王妃のお茶会とフリードリヒの元妻の噂 1
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王妃様からの招待状によると、お茶会は十日後に開かれるらしい。
……って、なんでわたしが王妃様のお茶会に招待されるわけ⁉
王妃様主催のお茶会と言えば、高位貴族しか招かれないことで有名な、いわばトップ・オブ・ザ・お茶会! である。
我が家は伯爵家なので、爵位だけで考えると下の方ではない。
しかし、ギラギラとした野心家な貴族たちと違い、のんびりしている父は権力の二文字からは縁遠い人間だ。
没落前は社交シーズンにはパーティーに参加したりもしていたけれど、最低限の社交さえしていればいいだろうという考えが透けて見えるくらいのやる気のなさだった。
そして現在我が家は借金の型に領地まで奪われてしまった状態だ。
そんな没落貴族の娘が王妃様主催のお茶会に呼ばれるなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない出来事だった。
「おおおおおお母様! もしかしてお母様は王妃様の内緒のお友達だったりするのかしら⁉」
「そんなはずないじゃない! 王妃様とはそりゃあ同年代だったから若いことには何度かお話したことはあるけど、ご結婚されてからはほとんど接点なんてありはしないわよ!」
「じゃあなんでお茶会の招待状が届いたの⁉」
「姉様は心当たりないの⁉」
「ないわよ! 国王陛下にはお会いしたことはあるけど王妃様にはお会いしたことはないもの!」
ハンドクリームやバスボムがお気に召したらしいという話はフリードリヒ様から聞いたことはあるけれど、直接のやり取りなんて一度もなかった。
わたしたち家族は混乱のままわーわー騒いだ後、一様に沈黙した。
騒いだところで、目の前の招待状が消えてなくなるわけではない。
「……これ、どうするの?」
お母様が、不安そうな顔で訊ねる。
「どうって……、断れない、わよね」
「当たり前よ! 王妃様のお誘いを断れるわけないじゃないの!」
ということは、どうあっても参加するしかなさそうだ。
わたしのドレスは、留学先のコーフェルト聖国に持って行っていたものがそのまま残っているので、新調する必要はないだろう。
本当は流行を取り入れた新しいドレスで臨むべきだろうが、十日しかないのであれば仕立てるのは間に合わない。既製品を買うくらいなら手持ちのドレスを着た方がいい。
コーフェルト聖国の学園に通っていたころも社交シーズンにはパーティーだお茶会のお誘いが来ていたので、恥をかかないようにそれなりにいいドレスを持って行っていたのだ。一年程度ならそれほど流行も変わらないだろう。
……これは、覚悟を決めるしかないわね。
お茶会の日は仕事のはずだから、フリードリヒ様に事情を話してお休みをもらわなくてはならないだろう。
さっきフリードリヒ様のお宅でした投資話のことも気になっていたのに、それどころじゃなくなっちゃったわ。
わたしはもう一度お茶会の招待状に目を通すと、はあ、と大きく息を吐き出した。
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