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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第64話:ケルドアも人間になった?!




輝夜たちがザンテの目覚めを目撃していた同時刻。忘れてはいけない人物がもう一人いる。




ケルドアだ。



灰にならずに肉体だけがそこに残っていた状態だ。念のためにその場に残っていたケンとダナは突然ケルドアの爪がピクリと動いたのを見逃さなかった。






「ケンー!」


「ああ、ダナ。気を引き締めていこう!」




二人はすぐさま戦闘態勢にはいれるように気を引き締めてケルドアの姿を見ていた。




巨大化していたその姿はみるみるうちに縮むように小さくなっていった。見守っていた二人は何が起きているのかわからないまま二人で顔を見合せてからジッと様子を見ていた。


すると灰色の髪をしていたケルドアだったが、彼等の目の前で赤みがかった茶髪に色が変わった。鋭かった爪が短く変化し、何よりも顔色が変わった。


二人はかなり驚きながらそのままケルドアを見ていた。








─────パチリ。






ケルドアが目を覚ました。






ササッツと構える二人。


だが、ケルドアは静かに起き上がり








「ここは…。」






と、か細い声でひとこと言って辺りを見回した。








「どうして私、こんなところに…。」






「──────────??!」






ケンもダナも、目の前のケルドアの余りにもの変わりように驚ろいて声も出ない様子だ。


本来のケルドアは中世から来たような姿だったから人間でいた時にはこのような場所に来る事もなかっただろう。自分が置かれている環境、状況に頭が追いついていないといった感じだ。


ケルドアは不安そうに辺りを見回した。




「ここは……森?」




そして自分の手を見つめる。




「どうして……。」




その様子を見てケンとダナはお互いに顔を見合わせてから


「もしかして今までの記憶が…?」




ダナがそっと近づいて声をかける。






「あの…本当に私。なぜこのような場所におりますの?」






どこからどう見てもさっき戦ったケルドアとは別人になっていた。戸惑っているケンとダナのところに輝夜がやって来た。






「ケン!ダナ!」






輝夜の声を聞いて二人は安心しきった顔で輝夜を見る。






「ふふっ、その様子だとケルドアも人間になったのね!」






輝夜はふふっと笑うが、わけがわからないケンとダナは目をパチクリとするだけだった。






「クイーン、説明して下さい。」


「ええ。ロワール、…陛下を人間にしたのよ。だから眷属であるケルドアも自然と人間となるの。」


「とうとう目的を達成したんですね、よかったです。」


「ええ、本当に。よかった。」




わきあいあいと和む三人。あとからやってきた満流がその様子を見てヤキモチを焼いて輝夜の前に割り込む。




「とにかく、みんな無事でよかった。」






そんな満流を見て笑うのは輝夜とケンくらいだろう。悠一とダナはちょっと呆れ気味だ。




〝もう、独占欲の固まりなやつめ〟と思っていそうだ。




洞窟の奥からロワールとドライトもゆっくりとやって来た。






「すまない。俺が乗っ取られていたばかりに…。」






皆の前で謝罪した。




「ねぇ、そのあなたを乗っ取っていたモノに心辺りはないの?」


ロワールは首を横に振った。




「ただ…。」






静かに口を開いた。






「父の返り血を浴びて吸血族になった時、その記憶を垣間見たのだが、どうやら父もどこかの森でのっとられたようだ。その時は女性の姿をしていたようだが、本当の姿はわからない。そいつが俺に乗り移り、俺に呪いをかけてどこかに消えたんだ。」


「ーそう。だけどそれだけじゃ、ソイツを探す手がかりがないわね。」




輝夜は何か手がかりを掴めればと期待していたが、どうやらそれは難しいようだ。






「前に俺が住んでいた城がまだあるかもしれない。そこに行けば何か変わるかもしれないと思うのだが…。」


「その記憶ってもう何千年も前の話でしょ?本当にそのお城が存在するかどうか、調べてからね。」






輝夜は既に彼らの存在を消すために居城は隠されていると考えているようだ。それは悠一も思ったようで、




「もしかしたら地図にも載っていないかもしれませんね。きっと隠されているでしょう。」




輝夜も悠一の言葉に続いた。


「どうやって親玉を探すのよ…。」




輝夜は焦った。今は人間になったこの4人をこのままこの洞窟に置いて行くわけにはいかない。






「………………ん?4人?」






輝夜は辺りを見回した。



ロワール、ドライト、ザンテ、ケルドア。確かに4人。




だが、ロワールの眷属は確かもう一人、世話役のラビットがいるはずだ。それなのにラビットの姿が見当たらない。






「ねぇ、ラビットは?どこに行ったの?」


「んあ?アイツは知らぬ間に俺の面倒を見てくれる存在としていたな。アイツも俺が人間になったのだからどこかで眠っていないか?」


「見てきましょうか、陛下。」


「だから…。陛下はやめてくれ。」


「しかし、慣れませんゆえ…。」




ドライトとロワールの、どこからしくない会話だな、と思いつつもやり取りを見守る輝夜。




「嫌な予感がするの。親玉がいるなら、まだ何か起きるかもしれない。」


「おぉ。だったら探した方がいいな。」


「じゃあ、皆で探しに行きましょう。」






輝夜の提案にそこまでするか?という意見もあったが、親玉はかなり危険と判断した輝夜は今は分散するよりも一緒にいる方が安全だと考えたからだ。






ぞろぞろぞろと大勢でロワールが作った洞窟の居城に戻っていく。


どこかでラビットが人間になって倒れている可能性が高い。みんなは見逃さないように気をつけながら洞窟内を進む。






「ラビットー!」






ロワールが声を張り上げてラビットを探す。だが返答は返ってこない。




ご覧下さりありがとうございます。吸血族になったきっかけの「親玉」を探さなくてはならないが、まずはロワールの眷属で人間に変化を遂げているはずのラビットを探す一行。

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