第1話:確率0.03%の絶望と、神様の気まぐれ
初めまして、ご覧いただきありがとうございます。もしも神様に能力を一つもらえるとしたら、あなたは何を望みますか?これは、何をやっても平均以下のモブ少年・賭市村康介が、「可能性」という不確かな力を武器に、世界の理不尽や運命に命を賭けて立ち向かう物語です。コメディあり、バトルあり、頭脳戦ありのエンターテインメントを目指して執筆していきます。どうぞお楽しみください!
「はい、大爆死ー。知ってたわ、クソゲーが」液晶画面の中で、派手なエフェクトと共に『ハズレ』の文字が踊る。俺――賭市村 康介は、ベッドに寝転んだまま、死んだ魚のような目でスマホを放り投げた。
最高レアの排出率は0.03%。当たるわけがない。俺の人生はいつだってそうだ。1クラス30人の中で、成績も運動神経も、ついでに見た目のパッとしなさも、綺麗に平均値のど真ん中。「お前の人生、計算通りのモブだな」と、この前も友人に笑われたばかりだ。「はぁ……。どうせモブなら、宝くじが当たる確率くらい引かせてくれよ。なぁ、神様?」天井に向かって天井よりも薄っぺらい愚痴をこぼした、その時だった。「呼んだ?」「ぶふっ!?」心臓が跳ね上がった。誰もいないはずの狭い六畳一間のワンルーム。その中央にある丸テーブルに、いつの間にか一人の男が座っていた。よれよれのジャージを着て、ポテトチップスを片手にコーラを飲んでいる。見た目はただの胡散臭いニートだが、その瞳だけが、妙に深くて底が知れない。「誰だよお前!? 不法侵入で警察呼ぶぞ!」「冷たいねぇ、賭市村 康介くん。君がさっき『神様』って呼んだから、わざわざ特等席から降りてきてあげたのに」男はパサパサと手を払うと、ニヤリと不敵に笑った。「僕の名前は、与廼輪年能神(よのわ としの かみ)。まあ、君たちの言う『神様』さ。ちょっと退屈してたからさ、君に一つ、特別な能力をあげようと思ってね。人間が大好きな『一撃必殺の炎』とか『絶対の盾』とか、何でもいいよ。何が欲しい?」頭が追いつかない。詐欺か、それとも質の悪いドッキリか。だが、この男が部屋に現れた瞬間から、空気の密度が明らかに変わっている。肌がピリピリと痺れるような、圧倒的なプレッシャー。
本当に神様だとしたら。ひねくれ者のモブである俺の頭に、ふと、ある思考がよぎった。派手な力はいらない。そんなものは、もっと上が出てくればすぐにインフレして使い捨てられる。俺が欲しいのは、この退屈で、計算通りのモブ人生を、前提ごと引っくり返せる力だ。「……じゃあ、『可能性』をくれ」「ほう?」与廼輪年能神の目が、わずかに細められた。「確率が低いだけで、ゼロじゃないこと。それを形にする能力だ。100%決まりきった運命なんてつまらねえだろ。俺は、その『可能性』ってやつが欲しい」一瞬の静寂。次の瞬間、神様は腹を抱えて大爆笑した。「ハハハ! 面白い! 傑作だ! 普通の人間はもっと分かりやすい最強を求めるのに、君はそんな抽象的で不確かなものを望むか!」神様は涙を拭いながら、コーラの缶をテーブルに置いた。その瞬間、彼の纏う空気が、気さくなニートから『絶対者』のそれへと変貌する。「いいよ、賭市村康介。望み通り【可能性】を授けよう。ただし、忘れるなよ? 可能性ってのはな――『最悪の結果に終わる可能性』も、同じだけ含まれてるってことだ」神様が指をパチンと鳴らした。その瞬間、俺の両目に、焼け付くような激痛が走った。「う、あ、ああああっ!?」
視界が真っ赤に染まり、頭の中に、見たこともない無数の『数字』と『文字』が津波のように流れ込んでくる。痛みが引き、恐る恐る目を開けたとき。俺の視界は、完全に変貌していた。部屋に転がるスマホの画面の横に、半透明の文字が浮かび上がっている。【もう一度ガチャを引いて最高レアが出る可能性:0.03%】(詳細:乱数調整が噛み合い、奇跡的にデータが書き換わる)【今から窓を開けたら、可愛い女子高生と目が合う可能性:0.001%】(詳細:隣のビルのベランダに、たまたま引っ越してきたアイドルが立つ)自分の意思に合わせて、瞳の奥でデジタルカウンターのような数字と詳細テキストが高速でスクロールしていく。これが、俺の力。神様から貰った、世界の確率を支配する『可能性の眼』。「さて」与廼輪年能神は、元の緩い笑顔に戻ってコーラを喉に流し込んだ。「能力のテストがてら、さっそく最初のゲームを始めようか。君の幼馴染の女の子、今ちょうど、他の神様に愛された『別の能力者』に絡まれて、生存確率が『0.01%』まで落ちてるよ?」「……は?」スマホに、その幼馴染からの着信履歴が飛び込んできた。俺の目が、一瞬で冷徹な勝負師のそれに切り替わる。「0.01%……上等だ。ゼロじゃねえなら、その賭け、俺が全部乗るわ」運命なんて知るか。俺が選んだ可能性で、世界を全部引っくり返してやる。(第1話・了)
ご覧いただきありがとうございます。実は、私は人間の絵を描くのがあまり得意ではありません。ですが、「この最高にワクワクする世界観と、賭市村康介という主人公の戦いをどうしても形にしたい!」と思い、小説という文字の形で『なろう』に投稿することを決意しました。脳内でアニメや漫画がバキバキに再生されるような、熱くて予測不能な物語を全力で文字にしていきます。ぜひ、康介の最初の勝負を見届けてください。少しでも「面白いじゃん」と感じていただけたら、ブックマークや評価で背中を押していただけると本当に救われます。よろしくお願いします!




