EP7 遥
二湖のやつが変なことを言うから、三葉を目で追ってしまう。
授業中も、昼休みも。
……まずいな。
今日は、ひまわりに行くのやめよう。
幸太郎の様子でも見に行くか。ゴールデンウィークが終わって本入部の時期だ。
幸太郎はどこだ。陸上部がどこで練習してるかもわからん。
「あなた、田中一海?」
「え? あ、そうですけど」
俺が幸太郎を探していると、知らない女子生徒に話しかけられた。青いリボン。二年生かな。
「もしかして陸上部に?」
陸上部の関係者か。いるじゃねぇか。美人マネージャー。
「本当に陸上はやらないんですよ」
「は?」
「暇だから友達を見ようかと」
「あなたはどうしてやめちゃったの?」
「骨折したんです。バゴーンって、車にひかれて」
「治らない怪我じゃないでしょ?」
「痛くはないですけどね」
「なら……」
「元通りにはならなかった。それだけです」
「……そう」
「陸上部はどこでやってるんですか?」
「付いてきて」
美人の誘いを断るヤツはいない。
「私は藤原遥よ」
「藤原さんね」
「遥、でいいわよ」
「じゃあ遥さん。陸上部はどこに?」
「外周を走ってるはずよ」
高校をぐるっと回る外周。部活のアップと言えば外周。
「私ね、あなたが優勝したところを見てたの」
「そうですか」
「あなたは私が優勝したところ、見てない?」
「さぁ」
「同じ大会だったのに?」
「覚えてませんね」
この人、選手だったのか。道理でいいケツしてると思った。
「遥さんは外周走らないの?」
「え?」
「もうみんなは走ってるんでしょ?」
「あぁ、今日は入部したことを伝えに来ただけだから」
「仮入部、してないんですか?」
「私、クラブチームに入ってるから」
「それがどうして、こんな公立の陸上部に?」
「一海くんが見学しに来たって聞いたから」
「え?」
遥さんと話をしてながら歩いていると、陸上部の姿が見えてきた。幸太郎がこちら気づいて走ってきた。
「一海! 入部しに来たのか?」
「ほんとにやらねぇって言ってんだろ」
「あ、藤原さん。こんにちは」
「こんにちは。じゃあ、またね一海くん」
「あ、あぁ」
遥さんは陸上部の方に行ってしまった。
「なんだ一海、親しげだな」
「お前、良かったな。美人がいて」
「そうだろ? お前も入部したらどうだ?」
やらねぇって言ってんだろ。




