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第39話 感謝

 塞ぐ気持ちを抑え込めたところで顔を起こすと先程まで彼氏の方を向いていた京子と目が合う。


 その顔にはいかにも心配しているといった表情を浮かべていて微かに潤んだ瞳をこちらに向けていた。


 目が合った瞬間、彼女の眉はピクリと上に動いた。

 それから徐々に下がっていくとともに目が細まってゆく。


 その視線に耐えられなかった彩花は思わず目を伏せる。

 感情の奥底から湧き出るはかとない恥ずかしさがこの場を逃げ出したいという欲求に駆り立てられる。


 そんな葛藤に苛まれながらも彼女はここから動こうとはしなかった。

 この場に逃げる事を責める人間はいないだろう。


 だからといってここで前に進まなければそれまでなことを知っている。

 約何十年分の時間旅行の末にこのルートに辿り着いたこと思い出しながら自分を鼓舞した。


 この場に集まってくれた面子に感謝の念を抱きながら各々の顔を見渡していく。

 京子、京子の彼氏さん、それと雨竜だ。


 最初はダメ元だった。

 頭を下げたところでこんな身勝手な要求に答えてくれるとは思ってもいなかった。


 葉山の自殺を防ぐために長い間ずっと1人で動いていたのだ。

 1人でいるのが当たり前。彩花にとって人に頼ることは選択肢どころか発想にすら至らなかったのだから。


 京子に気付かされ。


 雨竜に背中を押され。


 挙げ句の果てに事情も知らない彼氏さんまでも協力を打ち出してきてくれた。


 あまりの展開の速さに頭が追いつかず呆気に取られてしまっている。

 

 同時に申し訳ない気持ちで心がいっぱいになっていた。

 自分の能力が至らないせいで雨竜がおろか一般人である2人を巻き込んでしまっているのだから。

 

 手のひらに食い込んだ爪が徐々に痛みを伝えてきた。

 呼吸を整えながら上がりかけていた心拍数を落ち着かせる。

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