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第20話 時の違和感(--:--)

 葉山は写真立てから目を離し、隣に置いている仕事兼プライベート用のパソコンを見やる。


 あれは本当に夢だったのだろうか。

ホームにはすでにエクセルが展開されている。


 やはりだ、早速違和感を見つけることが出来た。

なぜなら夢の中で葉山はエクセルを更新している。

時間はたしか7時12分ちょうど。


 更新データを確認すると夢で保存したのと同じデータが存在する。


 そしてその後、すぐにSNSを起動して投稿を1件更新するはずだ。しかし、その形跡はない。


 後押し屋へと向けた投稿。

これから死にゆくつもりの自分が保険に保険を掛けるために賭けた手段だった。


 あの投稿をしたのも確か13分ごろではなかったか?

もう一度時計を見るとすでに7時14分を示していた。


 夢とは曖昧なものだがさすがにこんなにも鮮明な記憶の中で間違えるものだろうか?


 昨日の夜に食べたものを順に次々と頭に思い浮かべていく。


 チャーハン、唐揚げ定食、トーストと卵、塩しゃけの定食、サンドウィッチ……。


  自分の記憶を疑うときのルーティンを行う。

大丈夫、過去1週間前程度は鮮明に覚えているな。


 思い出せない時は間違っている可能性を考えていたがそうではないらしい。

現状の俺は本調子を保っている。


 だが今回はすんなりと先週の土曜から今日までの1週間の食事を、間食も含めて全て思い出すことができた。

つまり掠れたわけではないと考えていいだろう。


 と、いうことはだ。

腕を組みながら部屋の中を壁を沿って歩き始める。


 7時12分にエクセル、7時13分にSNSに投稿した記憶を正しいと仮定するならば。


 この1分だけ気を失っていたということになる。

それこそ記憶の混濁どころの騒ぎではない、今すぐ病院に行くレベルだ。


 気を失った経験は今まで一度もない。

だから本当に気を失っていたかどうかはこの場では判断ができなかったので後回しにすることにした。


 できないなら出来ることを先にやる。

これが葉山の迷った時の対処法だ。


 まずSNSにあらかじめ考えていた文章を投稿した。

自分でも半信半疑だがこのような文面は後押し屋の目につきやすいらしい。


 事実、ネットで提供された情報には同様の内容を挙げたものが多かったので信用して真似をしてみることにした。


 次にエクセルを再度展開させる。

ここには『後押し屋』についてネットで得た情報をまとめていていくつものファイルが項目ごとにずらっと整理されている。


 例えば。

『後押し5つのルール』

『金メダリスト候補の元に現れるという謎の人物の噂』

『総理大臣の裏にいるもう1人の黒幕』

『突然売れ始めたミュージシャンに訪れたきっかけ』

『彼らに会うための儀式とは』


 これらの様々な見出しデータには信憑性が高いものから都市伝説の域を出ないものまで幅広いものが書き込まれている。


 どれが正しいなんて分からないならまずは集めるしかない。

真意を確かめるのはその次の話だからだ。


 その甲斐もあって面白いことがいくつか見つかった。

数々の流れてくる噂には一定の法則があったのだ。


 照らし合わせてみると決まって『5つのルール』について書かれていることが多い。

これは後押し屋という存在がどういうものなのか示すものだ。


 要約すると、後押し屋とは最大限の努力をした者にあと少しの最小限の手助けをする者。

その判断は担当したものの裁断で決まるものとある。


 依頼する身となればこれ以上分かりやすい自己紹介はないだろう。

マーケティングも仕事で携わるのでこの説明には納得がいく。


 しかし葉山には一種の疑念が生まれた。

これは本当に我々、依頼者に向けたものなのか?

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