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5 断末魔

 大丸は粕谷に尋ねた。

「では、どうしたら良いかね?」

「やはり……ここは態度で示していただくしかないかと」

「黒川くん、皆はキミを信じたいと思っているんだから、キミはラインやメールのすべてを見せて、課長としての信頼を取り戻すべきじゃないか?」

「そんなぁ〜、部長ぉぉ〜」

「さぁ、黒川くんが白川くんであるところを見せてくれ!」

 

 そして、大丸部長のおふざけもここまでとなった。

 

「これは何だね?」

「それは……本当、勘弁してください!」

 黒川はあたふたしながら、次々と明かされる女性相手の口説きメールやライン、また、卑猥な写真が面前に晒されながらも、本題となる情報漏洩に繋がる証拠は何一つ出なかった。

 

「どう言うことなんだ?」

 黒川は白川なのか?

 黒川課長の言う通り、この写真は合成写真なのか?

 では誰が?

 ん?

 この写真、よく見ると……俺のスーツじゃないか?

 とそのことに気がついた粕谷を気にも留めず、野々山は黒川課長への尋問を続けた。

「スマホに履歴がないと言うことは、消されたのですね」

「おいおい、消すも何も身に覚えがないんだよ」

「この後に及んで不届き千万」

「本当に知らんのだよ。なあ、信じてくれよ」

「私たちを疑う人を信じられますか?」

 これに粕谷が合いの手を入れた。

「確かにな。疑うものは信じないか……そりゃ、ごもっとももだ」

「粕谷さん? 何が言いたいんですか?」

「なあ、この茶番さ、よくできてるんだなぁ。感心するぜ、野々山くん」

「はぁ? 何言ってるんですか、粕谷さん」

「疑わしきは罰せよか? お前んとこの家訓は?」

「粕谷さん、揶揄ってるんですか?」

「いやね、この写真さ、ちょっと見てよ」

 集まっていたメンバーは粕谷の右手の写真に注目した。

「この写真さ、よーく見ると黒川課長の言う通り、合成写真だよ」

 これを聞いた者たちは騒ついた。

「粕谷係長、どう言うことか説明したまえ!」

 と大丸部長が声をかけた。

「不可解な所が三箇所あります。そして犯人も誰かがわかりました」

「不可解な所に犯人までか」

「ええ、ではお話しいたしましょう」

「か、粕谷くん、私の濡れ衣を晴らしてくれ!」

「わかりましたよ、黒川課長。あなたの身の潔白を証明いたしましょう。でも、まず人を疑う前に、人に恥ずかしくない取り組みをお願いしたいものです」

 これを聞き黒川は首を垂れた。

「では一つ目と参りましょうか。まずはここをご覧下さい」

 粕谷は写真を掲げ、解説を始めた。

「ここにパチンコの筐体(きょうたい)が写っておりますが、この筐体が完成してからは私が本日まで管理をして来ました」

「確かこの部屋の管理は黒川くんと粕谷くんが管理していたことになるな」

 と大丸は認識を伝えた。

「そうなんです。でも実質は私が一人で管理していました」

「確かに私はこの倉庫に入ったことはないんだ」

 と黒川は自ら管理していないことを明かした。

「黒川くん、ダメじゃないか」

 と部長が課長を叱責した。

「す、すみません」

「で、続きを頼む」

 と大丸部長が話を戻した。

「はい、この筐体は先週金曜日に完成しており、土日を跨ぎ本日までの五日間の、しかも映り込んでいる針時計が三時を指していることから、私が出社しなかった日曜日の午後三時にこの写真は取られたものと思われます」

「じゃあ、日曜日に出社していたのは誰かね?」

 と部長が急かした。

「確か黒川課長に、野々山くん、伊藤くんに藤岡さんだったね」

 と粕谷は野々山に確認をした。

「ええ、でも私たちは三時ごろには皆で遅めのランチに出てましたよ、なぁ、伊藤くんに藤岡さん?」

「確かに午後三時頃は、黒川課長を除いて皆ランチに出てましたよ」

 と伊藤が三人のアリバイを説明した。

 すると野々山が黒川課長に向かい、

「やっぱりあんたしかいないじゃないか!」

 と再度黒川を問い詰める。

 その様子に粕谷が一言加えた。

「この写真、よーく見ると実に違和感を感じるんですよ」

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