男は、俺の提示した契約を守ると誓った。
俺が安堵していると車がとある施設の前で止まった。
白いスーツの男が降りた後に俺も車を降りた。
外観は、小さめの家位だったが、中に入ると広く俺には理解出来ないような機械や機材が並んでいた。
俺は、白いスーツの男の後を着いていくと大きな扉の前で止まると扉が自動で開いた。
中には、一人の少女が椅子に座ってモニターを見つめていた。
すると、少女がこちらに気づいて振り返り立ち上がって俺に近づき俺の腕を持ち上げたり顔を触ったりして観察してきた。
一通り観察し終わったら俺に抱きついて俺の首筋に注射を打ち込まれて俺は気を失った。
次に俺が目を開けた時目の前には、見知らぬ天井が広がっていた。
俺は、打たれた薬の影響が残っているのか頭に手を置いてゆっくりと起き上がった。
すると、俺が起きた事に気づいた少女が駆け寄って抱きついてきた。
そして、少女は俺にこう言った。
成功被験体No.003 アオバと言った。
少女は続けて鏡で俺を写した。
だが、本来映る筈の俺の姿が見えなかった。
少女は、右手に持っていた鏡とは、別の鏡を出してきた。
そこには、明らかに体格顔立ちが変わっている俺の姿が映し出された。
俺は、混乱していた。
それも、そのはずだ。
なんせ、女の子になっているのだから……
さらに、少女は続け様にこう言った。
俺の体に『厄災宝』を埋め込み後天的に吸血鬼にした。
さらに、他にも三種類の『厄災宝』を埋め込んだと言ってきた。
そして、俺は数多くの実験をされた。
例えば、食事に血を混ぜて俺の『スキル』が増えるのかどうかを実験したり、ある時は、強制的に直接血を摂取させられて、『スキル』が増えるのかを実験させられたり、吸血鬼になった俺に吸血鬼が持つ再生能力があるのかを実験させられたりと数を数えるのも嫌になる痛みを伴った地獄の実験をさせられた。
そんな日々が三年続いたある日……
その日も俺に実験をしようと少女が近づいてくる。
この時、俺の前に二人少女に人体改造された奴がいるのは、知っていたが、この二年の間にあと三人もいる事を少女が自慢していた。
少女が俺がいる部屋に入った時、外から爆発音が聞こえて少女は慌てて確認しに部屋を出た。
俺は、出れないかと部屋の扉の前に向かった。
だが、扉は閉まっていた。
それから、数分後に、少女が戻って来た。
しかし、少女は、悔しいのか歯をギリッと鳴らした。
すると、少女の後ろにいた機動隊が銃を構えて入って来た。
機動隊の隊員の一人が、安心しなと言った。
俺達を改造した施設は破壊されて、この日俺達は保護された。
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