王妃のお茶会とフリードリヒの元妻の噂 2
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次の日、わたしはフリードリヒ様に王妃様からお茶会の招待状が届いたことを報告に行った。
招待状を見せると、フリードリヒ様は頭が痛そうな顔をして嘆息する。
「なるほど、君を誘えば私が断らないと考えたのか……」
どういう意味だろう。
「それから、義姉上がアイスキャンディーをとても気に入っている。それが原因の可能性もあるか」
「え⁉」
「ハンドクリームもバスボムも、定期注文するくらいに気に入っているようだし、君自身にも興味があるのだろう」
……つまり、わたしが借金返済のために開発した商品のせいで王妃様に興味を持たれたってこと⁉
いや待て。流されそうになったが、よく考えたら、わたしが作ったものを最初に国王陛下に献上したのはフリードリヒ様だ。
そしてその後に作るもの作るもの全部を国王陛下に横流ししていたのもフリードリヒ様である。
王妃様は国王陛下経由で商品を知ったはずなので、もとをただせばフリードリヒ様のせいではあるまいか。
……これ、わたし被害者じゃない?
「国王陛下御用達」の七文字は、確かに商品を販売する上で多大なる効果を発揮したが、それはそれ、これはこれだ。
「特にアイスキャンディーは、先日も姉上が茶会の菓子として用意させるほど気に入っていたからな。レイトウコだったか。それも購入したと言うし……」
……あ! 冷凍庫の注文がこの前まとめて入っていたのは、もしかして王妃様からの注文だったわけ⁉
伯父様が「これは断れないんだ」と申し訳なさそうな顔でお父様に急いで作らせていたが、王族からの注文ならそれは断れないだろう。
「しかし、突然茶会に呼ばれても支度に困るだろう。私が懇意にしている仕立て屋なら一週間もあれば一着仕上げてくれるはずだ。当日のドレス一式は私に贈らせてくれ。……私が原因でもあるからな、詫びだ」
「い、いえ! そこまでしていただかなくても! ドレスなら去年のものがありますし……」
フリードリヒ様のせいと言えばせいなのだが、さすがにドレスを用意してもらうのは気が引ける。
ぶんぶんと首を横に振って断ると、フリードリヒ様が顎に手を当てて、わずかに口端を持ち上げた。
「義姉上の茶会には、毎回、仲のいい公爵夫人や大臣夫人も出席するが……」
「よろしくお願いします‼」
公爵夫人だの大臣夫人だの聞いてわたしはすぐに手のひらを返した。
王妃様を筆頭に流行の最先端を行く人が大勢いる中でわたし一人浮きたくない。
……くぅ! 王妃様のお茶会、舐めてたわ‼
わたしごときが呼ばれるくらいだから、きっと今回のお茶会はこじんまりとしたものだと思っていたが、たとえそうだとしても、王妃様の基準の「こじんまり」がわたし基準なはずないのだ。
「すぐに仕立て屋に連絡を入れておこう。昼の休憩時間に合わせて採寸に来させる」
「はい」
「それから当日は、恐らく私も顔を出すことになる。……まあ、茶会が終わる時間を見計らって少し顔を出すくらいになるだろうが、顔を出したついでに君を回収して帰ってやろう。そうしないと、茶会が終わった後で義姉上や公爵夫人に個人的に呼びつけられることになるかもしれない」
何それ怖いんですけど!
絶対に回収して帰ってくださいとぶんぶんと首を縦に振ると、フリードリヒ様が苦笑する。
柔らかく細められた藍色の瞳に、不覚にもドキリとときめいてしまったわたしは、「それでは仕事に戻ります!」と逃げるように団長室を後にした。
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