第11話:黒鉄の執刀者―マスターオブカドゥケウス―その3
地下深くある広大な空間。
格闘場ともコロッセオとも云えるほどの広々とした飾りっ気のない舞台。
しかし、それを気にしない程までの熱狂とも云える歓声が響き渡たり、空間を支配する。
その熱狂を生んでいる元凶が今まさにコロッセオで八面六臂の活躍を見せていた。
また1人、また1人とその剛拳で対戦者たちを虫の息へと追いやっていく。
アナウンサーの声:
『強し!強し!!強し!!!その強さはまさしく怪力乱神!!この男の前に敵は無く、この男の後にも敵は無し!!!!飽くなき闘争心の塊はまさしく暴走列車の如し!!この男に勝てる猛者は果たしているのか?否!断じて否!!何故ならばこのお方こそがこの地下格闘技場の支配者!!!破壊王アバドン様なのだからぁぁぁぁぁ!!!!!』
観客たちの歓声:
『わあああああああああああああああああああああああああ!!!アバドン!アバドン!アバドン!』
歓声に対して関心を持たず、アバドンと称された格闘家風の上半身裸にフード付きジャケットを羽織った男はその場を後にする。
彼専用の控室においては人払いをされており、アバドン以外には誰もいない。
静寂な空間が支配する部屋に彼の動く音だけが聞こえるのみ。
椅子に乱雑な勢いで座った彼は手に持っていたペットボトルの水を一気に飲み干す。
アバドン:
「満たされん・・・」
飲み干した第一声がそれ。
闘士として生き闘争に明け暮れた彼ではあるが彼自身の“渇き”と“飢え”は一向に満たされていなかった。
彼は空腹だった・・・しかしそれは物理的な物ではなく、精神的な意味でだ。
強き闘士との激闘、血沸き肉躍る心技体のぶつかり合いを彼は望んでいる。
しかし、“この世界”には彼を満たす者はいない。
時折、迷い出る闖入者らに対しても勝負を挑ませているがそれでも彼の欲求を満たすには至らなかった。
それだけ彼の“暴食”の度合いは深いということである。
アバドン:
「―――――誰だ?」
人気のない控室において重いドスの効いた声を響かせる。
その声に応じる様に侵入者がその姿を現す。
暗闇の部分からぼんやりと人型のシルエット―――笑う男が音も無く姿を見せた。
笑う男:
「お久しぶりです、アバドン様」
アバドン:
「――――お前か・・・何をしに来た」
微動だにせず、邪魔物であるかのように扱う様子のアバドンにこちらも動じずにいつもの調子で話す笑う男。
笑う男:
「いつも通りに渇き飢えておられる様で善哉、善哉」
アバドン:
「相も変わらずだな。殺されたいが故の煽りか?」
笑う男:
「いえいえ、アバドン様のお悩み・・・もしかしたら解決出来るやもしれないことをお伝えに来たのですよ?」
アバドン:
「一応は聴いてやろう・・・」
不快感を露わにしながらも提案を聞く為に姿勢を改めるアバドン。
それを見た笑う男は笑みを模した仮面の奥から笑みを浮かべながらかこう語り出す。
笑う男:
「“機械仕掛けの神殺し”はご存知でしょうか?」
―フラグメント・マテリアル―
ロンロン博士
「【神殲組】に属するマッドサイエンティスト。エセ中華チックな言動や服装が特徴的な東洋っぽく西洋寄りな竜人。デモンデウス始めロンギヌス内の設備全般の設計を担当。おっぱいはデッカク曰く『メンバーの中では2番目にデカイ』らしい。胡散臭さが勝るがその実力は確か。」




