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モブ王女に転生したら悪役王子の義兄に溺愛されました! 前世の推しを闇堕ちなんてさせない!  作者: まほりろ・コミカライズ配信中


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12話「気になる美少女の距離感がバグってた!? 複雑な気持ち、妹として見れない!」ラインハート視点



――ラインハート視点――


色々あったが食事が終わり、俺はルーディーと共に部屋に戻った。


ブレンダ様との約束なので、一晩だけ泊まるつもりだった。


夜が明けたら、朝食を食べずにここを去るはずだった。


それなのに……。


目覚めたら俺の隣りにレイアが寝てた。


ネグリジェを纏ったレイアが、あどけない顔で寝息を立てている。


「わ〜〜!!

 何でお前がここに!?」


近くに寄られるだけで、胸がドキドキするのに……!

添い寝なんかされたら、心臓が爆発する!!


レイアが寝ぼけながら上半身を起こした。

ネグリジェの裾から素足が見えて、俺は目のやり場に困った。


「……おはようございます。

 ラインハート兄様……ふにゃふにゃ」


彼女が頭を下げた時、ネグリジェがするりと落ちて……日に焼けてない肩が見えた。


俺はとっさに近くにあった毛布を掴み、奴の体にかけた!

肩とか、足とか、鎖骨とか……露出し過ぎだ!

こいつには警戒心はないのか!?


あるわけないか……。

こいつにとって、俺は兄なんだから。

俺は妹として見れないのに……。


レイアがこの部屋にいたのは、夜のうちに俺が帰らないか心配だったかららしい。

それから、ルーディーと添い寝したかったかららしい(絶対こっちが本音だろ)


奴は俺の気など知らずに、「兄様がここに住むって言ってくれるまで離しません!」と言って抱きついてきた!


淑女としての恥じらいも慎みもない。

妹というのは兄に対して、こんなに無防備なのか!?

それともレイアの距離感がおかしいだけなのか!?


侍女が部屋に入ってこなかったら、俺はどうなっていたかわからない。







侍女がお茶とともに、朝食を運んできた。


食事の前にここを出る予定だったのに……。

レイアのせいで予定が狂った。


夕食の時の記憶が蘇る。

また食事で恥をかくのだろうか。


だけどワゴンに乗っていたのは、サンドイッチやスコーンや カナッペという手で食べられるものだった。


ブレンダ様がシェフと共に、俺が楽しく食事が取れるようにと考えたメニューらしい。


マナーを覚えるまでは部屋で食べることが許可された。


胸の奥がぽかぽかと暖かい。

ブレンダ様の心遣いが嬉しい。






室内でゆったりと朝食を味わえるはずだった……。

レイアのせいで、胸がばくばくしっぱなしだった。


「ティーカップは一つしかありません。

 共有しましょう」


レイアが口をつけたカップを無防備に差し出してきた。

こいつが口を付けた箇所と、柔らかそうな唇を交互に見てしまい心臓が落ち着かない。


「だっ、誰がお前の手を付けたカップなんか使うかよ!!」


カップに手を伸ばしそうになる自分を、ギリギリのところで律した。


レイアは俺の気持ちなんてまるで気づいていないようで、ばくばくとサンドイッチを平らげていく。


「お前、口の周りにパンくずが付いてるぞ」


「えっ……?」


彼女を見てると、本当にお姫様なのかと時々思う。


「パンくずが付いてるのは反対だ。貸せ」


レイアからナプキンを受け取り、彼女の頬にナプキン越しに触れる。

思ったより距離が近い。それに布越しとはいえレイアの顔に触れてしまった。

心臓がとくとくと音を立てる。


不意に彼女が目を閉じたので、心臓が止まるかと思った!


「お前っ……!

 この距離で瞳を閉じるなよ……!」


俺はナプキンをテーブルに置き、彼女から距離を取った。


食事は美味しかったが、その間もずっと瞳を閉じたレイアの顔が頭から離れなかった。


だってあんな表情、く、口づけする時にしか……。

うわぁ〜〜! 俺は何を考えているんだ!?


心の中が全部レイアで埋め尽くされていく。

レイアへの気持ちが溢れてしまいそうになるのを、理性で抑え込む。


それなのにあいつは、俺を子供扱いしてくる。


「兄様が、年相応に子供らしく顔をほころばせている姿を見て、胸を打たれました!」


「はっ?

 お前俺より年下だろ?

 発言がおばさん臭いぞ」


「女の子の方が精神年齢が上なんです。

 ラインハート兄様が野良猫みたいな目をしていたから……母性本能がくすぐられたんです!」


「誰が野良猫だ!

 それに、母性ってなんだよ……」


「ラインハート兄様のことが子供みたいに可愛いってことです。

 私のことを、お姉さんだと思って甘えてもいいんですよ?」


子供みたいに可愛い!? ふざけんな!


「年下にガキ扱いされて、喜ぶ奴がどこにいるんだよ」


恋愛対象にしてくれとまでは望まない。

だからといって、子供扱いは許容できない。


昨日からあいつの距離が近い理由がわかった。

俺を息子か弟のように思っているからだ。

だからあんなに警戒心がないんだ。


なんか、むかむかしてきた。

勝手に人を小動物扱いするな!


「もう、素直じゃないですね。

 そういう態度は可愛くないですよ」


「お前に、可愛いなんて思われたくねぇよ」


俺はお前に、「頼りになる」とか「かっこいい」って思われたいんだ。


「でも、私は……。

 そんな兄様も好きです」


「はっ……?」


「好き」という言葉に、心臓がドクン……と音を立てる。

春が十年分いっぺんにきたような、そんなときめきと心地よさに包まれる。


「ラインハート兄様が大好きです!

 だから、どこにもいかないでくださいね」


「お、お前……そ、そういうことを……!

 と、突然……言うなよ!」


心臓がばくばくと音を立て、血が沸き立つような感覚がした。

レイアも俺のことが好き?

なら気持ちを抑えなくてもいいのか?


俺も……と口を開きかけた瞬間、現実を突きつけられた。


「妹として、兄様のことが大好きです!」


わかってた。

そういう意味だって。

レイアが俺を異性として意識していないって。


「……ぁぁ、そういうこと……」


腹違いとはいえ、兄をそういう目で見ろと言う方が間違っている。

頭ではわかっているのに、心が追いつかない。


「人の気も知らないで……。

 俺はお前を……妹として……見れないのに……」


レイアは何事もなかったかのように、お茶のおかわりを楽しんでいる。


俺の心の中を嵐のようにざわつかせておいて、酷い女だ。


レイアの横顔は赤ん坊のようにあどけなく、ほんの少しだけ腹立たしく思えた。


レイアは俺を兄として慕っている。


でも俺は……レイアを妹として見れない。


この思いの違いをどうやって埋めたらいい……?


今は何も考えられない。





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