↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
224/388

179話 魔王降臨*

 魔王城・謁見の間。


 戦場は、すでに限界に近かった。


 レオニスの奮戦と、ヒロイン達・マユミ・メアによる支援で、どうにか均衡は保たれている。


 だがそれは「維持できている」というだけであり、余裕など一切なかった。徐々に倒れていく兵士達。


「押し切られるな!立て直すんだ!」


 リシアが叫び、剣を振るう。

 フェリの風刃が魔族を吹き飛ばす。

 ルナとセレスティアの魔法が後方を焼き払い。

 エリスの神聖魔法が戦線を支える。

 クラリスとミリアも補助と回復を切らさない。

 そして、マユミとメアの魔力が戦場全体を支えていた。


     ◇


 それでも、魔族の波は止まらない。


 削っても、削っても、次が来る。

 戦場は消耗戦へと沈んでいく。


 レオニスは歯を食いしばった。


(まだだ……まだ押し返せる。いざとなったら、このチョーカーの魔導具で……)


 その時、一瞬で空気が変わる出来事が起きた。


「……?」


 誰かが気付く。魔族の動きが止まった。

 いや、止められたのではない。

 “止めている存在”が現れた。


 通路の奥に黒い影が現れる。

 最初は人影に見えた。


 だが違った。それは“人”という枠ではない。

 空間そのものが歪むような圧力。



 魔王。


 その姿を認識した瞬間、戦場が沈黙した。


     ◇


 圧倒的な存在感に呼吸が重くなる。

 視線を向けるだけで心臓が握られるような圧。


「……っ」


 レオニスの手から力が抜ける。剣がわずかに揺れた。


(なんだ……これは……勝てる相手じゃない)


 背後のヒロイン達も同じだった。


 リシアの剣が止まる。

 フェリの詠唱が乱れる。

 ルナの魔法陣が崩れかける。

 ミリアの手が震える。

 クラリスの顔から余裕が消える。

 エリスは静かに目を伏せた。

 セレスティアが息を呑んだ。

 そして、マユミとメアもまた動きを止めていた。


 絆の指輪 ー 互いの感情や魔力を繋ぐその加護は、今この瞬間だけは“恐怖”を共有してしまう。


 魔王の存在そのものが、全員の精神を一つに押し潰していた。


 レオニスの誤算は、いくつもあった。奇襲のつもりが動きを悟られていたこと。魔王城に魔王に一瞬でも対抗しうるような幹部が不在だったこと。魔王の力が想定を遥かに超えて強大すぎたことだ。そういう意味で、レオニス達は完全に積んでいた。


     ◇


「これが……魔王……」


 レオニスの声はかすれていた。剣を構えようとしても、腕が上がらない。不意をつかねば、用意していた策も使えないが、それ以前の問題だった。


(無理だ……こんなのに何かをできるわけがない)


 戦場の空気が完全に変わる。

 先ほどまでの戦闘とは別次元。


 もはや“戦い”ではない。

 これは“支配”だった。


     ◇


 魔王はゆっくりと一歩前に出る。

 その一歩だけで、地面が軋む。

 圧がさらに増す。


 その圧を作り出している魔王から発せられる大量の魔素で魔導防具のブレザーの耐久力が限界を迎え、ボロッと崩れ落ちる。エリスの聖衣も一瞬でボロ切れのようになってしまった。


挿絵(By みてみん)


 レオニスは理解してしまう。


(終わりだ)


 その思考と同時に…彼の戦意は完全に折れた。


 そしてそれは絆の指輪で繋がる全員に、同じように伝播していく。


 戦場は、静かに崩壊を始めていた。

注: ミリアのブレザーだけは彼女のカスタム品だったのでなんとか無事でした。決して他のヒロイン達よりも起伏が少なかったから、とかでは……ないですョ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。