ガラスが割れるような音
ゾンビは防御を突破する
ガラスが割れるような音がした。
手が窓を突き破り、壁に立てかけられていた机が揺れた。
生徒たちは悲鳴を上げ、部屋の隅へと逃げ惑った。
手はあたりを探り、さらに奥へと進もうとしたが、すぐに引っ込んだ。
愛子の心臓は激しく鼓動した。
彼女は恐怖に震えた。
「アソ…どうするの?」
「窓から…入る?」
「ゾンビが多すぎる!地面に降りたら殺されちゃう!」
「そうだ!閉じ込められた!」
「ちくしょう!」
カズオと彼のアンデッド兵士の一団はドアを叩き、蹴り、窓に物を投げつけた。
歴史教師の藤原先生は、ガラスの破片で顔が切れないように両腕で頭を覆った。生徒たちを守るため、ドアに一番近い場所に立つことに同意していたのだ。アイコは、あらゆる呼吸音を聞き、あらゆる心臓の鼓動を感じた。
これは死に近い、と彼女は思った。
しかし、彼女は怖くなかった。
正確には。
いや、もしかしたら怖かったのかもしれない。
たぶん。
でも、少なくとも退屈ではなかった。
手が再び動き、彼女の思考を止めた。
垂直に立てられた机がぐらついたが、倒れなかった。
彼女は安堵のため息をついた。
すると、机は轟音とともに倒れた。
そして、机があった場所に、ゾンビが立っていた。
それは恐ろしい生き物だった。濃い緑色の粘液が滴り、傷口からは藤色の樹液が滲み出し、よだれを垂らし、唸り声を上げていた。
歩くというより、体をずるずると引きずっていた。
アイコは、ゾンビに知性があるのだろうか、それともただの無知な存在なのだろうか、と思った。殺戮マシーン。
麻生が夢中になっていた、体格が良く運動神経抜群の少年、ザロクがゾンビに飛びかかり、研ぎ澄まされたほうきの柄を心臓に突き刺した。
血が辺りを染めた。ゾンビは鉤爪のある手で襲いかかってきた。
ザロクは身をかがめ、怪物の周りを軽やかに動き回り、再び突き刺した。
ゾンビは痙攣を起こし、苦悶のあまり手足が上下に揺れた。
そして、手足が床に落ち、力を失った。
ザロクは息を呑んだ。
「危なかった。」
ゾンビはザロクの足をつかみ、そのすぐ横の床に牙を深く突き立てた。
ザロクは叫んだ。
「何だよこれ!?」
彼はゾンビの顔面を思い切り蹴り上げ、後ずさりした。
ザロクは窓辺に行き、ガラスを蹴り破ってリュックサックを掴んだ。
「みんな!出て行け!荷物を詰めて行け!走れ!」
「彼の言うことを聞け!」藤原先生が叫んだ。
歴史教師は、いわば聖書のようなエドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』を手に取り、何度かキスをして胸に抱きしめ、全力で雄叫びを上げながらゾンビに向かって突進した。
藤原先生とゾンビは互いに捕まり、部屋中を転がりながら格闘した。
生徒たちは言われた通りに荷物をまとめ、一人ずつ窓から飛び降り、下の青い瓦屋根へと降り立った。
愛子は振り返った。
そこに和夫がいた。
彼女の心臓は張り裂けそうだった。
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