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EP8 オムライス


 遥さん。クラブチームとか言ってたな。この辺りならウイングスか。 ウイングスの藤原……。

 思い出した。中学の時はデッカい眼鏡を掛けてたんだ。

 あんな美人、一度見たら忘れるわけないんだよ。でも、眼鏡を掛けてるぐらいで……俺もまだまだだな。

 商店街を歩いていた。カレー屋の匂いでハッとする。こっちじゃない。

 今日はひまわりに寄らずに帰るんだった。


 帰宅しても父さんはいない。この家は俺にとっても父さんにとっても、寝に帰ってくるだけの場所。

 父さんは小五のときにあの女と離婚した。俺は父さんが、二湖はあの女が引き取った。

 それ以来、俺と二湖は別々に暮らしている。

 部屋のゴミを片付けて、キッチンの流しを見ると、洗い物が残っている。

 もうずっとこんな生活だ。

 しまった。商店街で何か買ってくればよかった。いつもなら今頃、ひまわりにいる。

 着替えたらもう一回出かけるか。


「今日は来ないのかと思った」


 店に入るなり三葉が寄ってくる。


「うるせぇよ」

「なに、食べるの?」

「お前らは?」

「もう食べた」


 いつもの席で二湖がまた絵を描いていた。


「じゃあ、余ってるのでいい」


 俺は座りながら三葉に言った。


「オムライスね」

「余ってるのでいい」

「オムライスで宜しかったでしょうか?」


 俺は三葉をじとっと見た。


「わかったよ」

「かしこまりましたー」


 三葉は嬉しそうにキッチンに帰っていった。


「兄さんに自分の作ったオムライスを食べて欲しいんだよ」

「わかってるよ」

「ならよかった」

「なぁ二湖……」

「何?」

「あんなだったか、あいつ」

「あぁ。ずっと前からね」

「……」

「兄さんが知らないだけだよ」


 コーラ……入れに行くか。

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