第22話:神喰異世界群―クラックワールド・カオスエンド―その1
ツルギ:
「ヤツがアバドン――――――」
ライカ:
「センサー類が異様というか異常なほど数値が跳ね上がってる・・・多分間違いなくこの世界の“神核”ッスよアレ!!」
ライカからの報告を受けて警戒を強めるデモンデウスとカドゥケウス。
異形の巨腕を有した機械仕掛けの邪神は沈黙を保っていた。
微動だにせず、その場でジッとこちらを見ているアバドン。
距離としてはそこまで離れていないがそれでも油断出来る様な相手ではないのは発せられている威圧感でわかる。
マナ・ケミア:
「どうする先生」
ヨハネス:
「このまま戦闘を続行は出来なくはないが――――相手の出方がわからない以上、こちらから手を出すのは愚策だろうな」
そう言いながらヨハネスはアバドンを特にその巨大な両腕を観察する様に視る。
部下たる邪神の眷属を一撃で倒した異形なる巨大な怪腕に最大の注意を払うべきだとヨハネスは判断していた。
しばしの沈黙の後、アバドンが変身したと思しき邪神から言葉が発する。
アバドン:
『案ずるな・・・今はおまえ達と戦うつもりはない』
静かにされども重く厚味を感じさせる言葉をこちらに向ける。
その重圧に身体が一瞬締め付けられる感覚に襲われながらもツルギは耐えた。
ツルギ:
「戦う気はない、だが刻が経てば戦う機会が来る。そう言いたいのか?」
アバドン:
『そうだ、今のおまえ達を相手をするのは簡単だがそれでは我が飢えと渇きは満たされない。真の意味で熟さなければ意味がないのだ・・・・』
ツルギの言葉にそう返答すると機械仕掛けの邪神の躯体は踵を返す。
アバドン:
『その時を楽しみにしている―――――お前達がワタシを戦いたいのならば“在るべき場所”へ来るがいい』
そう言うと同時に姿はだんだんと揺らぎ、その姿はどんどん薄くなっていき、消滅した。
アバドンが消した場所を2体の巨人は見ていた。
ヨハネス:
「退いたか・・・あのまま戦うことも出来たが・・・ヤツ自身の拘りかもしれないな」
マナ・ケミア:
「この後、どうするの先生」
ヨハネス:
「それは彼ら次第だろう」
そう言うとヨハネスはデモンデウスの方へと視線を向ける。
デモンデウスはその場に佇んでおり、ツルギとライカはおそらく仲間たちと通信を行っているのだろう。
ヨハネスはふと街の方を見た。
先程の戦闘で家屋など建物崩壊が目立ち、人々の中には呻きや苦しみを伴った声が混じっている。
しかし、そんな声を上げながらも人々は日常へと戻ろうとしていこうと動き始めていた。
この世界ではそれは当然なのだと短い期間ではあるがヨハネスはそれを知っていたからだ。
するとデモンデウスの方から声が掛かる。
ツルギ:
「ヨハネス先生」
ヨハネス:
「なんだね?」
ツルギ:
「今後のことでお話したいことがありまして・・・ロンギヌス、俺達の艦にどうですか?」
意外な誘いにヨハネスは少し驚きを見せたがすぐにツルギに理由を問う。
ヨハネス:
「良いのかね?キミ達とは出会ってから間もないのだが?」
ツルギ:
「俺達の上司達からの判断です。同じ“デモンデウス”ということもあります理由として」
しばしの沈黙の後、ヨハネスは口を開く。
ヨハネス:
「わかった。その方がいいかもしれない。レディもよろしいか?」
マナ・ケミア:
「いいよ、先生とは運命共同体だから」
同意の反応を示した二人はツルギ達の誘導に従い、ロンギヌスへと向かう道を取る。
その際、ヨハネスは再び街の方へと視線を向けながら言葉を漏らす。
ヨハネス:
「邪神にとって都合の良い世界、か・・・」
―フラグメント・マテリアル―
ハンティングホラーズ
「恐怖を狩る者たち。邪神を始めとした怪異現象に対処することを専門とした人々の総称で【邪神バスター】ないしは【邪神狩り】とも呼称される。多くの所属者は邪神と因縁浅からぬ場合が多いが完全な一般人が付くケースも稀に存在する。基本的には組織的な成り立ちをしており場合によっては公的機関として給金も発生するがリスクヘッジを考慮してか公的機関の場合は再三、忠告を行うケースもある。」




