第14話:黒鉄の執刀者―マスターオブカドゥケウス―その6
ヨハネスは語り出す。
元々ヨハネスは元の世界ではそれなりに高名な医者だったらしい。
本人はそこまで気にしてはいなかったがその外科手術を始めとした医療技術の高さから天才とも言われていたとのこと。
だが本人は天才と呼ばれても基本的な考えは変わらず、自身が医者として医療を
必要としている人達の為に尽くしていた。
そんなある日のこと。
ヨハネスはある違和感を抱く。
それは何の変哲もない日常に当時のヨハネスでは理解出来ない“不快感”を伴わせたものだった。
日増しに徐々にであるがその違和感が大きくなっていく。
だがそれがなんであるかがわからずにヨハネスは苦悶の日々を過ごす。
他の人間たちは感じていなかったその“不快感”に彼は疑問を抱くも解決の糸口は
なかった。
そんな日々を続けたある時、世界は崩れるのである。
気付けば倒れていたヨハネス以外の存在は全て壊れており、失った世界にただ
1人、呆然と立ち尽くしていたのであった。
ヨハネス:
「正直、当時の私は何もわからなかったよ・・・何が起きてどうしてこうなったのか・・・ただ一つわかっていたのが私が感じ取っていた“不快感”が原因だったということだと―――――」
ツルギ:
「その“不快感”の正体は?」
ヨハネス:
「未だ実感というか確証は得ていないが・・・“邪神達と同じ感覚”だと今は思っているよ」
ツルギ&ライカ
「「―――――――」」
その言葉にツルギとライカは無言かつ真剣な表情で聞いていた。
そんな若者たちの様子にやや苦笑交じりの笑みを浮かべながらおかわりしたコーヒーを飲む。
ヨハネス:
「しばらく途方に暮れていた時だ。レディ――――マナ・ケミアとカドゥケウスと出会ったのは・・・」
ツルギ:
「カドゥケウス?」
ヨハネス:
「私とレディが乗り込む相棒だよ」
ライカ:
「巨大ロボットッスか?!」
ヨハネス:
「そう言えるだろうね」
燦々と目を輝かせるライカにヨハネスはそう答える。
するとしばらく沈黙を保っていたマナ・ケミアも口を開く。
マナ・ケミア:
「先生と出会ったのは廃墟となった病院の一室だったですね」
ヨハネス:
「ああ、誰か生存者はいないかと同時に救いを求めて自分のアイデンティティともなっていた医療現場へと足を運んだんだ・・・その時のことは今でも覚えているよ。少し戸惑いはあったがね」
ライカ:
「そうなんスか?」
ヨハネス:
「ああ、彼女と出会ってようやく事情呑み込めた、と云えるかな・・・完全とは
行かないがね・・・だが、彼女とカドゥケウスの出会いは私にとっては必然であったと今では思っているよ」
ツルギ:
「必然・・・」
ツルギが何か思う所がある様に小さく呟く。
と同時に外が騒がしくなってきていた。
ツルギ:
「なんだ?」
ライカ:
「外が騒がしいッスね・・・」
ヨハネス:
「何か起きている様だな」
マナ・ケミア
「先生、気を付けて。悪い予感がする―――――」
マナ・ケミアの言葉に一抹の不安を感じた3人は外へと警戒しながら赴く。
―フラグメント・マテリアル―
ヨハネス・ハザマ・ブラックマン
「カドゥケウスの搭乗者。元々の世界では著名な医者として医療従事に携わっていたが突如として世界が崩壊。その後、マナ・ケミアと出会い、彼女とカドゥケウスのマスターとして邪神達への戦いへと身を投じる。昔の癖で戦闘を手術として捉えている節がある。また、剣術も心得ており、カドゥケウスの魔術兵装と連動して併用する。コーヒーはブラック派でレトルトカレーを好む。」




