↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/24

EP2 美人マネージャー


「じゃあ今日はここまでだ」


 先生が教室から出ていくと、皆がざわざわと帰り支度を始めた。俺は最後に配られた部活動についてというプリントを眺めていた。


「一海、部活するの?」

「三葉はどうすんだよ。また陸上部のマネージャーか?」

「いや、私は家の手伝いしようかなって」

「そっか。二湖もずっとバイトだろうな」

「それで?」

「ん?」

「一海は?」


 なんでそんなに気にするんだよ。


「俺は何もやらないよ」

「……そっか」

「なんだよ、残念そうだな」

「私、一海が走ってるのを見るのが好きだったから」


 三葉は嬉しそうに笑った。


「大会で一海が走るの、楽しみにしてた」


 三葉は笑ったまま、少しだけ遠くを見るような目をした。


「……それは悪かったな」

「おい、一海!」

「なんだ?」


 隣のクラスの里崎幸太郎だ。中学時代に俺と同じ陸上部だった。


「陸上部に美人マネージャーがいるらしいぞ。見学に行こうぜ」

「なんだよそれ」

「いいから早く行くぞ」

「ちょっと」


 俺は幸太郎に腕を引かれ、無理矢理、廊下に出された。振り返って三葉を見たが、目が合わなかった。


「あー、疲れた」


 俺がひまわりに入ると、三葉が振り返った。


「おかえり一海」

「兄さん、コーラでいい?」

「あぁ、頼む」


 時計を見るともう五時を回っていた。


「どうだった? 美人マネージャーさん」


 三葉はコーラをテーブルに置いて、向かい側の椅子に腰掛けた。


「いなかったんだよ」

「いなかった?」

「どうやら今年入るマネージャーが美人だとか何とか」


 俺は三葉の顔を見た。


「何よ?」

「いや……」


 まさかな。


「その後、実は野球部だとか、いやバレー部だってあちこち回ってさ」

「それで? 美人は見つかった?」

「いや……いなかったよ」

「残念ね」

「三葉ー!」

「呼ばれたから行ってくるね」

「あぁ」


 あの二人は、もうここが部活みたいなもんだな。俺も入部するか。イケメンマネージャーで。


「何の話?」


 今度は二湖が座った。


「陸上部の美人マネージャーの話だよ」

「三葉のこと?」

「…………」

「兄さん?」

「お前……」

「どうしたの?」

「いや……」


 二湖は何でもないことのように首を傾げていた。


「僕おかしなこと言った?」

「いいのいいの」

「なんだよ……」

「今日はこれ飲んだら帰るよ」

「もう、ゆっくりしていけばいいのに」

「じゃあな」


 俺はひまわりを出て、家へと向かった。

 なんとなく振り返ると、店の窓から二湖と三葉が見えた。二人で何か話している。


 俺はしばらく立ち止まっていた。


 …………。


 帰るか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。