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第三話 気まぐれ定食の正体

第三話です。


ついに気まぐれ定食が登場します。


なお、作者はまだ正体を知りません。


店長も知りません。


シェフも知りません。


もしかすると料理自身も知りません。


それではお楽しみください。

店内の静寂。


その空気を破ったのは犬丸ブル子だった。


「お待たせしました」


男の前に皿が置かれる。


男は料理を見る。


しばらく見た。


さらに見た。


もう一度見た。


匂いも確認した。


「これは何だ」


「分かりません」


ブル子は首を横に振った。


「そうか」


男は納得した。


皿の上には何かが乗っていた。


少なくとも料理人は料理だと思っているらしい。


問題は誰にも説明できないことだった。


男はフォークを手に取る。


店内の全員が男を見ていた。


店長も。


ブル子も。


けつげしげるも。


男は一口食べた。


誰も喋らない。


男は黙って水を飲んだ。


再び料理を見る。


「どうでしょうダー!?」


店長が身を乗り出した。


「不思議な味だ」


店長が固まった。


ブル子も固まった。


けつげしげるも固まった。


初めて聞く感想だった。


「不味くないんですか?」


ブル子が思わず聞いた。


「不味い」


「やっぱり!」


店長が崩れ落ちた。


「だが」


「食べられないほどではない」


南米では、


ジャガイモ一つと泥水のようなコーヒーで生き延びた。


それに比べれば、


ご馳走だった。


店内が静まり返る。


その評価は初めてだった。


男は再び料理を口へ運んだ。


その時だった。


カラン。


入口のベルが鳴った。


二人の男が入ってくる。


酒の匂い。


大きな笑い声。


店の空気が少し変わった。


常連客の田中は顔をしかめる。


見覚えがあった。


面倒な連中だった。


男は気にも留めない。


ただ黙って食事を続けていた。


【第三話 完】

最後まで読んでいただきありがとうございます。


気まぐれ定食を完食しそうな男。


そして現れた二人の酔っ払い。


レストラン・ゲロマズに平穏な日はありません。


そもそも平穏だった日があったのかも分かりません。


次回、第四話でお会いしましょう。

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