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異世界に転移したが、勇者じゃなくて私立探偵なので喋る剣と喋る黒猫と探偵事務所開きます  作者: FUKAMIEIJI
オークの集落編

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第12話 セージさん飛んでっちゃった

(ルファス)

 ゲオルグリス族長が戦斧を振り上げ、地面と垂直になり、振り下ろす。

 セージさん、死んじゃうよ……僕はセージさんに渡された手榴弾(?)という魔法の武器を思わずギュッと握りしめた。

 戦斧の刃は地面に対して平行……そのまま振り下ろされた。


「いいぞー!」「そのまま叩き潰せーっ!!」「ヒューマンなんてそこらの虫みたいなもんよ!」「ひゃっはー!」

 

 オーク達の歓声が飛ぶ。ゲオルグリス族長も凄い筋力だ。多分技もあるんだろうけど、彼自身の筋力も凄いのだろう。

 瞬間――セージさんは掴んでいる戦斧の柄に対して身体を持ち上げて――えっ、倒立してる!?

 凄い!

 地面と戦斧の刃が平行だからか、振り下ろされる速度が少し遅い(空気抵抗が強い)。それでも無茶苦茶だ!

 そしてセージさんは、手を放した。


「えっ――――――――」「あっ…………」「兄……貴…………?」


 空を吹き飛んでいくセージさんに皆の視線が集中する。

「たーまやーである」

 皆が黙っている中、暢気なリーナスさんの声だけが響く。


 地上六メートルくらいだろうか、吹き飛んでいくセージさん。

 ゲオルグリス族長は走って空中にいるセージさんを戦斧で叩き落とそうと足を踏み出した。危ない、セージさん死んじゃう!

 だけどセージさんは空中でくるりと回る。

 スリングショット(パチンコ)を取り出す。

 そして素早くゲオルグリス族長に向かって石礫を三回ほど放った。

 焦って前に出たゲオルグリス族長には不意打ちだったのだろう。

 初撃がゲオルグリス族長の顔に命中! 凄い!

 でも、二射目、三射目はゲオルグリス族長が咄嗟に回転させた戦斧の柄で弾かれちゃった。惜しい。

 しかし、ゲオルグリス族長は足を止めてしまった。


「へっ――みたか!?」


 というセージさんの声とともに、リングの柵を越えたセージさんはオーク達が立っている中に背中から落ちていった。


「おい! こっちにくるんじゃない!」「押すな!」「逃げろ!」「はやくどけ!」


 オーク達の悲鳴と怒号が響く。

 そのままオーク達の中に墜落。下敷きにされたオークさんが悲鳴をあげてる。痛そうだなぁ……。

「いやー、クッションありがとうありがとう! オークの皆! すまないねぇ」

 そんなことを言いながらセージさんは立ち上がった。

 あはは、面白い。こんな時でも軽口を叩いてる。


「族長! さっさとこのクソヒューマンをぶっ殺してくださいよ!」「ふざけんな!」「場外だから負けでいいだろ!」


「おいおい、場外で負けなんてルールには無かったよな?」

 そう言いながらセージさんはゲオルグリス族長の待つ中央に戻る。

 もうしわけ程度に張られた鉄線を潜った。

 待ち受けるゲオルグリス族長は右目の上が切れて、血が流れ落ちていた。


「あぁ、場外負けなんてものはない。見事だサイトウ」

 ゲオルグリス族長はそういうと、改めて戦斧を構えた。

「あんたもクソ強いよ。ったく、オークってのはやられ役のはずだろうが、マーカスといい、あんたといい勘弁してくれ」

 マーカス? 誰だろう? 後で聞こう!

「いや、オークの武勇伝の中ではやられ役はいつもヒューマンだ」

 ゲオルグリス族長は少し笑ってそう言った。


 それを聞いたセージさんは嬉しそうに言ったんだ。

「よしきた、中を取ってエルフにしようぜ」

 ちょっと! ここに僕がいるんだけど!

「悪くない案だな」

 ゲオルグリス族長とセージさんは視線をあわせると、お互いニヤリと笑みを浮かべた。

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