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第十三話 コードネーム・レインメーカー(前編)

皆さま、いつも『レストラン・ゲロマズ』をお読みいただき、本当にありがとうございます。


笑いあり、クセあり、そして時々ちょっぴり謎あり。


そんなゲロマズにも、少しずつ新しい風が吹き始めました。


今回の第十三話・前編では、いつもの昼下がりに現れた二人の外国人が、静かに物語を動かします。


原島修一郎という男の「過去」を知る者との出会い。


日常と非日常が交わる瞬間を、どうぞお楽しみください。

昼の十二時。


レストラン・ゲロマズ。


昼時とあって店内は賑わっていた。


ブル子は出来上がった料理をテーブルへ運ぶ。


「お待たせしました。」


「ありがとう。」


客は笑顔で箸を手に取る。


店長は厨房から顔を出した。


「ブル子! 三番テーブル、コーヒーお願いダー!」


「はい!」


ブル子は手際よくコーヒーを淹れ始めた。


その横では、シャー子が空いた皿を両手で抱えて歩いている。


「ブル子、これ持っていくシャー。」


「ありがとう、シャー子。」


店内には、いつもの穏やかな時間が流れていた。


カラン。


入口のベルが鳴る。


原島修一郎だった。


「いらっしゃいませダー!」


店長が声を掛ける。


修一郎は軽く手を上げ、そのままいつもの席へ向かった。


ブル子は修一郎の姿を見ると、小さく微笑む。


何も聞かない。


常連だからだ。


静かにコーヒーを淹れ始める。


やがて、湯気の立つカップを修一郎の前へ置いた。


「どうぞ。」


修一郎は小さく頷く。


「ありがとう。」


短いやり取り。


それだけだった。


修一郎は静かにコーヒーへ口をつける。


その時だった。


カラン。


再びベルが鳴る。


マテオ・オルカ。


サントス・ゴードン。


二人が静かに店へ入ってきた。


シャー子は二人を見ると嬉しそうに駆け寄る。


「また外国人シャー!」


サントスが笑顔で答えた。


「コンニチシャー。」


「コンニチシャー!」


ブル子は思わず笑みをこぼす。


「こちらへどうぞ。」


二人は窓際の席へ腰を下ろした。


「コーヒー、2つ。」


「かしこまりました。」


ブル子はコーヒーを淹れる。


運び終えると、ふと二人の様子が気になった。


コーヒーを飲みながら、時折、修一郎へ視線を向けている。


(……原島さん?)


胸の奥に、小さな違和感が残る。


修一郎は何も気付いていないように見えた。


いや。


気付いていても、気にしていないだけなのかもしれない。


静かな時間が流れる。


やがて修一郎はコーヒーカップをソーサーへ戻した。


その音を待っていたかのように、マテオが立ち上がる。


サントスも続く。


二人は修一郎のテーブルの前で足を止めた。


ブル子は思わず、その様子を見つめていた。


マテオが静かに口を開く。


「コードネーム・レインメーカー。」


修一郎はゆっくり顔を上げる。


そして、二人を真っすぐ見た。


「それがどうした。」


店内の空気が、静かに張り詰めた。


【つづく】

第十三話・前編を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


ついに飛び出した言葉。


「コードネーム・レインメーカー。」


そして、それに対する修一郎の一言。


「それがどうした。」


たった二人の短いやり取りでしたが、物語はここから大きく動き始めます。


マテオとサントスは敵でも味方でもありません。


彼らは、ただ「ある方」の想いを届けに来ただけです。


その”ある方”とは誰なのか。


そして、修一郎が背負う過去とは何なのか。


その答えは、まだ少し先になります。


次回、第十三話・中編も、ぜひお付き合いください。


それでは、またゲロマズでお会いしましょう。

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