表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/13

高知市での出来事②

息を整え、私は何事もないように冷静を装う。


とりあえず、目的地の“はりまや橋”を見に行く。


はりまや橋の第一印象は


私『何これ、メッチャ小さい橋やん!』


でした。


酔いも覚め始めた頃、アーケード街を1人ブラブラと探索たんさくする事に。


時間も早いからか、周りを見れば人通りは結構多い。


その中には楽しそうに歩くカップルの姿も多く、彼女が何年もいない私にとって、そこはまさにダメージゾーン。


腕組みをしているカップルと遭遇そうぐうするたび、少しずつ心にダメージが蓄積ちくせきされていく。


観光に来ているのに、全く楽しくない。


私はここに、一体何をしに来たんだろう?


屋台を荒らし、道路に下呂を撒き散らし、私は1人、ここで何をしてるんだ?


そう思いながらアーケード街を歩いて行くと、ゲームセンターを発見した。


そのきらびやかな店内の光が、今の私にはまるで都会のオアシス、けずられた心を回復する回復ゾーンに見えた。


助かった…


体力も心のライフ量も残りわずか、まさにレッドゾーン状態の私。


回復を求めて、早速ゲームセンターに入った。


店内を探索すると、予想通り彼女のいない野郎達の巣窟そうくつだ。


私と同類がウジャウジャいやがる。


なんて心地よいのだろう…


私はここで高知の猛者もさどもと勝負し、たまったさを晴らしてやろうと思った。


私の世代は対戦ゲーム全盛期。


ストリートファイターやバーチャファイター、鉄拳など、群雄割拠ぐんゆうかっきょ、並みいる猛者どもの戦国時代。


私はゲームセンターで腕を上げた経験があり、対戦ゲームには少々腕に自信があるのだ。


だが、色々とゲーム機を見て回るも…


そんな対戦ゲームは一台もなかった。


私の知らない間に戦国時代は終わり、時代は変わっていたのだ。


しかし、このままでは終われない。


なんとしてでも、高知の猛者と勝負したい。


そう思いながら対戦相手を探していると、赤い上下のジャージ姿の若い男がふと目に入った。


年齢は20代前半ぐらい。


その男はUFOキャッチーの前に張り付き、景品の位置を確認していた。


私は少し離れた場所から、彼を仮想の敵としてロックオンする。


赤いジャージの男が景品を取れば彼の勝ち。


景品を取れなければ私の勝ち。


そう自分ルールを設定した時、赤いジャージの男は投入口にお金を入れた。


それは対戦の合図。


私と赤いジャージの男との、戦いの始まりである。


最初の1回目。


アームが景品をつかみ、上まで持ち上げるも、その瞬間に景品は下に落ちた。


UFOキャッチーのあるあるだが、赤いジャージの男はすかさず次のお金を投入口に入れる。


しかし2回目、3回目とも同じ落ち方で失敗していた。


それでも闘志はおとろえてない様子で、投入口にお金を入れる赤いジャージの男。


しかし、それでこそ我がライバル。


対戦相手だ。


相手にとって不足なしである。


一体、どんな景品を必死に狙っているのかと思い、近づいて確認してみる。


どうやら“赤い制服姿の女の人形”を狙っているようだった。


私『こいつ…


私と同じ、オタク?


しかも、服装も狙う景品も全てが赤い…


シャアか!!?』


そう思った時、赤いジャージの男と目が合う。


その瞬間、私は赤いジャージの男とアイコンタクトで会話した。


私『お前、ただ者ではないな?』


赤いジャージの男『ほう、貴様もな!』


………


なるほど…


この勝負、徳島のオタクVS高知のオタクなわけだ…


これは絶対に負けるわけにはいかなくなった!


そう思いながら、少し後ろで観戦する事に。


赤いジャージの男は4回目、5回目とチャレンジするも、やはり失敗する。


顔はうつむき、悔しがる姿に…


貴様はその程度か?


高知のオタク代表として、もっと頑張れっ!


そう…


知らない間に、私は赤いジャージの男を心の中で応援していた。


6回目、7回目とチャレンジする赤いジャージの男。


私『そこっ!


もっと景品を出口に近づけろ!


諦めるなっ!!』


そう思った時…


8回目のプレイを失敗した瞬間、赤いジャージの男は天を見つめ、深いため息をついた。


………


終わったか…


しかし…


貴様は高知のオタク代表として、よく頑張った!


恥じるな、胸を張れ!


私は心の中で、彼に盛大なスタンディングオベーションを送っていた。


実に熱い戦いだった…


私はこの勝負を永遠に忘れない…


そう感動していると…


UFOキャッチーの後ろに設置されているスロットをしていた、赤い上下のジャージ姿の

“若くて可愛い女”

が、こちらに近づいて来た。


その可愛い女は、赤いジャージの男に腕組みし…


女「勝男かつお君、行こ♪」


と言って、店内出口に向かった。


………


私は状況が読み取れず、目が点になり、呆然ぼうぜんと立ち尽くしていた。


勝男は振り向き様に私を見る。


勝男はアイコンタクトで私に語りかけてきた。


勝男『そう…


貴様はんでいたのだ…


最初からな…』


………


まさかの会心の一撃!


私の心のライフは0になり、無惨に地面に崩れ去っていた…


完全敗北…


………


いや、違う!


勝男は景品を取れなかった。


つまり私の完全勝利なのだ!


私『貴様が勝ったのは、その女の性能の差だけだという事を忘れるな!』


私はそう心で吐き捨て、泣きながらホテルに帰った…



終わり…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ