閑話46話 少しずつ明らかになる真実*
結局、アベルの捜索は打ち切られ、魔王特別討伐隊は当初の目的どおり魔王城を目指すことにした。
アベルが居なくなってからというもの、マユミとメアは落ち着かない時間が増え、兵士達もどこか浮ついた感じになっている。
特に魔王城の付近には強力な魔獣が多く住み着いており、兵士達の戦闘負担は出発当初と比べて、あるいはアベルがいた時と比べて、かなり大きなものになっていた。
ルナは、撤退戦以降おざなりになっていた魔力ポッドの件が気になってレオニスに聞いてみることにした。
「レオニス様。先日より皆さんにご協力頂いていた魔力ポッドへの魔力充填作業ですが、最近の厳しい情勢を考えると少しお休みしようかと思うのですが。」
それにレオニスは笑顔で答える。
「そうだな。充填出来る奴も居なくなったし……。」
「……はい?」
あまりにも予想しない反応に思わず声が裏返る。
「どうした?不思議そうな顔をして?」
「充填って、兵士の皆さんから少しずつ魔力を頂いていたんですよね?」
しかし、返ってきたのは、ごく当たり前の正論だった。
「アイツ以外の行軍中の兵士に、そんなのやらせられるわけがないだろう。」
ルナは暫く何も言えなかった。
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長期遠征において、薬草の現地調達とポーションの用事調製は必須といっても過言ではない。というのも、多くのポーションは劣化が早く使用期限が短いためだ。ポーション製作において、ミリアはとても優秀であるが、部隊の兵士全員分を賄うのはとても大変だった。エリスの聖属性広範囲回復魔法のおかげで、これまではなんとかやってこれたのだが…。
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アベルが居なくなってからというもの、負傷する兵士が増えて、目に見えてポーションの需要が増えており、エリスの回復魔法の使用頻度も増えていた。一方で薬草の補充量も激減している。
そのことについて、クラリスとミリアはレオニスに相談を持ちかけることにした。
「レオニス様。最近、警邏中の兵士から何か伺っていませんか?」
「たとえば植物の植生が変わったとか?」
だが、寝耳に水だったようでレオニスは少し驚く。
「いや、その様な話は特に聞いていないな。何かあったのか?」
「最近、薬草の採取が滞っているのです。」
「兵士から提出される薬草の量が以前の1割にまで急落しています。」
レオニスは直ぐにピンときた。
「それはアベルが居なくなったからだな。」
「「はい!?」」
「それは、つまり彼が部隊の1日の採取量の9割を賄っていたということですか?」
「まあ、多分そうだろうな…。」
「「………。」」
絶句するクラリスとミリア。採取量を考えたら、殆ど寝ずに薬草を集めていた可能性まで考えられる。それだけの負担を強いていたとしたら……。しかし、今はそれよりも既に薬草の欠品は始まっていて補充が急務だった。
「レオニス様。どうしますか?このままだと数日で在庫を使い果たします。」
「近くには村も無さそうですし、採取以外での調達は不可能かと……。」
レオニスは少し考えるが、魔王城まであと数日でたどり着けると踏んで、おざなりな返事をする。
「いや、大丈夫だ。もう直ぐ目的地に辿り着く。そうしたらポーションどころの問題ではなくなるだろう。」
そうして有耶無耶にされた2人は、今後の行く末を心配するしかなかった。
ヒロイン達も、ちょっとぐらいアベルの苦労を知るべき、という意見もあったので書いたSSです。このタイミングならストーリーに影響がないと思い差し込みました。
ちなみに、ルナの驚いた顔はレアかも知れません。




