13 確率信奉
オカルトこそ醍醐味
「さてさて皆さん! 先バレ、脳汁の元祖とも言える台をご存知ですか?」
ドドン!
「何々? 知らないと……では、ご紹介致しましょう。その名は『Reゼロから始まる異世界生活・鬼がかりver.』の後継機『Reゼロから始まる異世界生活・セカンドシーズン』でーす!」
パフパフパフパフ!
何を隠そう、わたくし粕谷はこのリゼロの大ファンでありまして、先ほどパチンカーは皆強欲だと申し上げましたが、否、わたくしの偏見なのかも知れませんが、まあ聴いて下さい、とにかく楽曲が強欲最高なんですよ(笑)
いい仕事してますねぇ、大都さん!
そう。
パチメーカーの大都技研さんと言えば、この筐体を持つリゼロ2の次に発表された、そう、一世を風靡したのはあの大当たり確率1/179.5でありながら、3000玉の猛威を振るう台風の目となった『押忍!番長』になりますが、それをご存知ない?
まさか、知らないんですか?
まぁ、それならば不問としましょう。
「オッス!」
この筐体、なんと言ったら良いか、ボタンが「ガチン!」と落ちるんです!
ラッシュ確定とか、ST獲得大当たり3000発(通常当たり1500発)とか、それはそれもう特別な時に訪れる「落ブル」は、音の演出と相まって脳汁ダダ漏れになるんです!
ドドン!
リゼロの先バレ音の「ポキュン!」や3000発確定の「ポポポポキュン!」を凌ぐ「落ブル」はマジヤバイ、ヤバ過ぎなんす!
そんな、至福な一瞬のために、誰もが高額投資をやめられない、そんな悪魔的な至高の一台に、今、俺は立ち向かう。
ドドン!
リゼロ2は鬼がかりVに比べて秀逸なのは、ラッシュ中にしか聴けない楽曲を通常時にもガンガン聴きまくれるところだ。
皆さん、いかがですか?
何?
そんなの知らない?
まあ今時は、漫画はもちろん、ラノベからのアニメ化を支えているのも、パチンコ業界とのタイアップなしでは語れない。
言い換える必要もないのだが、ラノベ、アニメファンの皆さん、パチンコパチスロが底辺を支えていることをお忘れなく。
リゼロ、転スラ、オーバーロードや盾の勇者の成り上がりなどなど色々とあるんですから!(笑)
シャキーン!
それではウンチクはこれくらいに、実践といきましょうか。
「出玉を換金せず、このまま13800発をぶっ込みだ!」
ってあれ?
何か大切なことが……?
そうだ!
この台の確率やゲーム性について、
何も語っていないじゃないか?
アレレレ(焦)
リゼロ2の大当たり確率は1/349で、大当たりの51%でラッシュ突入となり、確率変動による1/99を144回で引き当てるゲーム性なのだ。
大当たり継続率は77%で、昨今のラッキートリガー機(以下ラットリ機)と比較しても、決して悪い継続率ではない。
ごく最近出てきた、なんだか得体の知れぬ1/999のラットリ機『東京喰種』に比べれば、一撃7500発なんてのはないが、3000発大当たり時にフリーズ(画面が固まる)から起こる1500発の上乗せも、なかなかのものではなかろうか?
ドドン!
さぁ、勝負だ!
ドンドコドン!
現時点で13800発あるのだから、少なくとも負けを出さないようにするためには、大海での投資額10500円分である3025発を残せば負けはない。
ドドン!
余裕である。
およそ10000発以内で勝ちをもぎ取れば、プラス領域だ!
軽い軽い!
ドンドン!
打ち始めて250発、回転数17回転、謂わゆるボーダー(投資と見返りが同じ、つまりプラマイゼロのこと)の18回には及ばないが、この台は昨日も多く連チャンを出している。これは好調台と言える訳なのだ。
ドドン!
ところがどっこい、予想に反して予感が悪寒、図柄リーチはするものの発展しないイヤーな展開が続いた。
気がつけば、残り7000発。
「これ、好調ではなく不調、下り坂なのか?」
ガーン!
そう、パチンコとは筋書きのないドラマなのである。
そう思う、いやそう思いたいのが今の俺!
勝ち運が乗った俺!
勝つ時も負ける時も時の運と言うけれど……ラブストーリーは突然確変なのですから、世紀の大逆転を信じて、その歩みを進める、否、進めざるを得ない。
投資はもう後戻りはできないところまで来ているんだ!
今の俺を信じたい。
いや、信じろ俺!
しかしだ。
この心、勝ちを信じながら、どこかすべてを飲み込まれてしまうのではないかと言う一抹の不安と戦いながら、大きく目を見開き、台と向き合い一歩も引かない。
心理と言うものは不思議なもので、この「お金の取りっこ」をパチンコの本質で捉えるのなら、それは確率。
確率は世の中に起こりうるすべての出来事を数値化してくれる便利でかつありがたい代物で、パチンコにおいては、すべてを支配すると言っても過言ではない。
パチ屋にいる以上、望んで勝負をしに来た訳だから、否が応でも確率を無視した行為は自殺行為なのだろう。
つまり確率はパチ屋で戦う者たちのまさに羅針盤であるのだ。
気がつけばまた、ウンチクを始めていたことに気づく俺。
心が弱くなり始めた証拠。
自分が信じた確率を信じきれていない証拠。
証拠。
証拠?
まて、この台の選択。
確率での選択では?
なかった。
感覚。
そうだ、オカルト的思考による選択じゃないか?
さっきの強欲と言うワードが、リゼロ2を打てとエキドナの暗示にかかったように、まさに神の啓示と確信したオカルト的思考。
その思考で選んだ一台。
好調台と決めつけたオカルト。
確率信者のフリをしたとんだキリシタンの俺は、己が起こしたアルマゲドンに爆死状態に陥った。
このようにパチンカーの、いやもうパチンカスの心理は藁掴状態にまで落ちる、更に落ちる。
そしてあれこれ心中乱れた中、一瞬にして一掃する奇跡的遭遇にフリーズする。
来た!
すべての心理は吹き飛び、希望という名の光が闇と化した心を照らし始める。
「ポキユン!」
そして直様ボタン押下。
「ヴヴヴヴ」
とバイブが手のひらから伝わり昇天。
大当たりがやって来る!




