閑話49話 王女から国王への書簡
アルセリア国王こと父上へ
私は今、確信しています。ヒト族が進むべき道は、すでに決まっているのです。魔王陛下に服従し、魔王陛下のために生きること。それこそが、我らヒト族に許された唯一の未来です。ゆえに、私はアルセリア王国へ正式に勧告します。無条件で魔王軍へ降伏してください。そして、アルセリア王国そのものを、魔王陛下へ献上してください。
王国の財産も、領土も、兵力も、技術も、そして何より、我が国が誇るミスリルを全て魔王陛下に使って頂くのです。
アルセリアで精製されるミスリルは、全て魔王陛下へ。
ミスリルによって作られた武具も、全て魔王陛下へ。
その供給に対価を求めてはいけません。
報酬を求める必要もありません。なぜなら、魔王陛下のために役立つことそのものが、我らの報酬なのですから。
魔王陛下の軍勢を強くする。
魔王陛下の武器を作る。
魔王陛下の領土を豊かにする。
それこそが、アルセリアという国に与えられた使命なのです。
未来永劫に無償で、喜んで魔王陛下へ捧げ続けてください。もし、それを拒むのであれば、私はアルセリアを敵と見なします。魔王陛下に背く王族、魔王陛下への服従を拒む貴族、魔王陛下へ奉仕することを拒絶する国民、その全てを魔王陛下に仇なす者として処断します。
もちろん父上がそれを拒まれるのであれば、私自身が王位に就き、私の手でアルセリアを魔王陛下へ献上します。
父上。
もう、ヒト族中心の世界に戻ろうとしてはいけません。魔王陛下は我らより遥かに強く、偉大なお方です。その御力に逆らうことに、何の意味があるのでしょう。我らは魔王陛下の下僕となればよいのです。我らのミスリルを捧げればよいのです。我らの技術を捧げればよいのです。我らの武器を捧げればよいのです。我ら自身の命さえ、魔王陛下のために使っていただければよいのです。今や、それこそが我らの存在する意味です。何を迷う必要があるでしょうか。
そして、魔王陛下に最も貢献できる国こそ、最も価値ある国なのです。
父上、どうかアルセリアを魔王陛下へ捧げる決断をしてください。それが国王として最後に果たすべき務めです。そして私も、魔王陛下の忠実な下僕として。この国の全てを、魔王陛下のために使い果たす覚悟があります。
魔王陛下に栄光あれ。
セレスティア・アルセリア
アルセリア王国第一王女
162.5話(閑話37話)との温度差を感じて下さい。




