192話 魔王の最高傑作
400年前の話になります。
本章は、この物語のなかでも、かなり強めの胸糞展開があります。閑章のため、読まなかったとしても、物語の理解に大きな支障はありません。もしこうした話が苦手であれば途中からスキップしても大丈夫です。
8/18 8:00投稿分から次章になります。
魔王城、玉座の間。
魔王復活から数日。
魔王軍再編のため、新たに執政官へ任命された一人の悪魔族が玉座の前へ跪いていた。まだ若いが知略に優れ、魔王軍全体の政務を任されるほどの実力者だった。
「陛下。各軍団の再編は順調に進んでおります。」
「うむ。」
魔王は満足そうに頷く。
「長らく南方方面軍に派遣されていたデュラハン将軍がまもなく帰還されます。」
執政官は恐る恐る口を開いた。
「陛下。失礼ながら……一つ、お伺いしてもよろしいでしょうか。」
「申してみよ。」
「なぜ今回の侵攻は、デュラハン将軍が総大将なのでしょうか?南方方面軍は今も激戦が続いており、将軍の不在は負担が大きいかと。今回の作戦内容なら他の軍団長でも十分だったのではありませんか?」
玉座の間が静まり返る。魔王は一瞬だけ目を細めた。
そして愉快そうに笑う。
「なるほど。お前は最近、任命したのだったな。ならば知らぬのも無理はない。」
魔王は玉座からゆっくり立ち上がる。
「将軍デュラハン。いや、かつてミユキと呼ばれた女のことを。」
執政官は目を見開いた。
「……女? 女性なのですか?」
若い執政官は、まだ一度も将軍を拝見したことがなかった。
「そうだ。将軍デュラハンは四百年前まで東方に存在したヒト族の島国"イヤマ王国"、その最後の女王を魔族に生まれかわらせたのだ。そして、奴には、かの国とも少なからず因縁がある。だから、呼び寄せることにした。上手く事が運べば将軍デュラハンの力は更に強大なものとなるだろう。」
「なんと!そのような素晴らしいお考えがあったのですね。流石は魔王さまです。ですが、その因縁とはどのようなものなのでしょうか?」
魔王は静かに笑う。
「…では話してやろう。私の最高傑作が生まれるまでの物語を。」




