第32話:暴食の格闘王―グラトニーオブバトルマスター―その3
翌日。
ツルギ達は再びアバドンの神喰異世界の街へと降り立っていた。
理由は言うまでも無く、“神核”を有する邪神の討伐である。
先の戦闘に置いて姿を現した他の邪神の眷属とは一線を画す存在感を放っていた異形の巨腕を有した機械仕掛けの巨人。
戦闘すらしなかったがあの異形の邪神は強い、とツルギは感じ取っていた。
ツルギ:
(直接対決となるなら――――あの巨腕は決して喰らわない様にしないといけないな・・・)
ツルギはそう思いながら邪神戦の脳内シミュレーションを行っていた。
デモンデウスの装備からして近接戦は無難ではないなど考えながらぶつくさと声にも徐々に漏れつつあったがそこを引き戻すべく、相方のライカが声を掛ける。
ライカ:
「クロくーん、気持ちはわかるけども少し現実に戻ってくるッスよ~1人で考えてちゃダメッスよ~!!」
ツルギ:
「―――――え、あ・・・ごめん!いつもの癖過ぎるなぁ~ごめんライカ。」
ライカ:
「ボクだけの場合なら慣れてるから良いけど、流石に他にも人がいるッスからそこら辺はね」
そう言うとライカはその人物らの方へと視線を向ける。
視線の先には共に同行を希望したヨハネス先生とマナ・ケミアの二人がいた。
ツルギ:
「すみません、ヨハネス先生。お恥ずかしい所を・・・」
ヨハネス:
「いや、気にはしていないよ。それにキミは特に思考を巡らせることでより鮮明に物事を捉えやすい傾向な様だ。集中し過ぎてしまうのは偶に瑕かもしれんがそれを伸ばす様に意識すればより高まるかもしれんぞ」
マナ・ケミア
「あくまでも仮定の話だけどね」
ツルギ:
「なるほど――――ありがとうございます」
二人にお礼を言うツルギに気にしなくていい、と仕草で示すヨハネスとマナ・ケミア。
そんなやり取りを焼き肉串を食べながらライカは話を振ってくる。
ライカ:
「それはそれとしてアレだけの騒ぎと被害だったのに――――」
マナ・ケミア
「元に戻っているね、町」
続く様にマナ・ケミアが言う。
ツルギもそれに続く様に周囲を見渡す。
周囲の街並みは多少の損壊はあれども特に不自然はなかった。
そう、“先の戦闘の損壊”すら嘘の様に存在していない。
それどころかアレほどの被害があったはずなのに町の人らも何事もなかったかの様に日常を過ごしていた。
ツルギ:
「まるで何事も無かったの様にいつも通りに過ごしている・・・」
ヨハネス:
「これが邪神が生み出した【神喰異世界群】の特徴でもあるね」
―フラグメント・マテリアル―
神喰異世界群-3
「基本的に神喰異世界群内での損害は考慮されていない。“神核”たる邪神が生きている限り、全てが元に戻り、全てが何事も無く、繰り返される。全ては邪神の思うがままの世界を作る為に・・・」




