第12話:黒鉄の執刀者―マスターオブカドゥケウス―その4
ヨハネス:
「ここが私の診療所だ」
ヨハネスの案内に応じてツルギとライカは彼が勤めている診療所へとやってきていた。
殺風景な印象を与えるが室内は綺麗に整っており、どこか清潔感を漂わせる雰囲気となっている。
少なくとも他の荒廃した建物とは一線を画している感じを抱かせた。
ヨハネス:
「仮にも医療施設ではあるのでね。最低限の清潔感は保っているつもりだよ」
適当に座ってくつろぎたまえと促すヨハネスに応じて二人は手頃な椅子に腰を下ろす。
ヨハネスは来客用のカップを用意してインスタントのコーヒーの粉を適量入れて沸かしていたお湯を注ぐ。
更にミルクを自身の分を除いたコーヒーが入ったカップに淹れてお手軽なカフェオレ風にする。
トレイに自身の分を含めた“4人分”淹れたコーヒーを持ってきた。
手渡しでそれぞれをツルギとライカに渡すヨハネス。
ヨハネス:
「手持ちのインスタントで済まない。“この世界”では中々本物のコーヒーが仕入れ難くてね。味は保証するよ」
ツルギ:
「ありがとうございます」
ライカ:
「いただきますッス・・・一個余るッスけども?」
ヨハネス:
「ああ、すぐに呼ぶよ。――――レディ、休憩がてらに一杯飲みなさい。ミルクコーヒーだ」
ヨハネスの声に応じる様にドタドタと足音が聞こえると同時に声も聞こえた。
????
「先生!帰ってきたらまずはただいまとアイサツをするの、当たり前でしょ!!いい大人なんだからそこはしっかりしないと!!!」
開口一番からしてヨハネスを怒鳴りつけるのは小さな女の子だった。
背丈はライカよりも小さめな見た目的には10歳かそこらの印象を与える。
その様子にヨハネスはやれやれ、とため息を付きながら・・・
ヨハネス:
「レディ、挨拶は済まなかったが今は来客もいる。礼節を忘れてはいけないぞ?」
????:
「あ、お客さんもいるの?これはごめんなさい」
そういうと少女は軽く会釈をしながらスカートを軽く摘まむ淑女のアイサツのポーズをする。
????:
「失礼いたしました。ワタシはマナ・ケミア。先生の助手を務めております看護師です。よろしくお願いいたします」
ツルギ:
「あ、これはどうも」
ライカ:
「こんなにお子ちゃまなのに凄いッスね」
マナ:
「フフフ・・・その眼鏡、バキバキに割っちゃってもいいのですか?」
黒い圧を掛けられビビるライカと少し唖然とするツルギ。
それにヨハネスはやんわりとフォローする。
ヨハネス:
「済まない。彼女も少し自分の外見を気にしている節があるのだ・・・故に過剰に過激な言動をする可能性もあるだろう。あまり気にしないでやってくれ」
マナ:
「――――別に気にしてないよ先生」
ツルギ&ライカ:
(気にしてるんだなぁ・・・)
マナ:
「(圧を掛けながら)――――なにか?」
一緒に首を横に振る二人とそれを睨むマナを見ながら微笑みを浮かべながらコーヒーを飲むヨハネス。
ひと息付いたこともあって落ち着いた瞬間を見計らい、ヨハネスは話題を切り出す。
ヨハネス:
「さて――――ひとつ質問をするがよろしいかね?」
ツルギ:
「はい、大丈夫ですが・・・」
ヨハネス:
「キミ達は“この世界”の住人ではない。そうだね?」
―フラグメント・マテリアル―
笑う男-1
「“ラフィンマン”。道化者の様な素振りをしているがその本心は闇に包まれており、覗く者は深淵へと入り込む様な感覚に襲われる。どこかのセールスマンやトランプマジックをする様な衣装をしているがファッションは割と拘っているらしい。仮面の素顔は常に笑みを有していない」




