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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第65話:ラビットの行方




「ラビットー!どこにいるんだ?」




ロワールの必死の声かけにも関わらずラビットからの返事はなかった。代わりに聞こえるのはロワールの返ってくる声だけだった。




彼は焦りを感じているが、輝夜は彼とは少し違う反応をしていた。ラビットのことも知っている輝夜だからこそ、こういう考えに至るのかもしれない。


流石にいつもは落ち着いているブレーンとしてのダナも悠一もラビットの存在を知らないからこそ、輝夜の考えには気付かない。




輝夜はそれでも黙って様子を見ることにした。






「ラビット、ラビット!どこにいるのだ?」






いつもラビットがいるはずの部屋にもいない。陛下であるロワールの私室にも、玉座の間にもいない。




「一体…どこに行ったんだ?人間化が始まると身動きをとるのも苦しくて出来ないかと思うが…。」




ロワールはよく仕えてくれたラビットの事は気にいっているようだ。






輝夜はそんなロワールを横目で見ながら静かに思った。








〝これ以上、ロワールが傷付かなければいいのに…。〟




引き続き、ラビットの行方をみんなで探す。










「おかしいですな。あやつの行く場所と言えば限られているはずなのにどこにもいないとは…。」




「お前もそう思うか?」




「もちろんです。あなた様の周りには気を配っておりますから。」




「あぁ…そういう敬語を使うな。もう俺の方が年下なのだから。」




「は、すみません。慣れぬゆえ。」






このやり取り、さっきから何度目だろうと思いながらも輝夜は周りを警戒していた。








─────そう。輝夜の中ではラビットこそが親玉なのではないかという疑念があった。








あれだけのことがあったのに姿を見せないこと、そしてロワールの身の回りの世話をしていたはずなのにロワールを心配して姿を現さないことなどが輝夜にそう思わせたのだ。








居城の一番奥にあまり出入りしない部屋があるという。そこに一行が向かう。






扉を開けるとそこにはラビットが横たわっていた。






「─────ラビット!」






ロワールが叫び、ラビットに駆け寄る。




輝夜は自分が思っていたことが杞憂だったと思い、胸をなでおろした。ロワールが酷い過去を背負い、そのまま望まぬ吸血族としての人生を歩んできたことを思うと、彼がこれ以上傷つかなければいいと思っていたからだ。


だが、胸の奥のざわつきだけは消えなかった。




ロワールがラビットのそばに来た時、ラビットは息をしていなかった。ロワールの顔から血の気が引いていく。




「なぜだ?もう…人間化が終わっていてもおかしくないだろう?なぜ、息をしていないのだ?」




ロワールはガタガタと震えながら言った。






「………………。」




沈黙が続く。周りはただ見守ることしか出来ない。








「………………。おかしいわね。本当にその通りだわ。もう、人間として目覚めてもよさそうなのに…。」




輝夜が口を開いた。だが、輝夜は人間化の方法を知っているわけではない。ただ、他のみんなが人間化した時の様子を見ていると、身体の変化が始まってからほんの数分程度で人間として変化が終了していたのだ。








「ロワール…。気をつけて…。」






輝夜がポツリと呟いた。〝確信〟とまではいかないが、輝夜の中のナニカがそうさせるようだ。






「………………は?それはどういう…。」




その時だった!








突如、息を開始したかと思うとラビットが人間になったのではなく、巨体な吸血鬼になったのだ!






「─────やっぱり!最悪だわ!」




「─────な、お前っ、ラビットではないのか!?」




後ずさりしながらも動揺するロワール。








そんなロワールをジロリと睨み、




「我の呪いを解いてしまうとは…。恐るべし聖痕の娘よ。」




「─────!あなたが全ての元凶ね!」






輝夜が勇敢に立ち向かう!








「はっ、ロワールよ。お前が信頼したラビットこそ我だったのだ。お前のそばにいてずっと監視してきたのだ。それに聖痕の娘よ。お前に少しずつ毒を盛っていたのに何故お前はそのように元気なのだ?」






ラビットが言った言葉にすかさず反応したのはロワールだった。






「─────な!だから、コイツが人形になってしまったのか?!」




「ハハハハハ!あの毒は飲んだ者の意識を奪い、やがて生命をも奪う毒だったのだ。我の計画にはきっと邪魔になると思っていたが、こんなに早く邪魔されてしまうとはな、」




悔しそうに言うラビット。




ロワールが傷付かないか心配だった輝夜だが、ロワールの顔を見ると傷付くどころか、怒りを露わにしていた。






〝信頼を裏切られたら傷尽くし、怒りもするわよね…。〟




輝夜はロワールの顔を見てそう思っていたが、ロワールは長年苦しんだのが目の前のラビットのせいだとわかったからか、どこかスッキリした顔をしていた。






〝へぇ…。気にしてなさそうね。〟




輝夜は安心した。これでラビットに立ち向かえる!






「さあ、下がって!ロワール!ここからはあなたたち、人間の出る幕じゃないわ!」




輝夜がそうロワールに声をかけたが、ロワールは動かない。不思議に思っていると、ロワールは輝夜の横へと並んだ。


そしてラビットを真っ直ぐ見据える。




「心配無用だ。俺は〝白のルーク〟だ。我がクイーンよ。」








「──────────!?」








そこにいた全員が驚いた!






ご覧下さりありがとうございます。まさかのロワールが〝ルーク〟として人間になっていたとは思わなかった輝夜たち。これでラビットに立ち向かえるのに、心強い味方が現れたのだ。

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