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死に戻ったらしい公爵令嬢は思案する  作者: 篠月珪霞


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6/7

5:この上ない解決策だわ

よし、もう面倒だから、王朝交代しちゃいましょう!



いろいろ思案していたが、これ以上の解決策はないだろう。

ということで、穏便に現王家を陥れるために、敵対派閥を説得して味方につけた。もともと、貴族派は王家の無能さ故に支持していなかったのだから、引き入れることはある意味で容易だった。説得に応じない家門は…まあ、どこの家でも後ろ暗いことはあるわよね。問題ない問題ない。


それに、王朝交代といっても我がヴァルトゼーミュラー公爵家ではなく、もう一つの公爵家だったのも、敵対派閥を説得できた要因である。当然だが、あちらも王家の血は入ってますよ、何代か前だけど。

加えて、帝国にも仲裁に入ってもらうことにした。何故か、セドリックに伝手があるらしいので。最後まで往生際悪く抵抗するだろう王家の牽制も兼ねて。


実は一番の難関は父だったりした。どうせあの王家はお飾りで傀儡なのだから、現状でもいいじゃないか面倒臭いと。

そこを何とか!と手を変え品を変えで、相手にするのを面倒がった父は、最終的に頷いた。言質はとりましたよ。ふふふ…。


婚約解消だけなら、魅了魔法にかかったときのアンセルムの不貞といえる証拠が山のようにあるので、できないことはなかっただろうが、その後を考えるとねえ?

ほら、私の後に犠牲になる令嬢が気の毒すぎるじゃない?

あんなのの世話をしながら、国政もなんて。


魅了魔法の方は、まずはレイラの魔法を封じた上で、かかっていると思しき対象を解除して回り。アンセルムも含めて、さり気なく。且つ密かに。

認知される前に、なかったことにした。

かかったことを知らなきゃ、糾弾なんてできないものね。知らなかったら、ないも同然。

証拠? 魔法の痕跡ってかかっているときならともかく、解除したあとで見つけるのは困難であるからして。







そして、皇太子殿下をお迎えし──あくまでも仲裁と見届け人として──、王朝交代劇は開幕した。

が、早々に閉幕した。


何せ、現王家─頭からっぽプラス無能に対して、頭脳と知恵を駆使し、国政を担い王家の尻拭いをしてきた宰相プラス貴族の面々。

能力もだが、数の力でも圧倒的に分があるわけで。


「何故、我ら高貴な血筋が、たかが一貴族へ下野せねばならんのだ?!」

「そういう台詞は、一度でもまともに政務をこなしてからおっしゃってください」


名ばかりの国王の足掻きに、すかさず切り返した宰相が素敵すぎる。さすがです。

本来、シルヴィアは当主ではないので参加できない議会であるが、そこはそれ。父の力とでも言おうか。この場で婚約も破棄してやろうという目論見でもってというのもある。

アンセルムとはあくまで、”王家”と公爵家の婚約だ。王朝が変わるのならば、当然婚約も見直しになる。王命での婚約だったわけだしね。


「シルヴィア、お前からも何とか言ってくれ!」


あらあら、ここにも現実が見えてないのがいるようね。誰とは言わないが。


「何とかとは?」

「俺がただの貴族になれば、婚約解消になるのだぞ?! それは嫌だろう?!」

「大歓迎ですけど何か?」

「なぁ?! 過去のことは謝ったじゃないか?!」


その過去の話もレイラのことがあってから、始めの印象通り、妄想ではないかとシルヴィアは思っている。

ついでに言えば、謝罪しても許されないことはあるし、許すなんて一言も言ってはいないのだ。


「お前は、俺のことを愛しているのではないのか?!」


何でそんな勘違いができるの? 頭の中がお花畑だから??

無能の思考は理解できないわぁ。


「いいえまったく、微塵も、これっぽっちも。まだ殿下の使用されているペンの方が愛せ…いえ、殿下が触った時点で無理でした。失礼いたしました。

例えが難しいですわね。殿下に触れたとか関係するものというだけで、正直嫌悪感でいっぱいで。殿下の周りで愛せるもの、愛せるもの……………………やっぱり思いつきませんわ」


続けると、アンセルムは絶句した。はくはくと、言葉にならない言葉を紡ぐ。

国王が1を言えば宰相は10で返しているし、王妃は始めから誰からも相手にされてないし。

本当にこの王家の存在意義って何だったのかと。


「では、王朝は、バルゲリー家からリンティネン家へ委譲。ラツェク帝国皇太子エーギルがしかと見届けた。皆、ご苦労だった」


不毛なやり取りをぶつ切りに帝国皇太子がそう締め、議会は解散。

貴族を纏めあげるものがいれば、バルゲリー王家は早々に失脚していただろうことがよく分かる、交代劇だった。









あんま思案してへんやん!とかいうツッコミは勘弁してくださ…(遺言)。

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