表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/19

第十五話 東郷玄十郎(中編)

いつも『レストラン・ゲロマズ』をご愛読いただき、ありがとうございます。


前編では、東郷玄十郎が原島修一郎に深々と頭を下げるという、誰も予想しなかった出来事が起こりました。


店内に広がる驚きと沈黙。


そして、少しずつ明らかになる二人の関係。


しかし、その過去はまだ厚いベールに包まれたままです。


第十五話「東郷玄十郎(中編)」


どうぞ最後までお楽しみください。

店内は静まり返っていた。


誰も声を出せない。


東郷玄十郎は、ゆっくりと顔を上げる。


修一郎は静かにコーヒーを口へ運んだ。


まるで何事もなかったかのようだった。


ブル子は恐る恐る口を開く。


「あの……。」


東郷が振り向く。


「原島さんと、お知り合いなんですか?」


東郷は穏やかに微笑んだ。


「はい。」


「私は、かつて原島様に命を救っていただいた人間です。」


その一言で、店内の空気が止まる。


「えぇぇぇーーー!?」


店長の声が店内に響く。


ブル子は修一郎を見る。


言葉が出ない。


シャー子も目を丸くした。


「原島さんって……何者シャー?」


修一郎は静かにコーヒーを飲む。


東郷は修一郎へ向き直った。


「原島様。」


「皆様にも、お話ししてよろしいでしょうか。」


修一郎はカップを置く。


「昔話はよせ。」


短い一言だった。


東郷は小さく頭を下げる。


「……失礼いたしました。」


店内は再び静まり返る。


二人の用心棒も黙ったままだった。


修一郎は残ったコーヒーを飲み干す。


ゆっくりと立ち上がる。


会計を済ませようと歩き出す。


東郷が静かに呼び止めた。


「原島様。」


修一郎は足を止める。


振り返らない。


「少々、お時間をいただけませんでしょうか。」


しばらく沈黙が流れる。


「いいだろう。」


それだけだった。


東郷は深く一礼する。


修一郎は会計を済ませる。


「ごちそうさん。」


店長は慌てて頭を下げた。


「ありがとうございましたダー!」


修一郎は店を出る。


東郷も後に続く。


二人の用心棒も静かにその後を歩いた。


カラン。


ドアが閉まる。


静寂だけが店内に残った。


ブル子が小さく呟く。


「原島さん……。」


店長は腕を組む。


「何者なんダー……。」


シャー子は閉まったドアを見つめたまま言った。


「原島さんって……何者シャー?」


誰も、その答えを持ってはいなかった。


【第十五話 中編 完】

第十五話「東郷玄十郎(中編)」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


東郷玄十郎が語ったのは、ただ一つ。


「私は、かつて原島様に命を救っていただいた人間です。」


それ以上は語らず、修一郎も過去を語ろうとはしませんでした。


だからこそ、二人の間にどれほど深い出来事があったのか、想像が膨らむ回になったのではないでしょうか。


そして、静かに店を後にした二人。


この先、どんな会話が交わされるのか。


いよいよ次回は、第十五話「東郷玄十郎」後編です。


最後までお付き合いいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ