344話 黒い霧の影響*
夢魔の館。
インキュバスは討伐できた。アベルは、そのせいでまた動けなくなったメアに精気を補充して、その後、メアを休ませるために部屋を出たところで、アベルはアンジェリカの双子侍女のソラムとソレムに捕まる。
「アベル様!どうか姫様たちをお助けください!」
「インキュバスの黒い霧の……淫気の影響が消える気配が無いんです。エリス様達やメル様にも診ていただいたのですが……。」
アンジェリカ、セレスティア、リシアの三人に、いまだにインキュバスから受けた黒い霧の影響が続いており、エリス達が対処しようとしてもダメだったらしい。そんな三人、特に主人であるアンジェリカを心配したソラムとソレムが慌ててやってきたのだった。
「分かった。まず状態を確認する」
途中待ち構えていたエリスに回復魔法をかけてもらい、ミリアからも半ば飲むのを強制された特製の(滋養強壮)ドリンクを飲んでから、アベルは問題の3人のもとへ向かった。
「……ですが、その前に一つだけ」
ソラムがアベルの前に立ちはだかった。
「なんだ?」
「アンジェリカ様について、アベル様にはぜひ知っておいていただきたいことがあります。」
ソレムも隣に並ぶ。
「帝国内では、すでにアンジェリカ様がアベル様へ嫁がれることは決定事項として扱われています。」
「……えっ!?」
「そうでなければ未婚の皇女である殿下が勇者とはいえ男性と一緒に旅に出ることなど許される筈がありません。」
「飛行艇の乗組員には男もいただろう……。」
「……彼らは皆、妻帯者で子供がいますし、何より……もう処置済です。」
「えっ!!!???」
衝撃の事実に驚きまくるアベルだった。しかし、婚姻の話ともなれば考えなければならない事も多い。本人の意思確認は勿論のこと、それぞれの家族の同意も必要になる。何より今は、一緒に生きることを先に誓ったマユミにお伺いを立てることが出来ない。そのため、この件を一旦、先送りにしようと考えたアベルだったが状況はそれを許してはくれなかった。
◇
3人が隔離されている部屋に入ると、そこは甘ったるい空気が支配していた。リシアとセレスティアは服を脱ぎ散らかして下着姿になっているし、アンジェリカに至っては産まれたままの姿だった。そんな姿で3人で百合百合しい睦み合いをしていた。
アンジェリカの視界にアベルが入る。すると、アンジェリカは恥ずかしそうに顔を背けた。一方、同じようにアベルを見つけたセレスティアとリシアは蕩けた表情でゆっくりとアベルに擦り寄っていく。
「アベルさまぁ♡」
「アベルどのぉ♡」
「ティア、リシア……大丈夫なのか?」
目が座っている2人には、もはやアレのことしか考えられなくなっていた。
「なにがぁ?はあっ♡ はあっ♡はあっ♡」
「私は、もうダメです♡いっそ武士の情けで一思いに…♡」
「ちょ、ちょっと待て!」
アベルのズボンを下ろそうとベルトを外しにかかったセレスティアと上着を脱がせにかかるリシア。
その様子をみてソラムとソレムがアンジェリカを嗾ける。
「ほら、いいんですか、姫様?」
「また、先を越されちゃいますよ?」
その言葉に後押しされたアンジェリカが、フラフラとアベルの元へ寄っていく。勿論、アンジェリカは産まれたままの姿だ。
「ア、アンジェ?」
倒れ込むようにアンジリカが抱きつくのと、リシアがシャツを脱がし、セレスティアがズボンを降ろすタイミングが奇跡的に重なり、パンイチのアベルに全裸のアンジェリカが抱きつく構図が出来上がった。
「アベルさま……。」
アベルの腕の中で涙目になりながら懇願するアンジェリカ。そして畳み掛けるようにセレスティアとリシアもアベルの腰に抱きついた。甘ったるい良い匂いがアベルの鼻腔をくすぐる。3人の滑らかな肌やアンジェリカの先端がアベルの身体に触れる。
「ちょ、ソラム、ソレム、助けてくれ!」
「姫様のお心のままに」
「ささ、アベル様。どうぞこちらに。」
ソラムとソレムがマットレスをアベル達の直ぐ横に展開した。
「ちょっと待ってくれ。おかしくなってるのになし崩しとかダメだろう!」
「問題ありません。こういうのは勢いも大事ですから。」
「むしろ、こんな千載一遇の機会を逃す訳には参りません!」
アベルは双子侍女が交渉の通じない相手だと理解した。
「リシア、お前だって、こんな形でなんてダメだと思うだろ!それに精霊様のこともある。清い身体のままでないとダメなんじゃないのか?」
その言葉にリシアが反応した。正確にはリシアと共にある光の精霊がアベルの訴えに答えた。リシアの身体から黄金色の魔力が漂い、彼女の意識が変遷していく。
「勇者よ、その通りだ。この依代の娘の望みを叶えられず申し訳ないとは思うが、少なくとも今はまだ、この娘には清い身体でいて貰いたい。」
リシアが話をしているが声は光の精霊ミーシアのものだ。
「この娘のことは私に任せよ。」
そう言ってリシアはアベルから離れ、部屋の隅で正座をし、目を閉じて呼吸を整え始めた。これで、リシアは大丈夫だと判断し、ティアとアンジェに向き合う。いつのまにか以前以上の身体強化魔法を使ってアベルをマットレスの上に押し倒したセレスティアとアンジェリカ。
「はぁっ♡はぁっ♡もう、がまんできません♡」
「アベルさまぁ♡ わたくしも、もう……♡」
熱い吐息を吐き続ける横で双子侍女のソラムとソレムもメイド服を脱ぎ始めていた。
「お前達まで何をしているんだ?」
「私たちもアベル様の妾にして頂こうかと。」
「……なんでそうなる?」
「いや、折角の玉の輿チャンスですし!」
ソレムが真顔で頷く。
「姫様がアベル様の妻になられる際には、私達も一緒に付いてきますので。」
「おまけや購入特典みたいなものです。」
アベルは頭が更に痛くなった。




